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究極の逆張り投資家ウォーレン・バフェットの現金比率からバブルの賞味期限を読む

トウシル / 2019年7月11日 17時40分

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究極の逆張り投資家ウォーレン・バフェットの現金比率からバブルの賞味期限を読む

景気拡大末期の最大の運用目標は資産保全である

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は半期に一度の議会証言で、「貿易摩擦への懸念や世界経済減速への不安によって経済見通しを巡る不透明感が増している」とし「必要に応じ行動する」と言明した。パウエルFRB議長のハト派のトーンを受けて、7月末の利下げが実施されるとの観測が強まっている。 

出所:ゼロヘッジ

 パウエルFRB議長は気の毒な男だ。景気が過去最大の120カ月超も拡大しているのなら、米国の政策金利は4~5%になっていてもおかしくないはずだ。イエレン前FRB議長の利上げが大幅に遅れたためにパウエルはその後始末として景気サイクルの末期で利上げに追い込まれたのである。

 しかし、利上げ開始の時期が遅すぎた。借金大国の米国は貿易戦争の渦中にあり、もう金融緩和を止められないだろう。イエレン前FRB議長の負の遺産を引きついだパウエルFRB議長は、株価や景気の循環(景気の山と谷)は決して認めないトランプ米大統領と市場によって、株式市場が停滞するたびに、利下げを催促されるだろう。

FFレート(米政策金利)の推移とバブルの崩壊 

出所:ゼロヘッジ

 パウエルFRB議長が「何でもやる」「金融危機時に用いた手法を非伝統的と呼ぶのはやめるべきであろう」と発言していることから、現在の全資産バブルがさらに延命する可能性がある。これは片道分の燃料を積んで飛び立っていった神風特攻隊の悲劇のような政策で、バブルが延命すればするほど、その後始末は手に負えないものになるだろう。

グリーンストリート商業不動産指数 リーマンショック前のピークからさらに3割上昇

出所:グリーンストリート

バフェット指標(株の時価総額÷GDP)

CAPE(シラー式PER) 過去の平均値に比べ4割割高

 動かない為替相場でどうやって収益を上げるか!?

 昨日はパウエルFRB議長の議会証言を受けて、外為市場ではドルが全面安となった。外為市場ではじりじりとドル安が進んでいるものの大幅な動きはなく、嵐の前の静けさのような状況だ。こうした中、ドル/円もユーロ/ドルも逆張りシグナルがワークしており、主要通貨でどうにかトレンドが出ているのはポンド/ドルくらいである。

ドル/円(日足)と<逆張り>シグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 ユーロ/ドル(日足)と<逆張り>シグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/ドル(日足)と<逆張り>シグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/ドル(日足)と<順張り>シグナル

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 2019年5月30日のレポート「動かない為替相場でどうやって収益を上げるか!?」で取り上げたユーロ/ドルとポンド/ドルの『フィルター付きの逆張り売買』を筆者はずっと続けているが、この売買手法は悪くない成績だ。

 これはストキャスティクスを使った逆張り売買だが、どういうフィルターが付いているかというと、「相場が200日EMA(指数平滑移動平均線/Exponential Moving Average)を下回っている局面では押し目買いを休止、一方、相場が200日EMAを上回っている局面では戻り売りを休止する」というものだ。筆者はフィルターに200週EMAを使っているが、200週のSMA(単純平均)を使っても差し支えないだろう。

ユーロ/ドル(日足) フィルター付逆張り売買シグナル

上段:200EMA(赤)・売買シグナル
下段:ストキャスティクス5.3.3
出所:石原順

ポンド/ドル(日足) フィルター付逆張り売買シグナル

上段:200EMA(赤)・売買シグナル
下段:ストキャスティクス5.3.3
出所:石原順

 逆張りは相場に逆らってポジションをとる売買手法であり、ストップロスを置かないと大きな損失を被る可能性がある。それらに十分留意したうえで、逆張り指標を使っていただきたい。あらかじめストップ注文を置いておくか、最悪でも「間違ったと思ったら直ちに損切りすること」が重要である。

ウォーレン・バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家

 ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの現金比率は2016年以降上昇し、現在手元現金が1,110億ドル(約12兆円)に達している。投資するものがないので自社株買いをする(バフェットとしてはそれが一番安全だということだろう…)と言っているが、次の危機に備えた動きだろう。

 バフェット指数(米国株式市場の時価総額の名目GDP[国内総生産]に対する比率)が150%近い現状では、バフェットは少なくとも長期の買いポジションを持つ時期ではないという判断のようだ。 

バークシャー・ハサウェイ(BRK-B) の月足と順張り売買シグナル

出所:石原順

 バークシャー・ハサウェイの現金ポジションの前回のピークは、金融危機直前の2007年末の433億ドルである。2008年にはリーマン危機の最中、ゴールドマンサックスの株を安く手に入れて大もうけしたが、2008年末の現金ポジションは255億ドルに減っていた。 

バークシャー・ハサウェイの現金ポジションとS&P500の推移

 ウォーレン・バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家だ。これは、なかなかできることではない。人間の心理に素直に従って投資行動をすると、暴落する前に株を買い、暴落すると株を売らざるを得ないというバフェットと逆の行動になってしまうのである。

 今週7月10日の楽天証券のラジオ番組『楽天証券PRESENTS 先取り★マーケットレビュー』(ラジオNIKKEI)では、『ウォーレン・バフェット特集』と題して、バフェットの注目銘柄や、バークシャー・ハサウェイの現金ポジションからみた相場の賞味期限について言及している。

『楽天証券PRESENTS 先取り★マーケットレビュー』はYouTubeでも視聴が可能である。

 FFレートと10年国債の逆イールド状態が恒常化している。逆イールドやバークシャー・ハサウェイの現金ポジションから考察すると、2019年後半からの相場は注意を要する時間帯に入る。

米国のイールドカーブ

出所:ヤルデニリサーチ  

(石原 順)

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