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トランプ米大統領はG20の大舞台で見得を切るか?米中首脳会談での行方と世界のリスク

トウシル / 2019年6月26日 15時59分

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トランプ米大統領はG20の大舞台で見得を切るか?米中首脳会談での行方と世界のリスク

ドル全面安の展開。トランプリスクは?

 ドルは全面安の様相となっています。イランとの緊張が高まっています。しかし、先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を受けた7月の米利下げ観測が要因としてはまさっている状況のようです。

 ドル/円は、先週107.05円まで下落しましたが、ドル安によってユーロやポンドが反転し、ユーロ/円やポンド/円のクロス円も戻したことにより、ドル/円の下落にブレーキがかかったもようです。このクロス円との連動性は、現在の相場では今後も重要ですので留意しておく必要があります。

 また、心理的には、21日の財務省、金融庁、日銀の緊急会談開催の報道を受けて売り込みづらくなった面もあるようです。しかし、参院選後には日米通商協議が控えているため、1ドル=105円台になっても介入はあり得ないと思われますが、ドル/円反転のきっかけにはなったようです。ただ、ドル/円の戻しには勢いがありません。今後も日本の金融当局は、円高に行けば行くほど、けん制してくることが予想され、相場は一時的に反応する可能性があるため注意が必要です。

 今週に入って、トランプ米大統領は、イランの最高指導者ハメネイ師を対象とした新たな対イラン制裁を発動しました。イランとの緊張激化によってドル/円は107円割れとなりましたが、今週は28~29日のG20(20カ国・地域)大阪サミットが控えていることから、史上最高値を一時上回ったNYダウ平均株価も、105円を目指したがっているドル/円も、様子見の状況となっています。

G20の注目点をおさらい

 今週末のG20 で世界中が注目しているのは、G20に合わせて開催予定の米中首脳会談で米中通商協議に何らかの進展があるかどうかという点です。

 米中首脳会談によって通商協議が合意に達するとの見方はほとんどないため、合意に達しなくてもマーケットに与える影響はほとんどありません。しかし、合意に達しなくても追加関税は先送りで、かつ、協議継続でもマーケットは歓迎する可能性があります、企業も個人も心理的に好転し、株の一段高が期待できる可能性があります。

 ただその場合に一つ気になるのは、企業行動や個人消費が心理的に改善すれば、FRB(米連邦準備制度理事会)としてはファンダメンタルの好転を見極めるために7月利下げを見送る可能性が考えられます。しかし、7月利下げが見送られた場合、7月の利下げ期待が高まっているだけに、マーケットは失望し、株は大幅に調整されるかもしれません。26日のパウエルFRB議長の利下げ観測牽制発言によって米株が調整したようなことが、大規模に起こるかもしれません。

 米株の大幅調整は、来年2020年の米大統領選を控えているトランプ大統領にとっては不本意な出来事です。トランプ氏としては、中国とは休戦状態にもっていき、株高はFRBの利下げによって演出するという思惑かもしれません。FRBに対する圧力がより強まっている現況を見ると、案外外れていないかもしれません。株が調整されれば、トランプ大統領のFRBに対する圧力は一層強まることが想像できます。

 トランプ大統領は、G20サミットに合わせて中国だけでなく、ロシアやサウジアラビア、トルコなど8カ国との首脳と会談する予定となっています。米韓とも南北朝鮮の国境近くで開催予定とのことであり、米朝首脳会談がサプライズとなるかもしれません。米政府筋は否定していますが、マーケットに臨むものとしては警戒しておく必要があります。 これ以外にも大阪G20の大舞台でトランプ大統領は次々とサプライズを起こし、見得を切るのでしょうか。

 G20を前にして国際政治状況が動いています。香港デモ、中朝首脳会談、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃、米軍無人偵察機撃墜、イラン制裁発動と関連性はないかもしれませんが、G20を前にして起こった出来事であり、国際政治力学の均衡を揺るがすきっかけになったかもしれない出来事です。金融市場はFRBの緩和姿勢によって債券高、株高の金融相場となっていますが、これらの相場は政治状況によって一変することは過去に何回も起こっています。G20を前にあまり慎重になる必要はないですが、留意しておく必要はあります。

大阪についてのうんちく話

 余談となりますが、今回開催される大阪についての豆知識を一つ、二つお話したいと思います。「関西地盤沈下」などという言葉を耳にしますが、大阪は国際的な位置付けで見ると、かなり健闘している都市ということが分かります。

例えば、

1:大阪は都市別GDPで健闘

 日本経済研究センターによると、日本と米国、アジアの13カ国・地域の主要77都市の都市別GDP(域内総生産)のベスト10は、2015年時点で、1位:ニューヨーク、2位:東京、3位:ロサンゼルス、4位:大阪、5位:シカゴと、ベスト10の中で第4位に入っています。

 ただし、2030年の予測では中国勢の躍進によって、5位:北京、6位:上海など中国4都市がベスト10に入り、米国では1位:ニューヨーク、3位:ロサンゼルスなど8都市から5都市に後退。日本では、2位:東京と2位を維持しましたが、大阪はベスト10から後退する予測となっています。大阪万博などもあることから奮闘を期待したいところです)。 

2:大阪はオフィスビルの賃料上昇率が最大

 日本不動産研究所がまとめた世界主要都市の不動産調査によると、オフィスビル賃料の上昇率はアジアや欧米14都市の中で大阪が最大。2018年10月比の2019年4月時点の賃料上昇率は、1位:大阪(4.2%)、2位:バンコク(2.9%)、3位:シンガポール(2.8%)、4位:香港(2.1%)。以降、8位:東京(0.4%)、10位:上海(0.1%)、11位:ニューヨーク(0.0%)、12位:ロンドン(▲0.4%)と、大阪が人気のシンガポール、香港を抜いて、堂々の第1位です。大規模物件の開業が少ないことから、需要がひっ迫したことが背景のようです。

 大阪は賃料だけでなく、ビル価格の上昇率でも7.4%と第1位だそうです。ビル価格の下落率ではロンドンの▲2.4%が最大。EU(欧州連合)からの離脱問題が続き、投資家が様子見の姿勢を強めているとのことです。

3:旅行消費に占める訪日外国人客の割合は堂々の1位

 観光庁の2019年版観光白書によると、日本人も含めた旅行消費に占める訪日外国人客の割合は、上位15都道府県の中で、1位:大阪(46.2%)、2位:東京(44.8%)、3位:京都(29.2%)と、第1位となっています。大阪への旅行客のほぼ2人に1人が外国人ということのようです。

4:大阪は世界で最も住みやすい都市ランキングで3位

 英国エコノミスト誌が発表した「世界で最も住みやすい都市ランキング2018」で、大阪はトップ10のうち、3位に選定されました。1位:ウィーン、2位:メルボルン、3位:大阪で、東京は7位。大阪については、公共交通機関の品質や利便性が向上した他、犯罪率の低下が順位の上昇につながったとのことです。

 G20をきっかけに大阪を国際的な観点から見ると、違った側面が見えてくるかもしれません。

(ハッサク)

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