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北朝鮮の水爆実験を受け、米中露の対応に注視 

トウシル / 2017年9月5日 16時0分

北朝鮮の水爆実験を受け、米中露の対応に注視 

北朝鮮の水爆実験を受け、米中露の対応に注視 

先週は、前半は北朝鮮のミサイル発射で1万9,300円割れ、後半は米国株高、円安で一時1万9,700円回復

先週の予測:

 北朝鮮リスクとトランプ政権の政治リスクへの懸念と、さらに週末の8月雇用統計を控えた様子見から、こう着の強い展開を想定しました。


 為替は強弱入り交じっており方向感が出にくいこと、日経平均株価は薄商いの中を為替に左右されやすいこと、チャート分析では1万9,000~1万9,700円のレンジの中で1ドル=108円台になってくると1万9,000円を試す動きになりそうなこと、110円台になると1万9,700円を試す動きになりそうであることを想定しました。

結果:

週前半は北朝鮮の弾道ミサイルを受けて為替は一時108.27円の円高となり、日経平均は1万9,280円まで下げました。週半ば以降は米国の経済指標の結果が相次いで予想を上回ったことで、米国株式の上昇とドル高が続き、一時110.67円の円安となり、1万9,735円まで上昇して週の終値は+45円の1万9,691円で引けました。

 28日(月)は、前週末のジャクソンホール会合でイエレン議長の金融政策に言及がなかったものの、イベント通過ということで買い戻しが先行。+49円の1万9,502円と寄り付いて1万9,535円まで買われたものの、買い一巡後は伸び悩み▲2円の1万9,449円の小幅反落となりました。

 29日(火)には、早朝に北朝鮮が日本上空を通る弾道ミサイルを発射したことで、一時▲169円の1万9,280円まで下げましたが、売り一巡後はETF買い期待が下支えになって下げ渋り▲87円の1万9,362円で引けました。

 30日(水)は、前日の米国市場では北朝鮮のミサイル発射でダウは一時▲135ドルの2万1,673ドルまで下げました。為替はドルが108.20円台まで売られるものの、すぐに110円近辺に戻し、米国株式は3指標ともプラスに転じたことで、日経平均は3日ぶりの反発となって+143円の1万9,506円と1万9,500円台を回復。

 31日(木)も引き続き米国株高、円安を受けて主力株中心に買い戻され+139円の1万9,646円と続伸しました。月末の株高は2月以来となります。9月1日(金)は前日の米国市場では、経済指標の好結果を受けてナスダックが史上最高値を更新。3指標そろって上昇したことで日経平均もいったん目先の上値抵抗ラインである1万9,700円を上回る1万9,735円まで上昇しましたが、終値では+45円の1万9,691円となりました。

 9月1日(金)の米国市場は、注目の8月雇用統計は予想を下回ったもののISM製造業景況指数は予想を上回りました。また、コーン国家経済会議委員長が「経済については十分満足」との発言で買い安心感が広がり、ナスダックは2日連続で最高値更新し、NYダウは+39ドルの2万1,987ドルとなりました。シカゴの日経先物は1万9,690円でした。

今週は、北朝鮮の水爆実験を受け、様子見状態へ

今週の予想:

 対外的には米国の経済指標をにらみながらのFRB(連邦準備制度理事会)が年内の利上げの実現性の見通しや、9日の建国記念日を前に北朝鮮情勢の緊迫感が注視されることになります。先週の8月29日に北朝鮮が北海道上空を通過する弾道ミサイルを発射したことで地政学的リスクが高まって日本株は一時、下落。しかし、米国はあまり反応せず、逆に株高・ドル高となったことで日本株の買い戻しが優勢となって一時1万9,700円台を回復しました。

 チャート予想では1万9,000~1万9,700円のレンジの中で、さらに1万9,300~1万9,500円の小さなレンジを中心に動き、為替が1ドル=110円を超える円安になると1万9,700円を試す動きになるとしました。結果的に為替が110.67円までの円安となり、日経平均も週末の1日(金)に1万9,735円まで上昇し、1万9,691円で引けました。目先は、目標達成感から一服する可能性がありますが、北朝鮮情勢に変化がなく米国株高・円安が続けば1万9,900円を試す動きが想定されます。

  しかし、9月3日(日)の午後、北朝鮮は水爆の核実験を実施しました。これまでにない最大規模の実験のようで今週は米国の対応が注目となります。緊張が高まれば先週想定した1万9,000~1万9,700円のレンジの中で下値を模索する動きとなる可能性があります。中国も今回は批判を強めており北朝鮮への国際的な対応をみることになります。

 9月4日(月)は、北朝鮮の水爆実験を受けて東アジアの地政学的リスクが高まり、リスク回避の売り先行となりました。日経平均は▲75円の1万9,615円で寄り付いたあと、為替も109円台後半の円高となっていることで一時▲212円の1万9,479円まで売られました。売り一巡後は下げ幅をやや縮小するものの、4日の米国市場はレーバーデーで休場となるため見送り商状に。後場は1万9,500円水準でこう着状態となり、▲183円の1万9,508円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測:

 北朝鮮リスクとトランプ政権の政治リスク懸念がくすぶる中、今後は為替の動向が注目となるとし、円安が進行すれば日経平均は買い戻されることになるとしました。その場合1万9,000~1万9,700円のレンジの中で1ドル=110円を上回る円安になってくると1万9,700円を試す動きを想定しました。

結果:

 週前半は北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて為替は一時108.27円の円高となり、日経平均は8月29日(火)に1万9,280円まで下落。その後は、米国の経済指標の好調さから米国株高・ドル高となって110円台の円安に。9月1日(金)は1万9,736円まで上昇して+45円の1万9,691円で引けました。

今週の予測:

 1万9,000~1万9,700円のレンジの中で、為替が110円台の円安となったことで1万9,300~1万9,500円の小さなレンジを突破して1万9,700円水準を試したことで、目先一服感が出るか、それとも米国株高を円安が続いて、さらに戻りを試すことになるのか見極めるところです。

 外部環境としては、9月9日の北朝鮮の建国日に向けて再度のミサイル発射の可能性もあり、地政学的リスクが高まる局面です。結局、3日の日曜日の午後、北朝鮮は水爆の核実験を実行しました。今週は、この北朝鮮の情勢に米国がどう対応するのかの様子見となって上値の重い展開となり、1万9,300~1万9,700円のレンジで下値をさぐる展開が想定されます。

 

(指標)NYダウ

先週の予測:

 北朝鮮リスクやトランプ政権の政治リスクへの懸念から上値は限的で株式市場は不安定な動きを想定しました。 

結果:

 経済指標が好調で米国の景気回復が期待され、それにもかかわらず早期利上げ観測が出なかったことで株価は上昇。ナスダックは史上最高値更新、NYダウも再び2万2,000ドル回復を目指す動きとなりました。29日(火)の朝方、北朝鮮は日本上空を通る弾道ミサイルを発射。一時的に▲135ドルの21,673ドルまで下げるもののすぐに織り込み、その後の経済指標の予想を上回る結果を受けて、4日連続の上昇となり週末は一時2万2,038ドルまで上昇して+39ドルの2万1,987ドルで引けました。


 先週末の8月雇用統計が予想を下回ったことで利上げ観測が後退し、一方で米国経済は好調との見方から株価は上昇する動きとなりました。

今週の予測:

 9月末の政府の債務上限引き上げでの可否で政府機関封鎖の懸念が強まっていましたが、ハリケーン災害の復興が遅れないようにするため、閉鎖の懸念は後退しています。

 一方で北朝鮮リスクは再度ミサイル発射があれば緊張が高まってくることになります。トランプ政権の政治対応と北朝鮮問題の動きを見極めながらの相場の動きとなりそうですが、NYダウが8月8日の2万2,179ドルを引線の終値で超えてくると、柴田罫線で「ろく買」という追加の買法則が出て、もう一段の上昇が期待できることになります。

 

(指標)ドル/円

先週の予測:

 前週末の26日(土)の北朝鮮のミサイル発射による地政学的リスクやトランプ政権の政治的混乱の懸念から為替の方向感が出にくく1ドル=108~111円のレンジを想定しました。

結果

 週始めは北朝鮮の日本上空を通過する弾道ミサイルの発射を受けて8月29日(火)には一時108.27円までドルが売られました。しかし。その後は好調な経済指標が相次いだことで米国の経済回復期待からナスダックが史上最高値を更新。株式が4日連続上昇となってドルも買われ8月31日(木)は110.67円の高値をつけ、週末の9月1日(金)は110.28円で引けました。 想定した108~111円のレンジの下限から上限までの動きとなりました。さらに円安を試すには111円を終値で上回ると柴田罫線でドルの買転換出現となります。

今週の予測:

 トランプ政策とFRBの金融政策の不透明感が広がっていることから方向感のない展開が想定されます。トランプ大統領のメキシコ国境付近の壁建設に関し、予算の問題で議論が長引けば税制改革の論議が停滞し、ドル売り優勢になる可能性があります。一方で経済指標が好調であれば年内追加利上げ観測が再燃しドルが買われることになります。目先は1ドル=111円を突破できれば112円を試す動きとなりそうです。

 

(出島 昇)

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