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ファンドの帝王レイ・ダリオがパラダイムシフトによるゴールド投資を推奨!

トウシル / 2019年7月18日 16時38分

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ファンドの帝王レイ・ダリオがパラダイムシフトによるゴールド投資を推奨!

ファンドの帝王レイ・ダリオがゴールド投資を推奨

 ゴールド先物相場が6年2カ月ぶりの高値水準まで上昇しているが、現在のゴールド相場はここからもう一段高するか、もうしばらく買われ過ぎ調整が続くのか、微妙な形状となっている。

ゴールド先物(日足)

出所:石原順

 ゴールド相場の展望については、2019年6月27日のレポート「ゴールドの1,400ドル超えはドル安相場の号砲か!?」に書いたので、そちらを読んでいただきたい。

 特筆すべきは、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる米著名投資家のレイ・ダリオが、7月17日、リンクトインに「パラダイムシフト」と題する投稿をして株ではなくゴールドへの投資を推奨したことだ。

 昨日の相場の話題はレオ・ダリオの投稿で、この日のマーケットは株安、ゴールド高、ビットコイン安、債券高(金利低下)で反応した。

レイ・ダリオ「パラダイムシフト」7月17日

 10年に一回、パラダイムシフトが起こる!? 1920年から2019年までのダリオのマクロ経済分析を反映したチャートが興味深い…

 レイ・ダリオは、リンクトインへの投稿で、「ほとんどの中央銀行が通貨の価値を下げることを望んでいる場合、『次の通貨』を検討するのも良い機会だ。ほとんどの人は現在のリスクある投資で株式、レバレッジド・プライベート・エクイティファンド、ベンチャーキャピタルなどへの投資を考えていると思うが、私はこれらが実質的に良いリターンをもたらす投資となる可能性は低いと思う。バランスの良いポートフォリオを持つためにゴールドを追加することは、リスク軽減と収益向上の両方につながるだろう」と、相場観を語っている。

動揺するレバレッジドローン市場

 米当局がしきりにレバレッジドローン市場やクレジット市場のリスクを警告しているが、この市場の“非流動性”が話題となっている。

【インクジェットカートリッジから携帯電話までさまざまなもののリサイクルを手掛けるクローバー・テクノロジーズのローンの価格が急落した。

 同社が5年前に借り入れた6億9,300万ドル(約750億円)のローンがこの1週間に、約48時間の間にほぼ3分の1の価値を失った。その驚異的な値下がりで、企業向けローンの売買を手掛ける熟練の投資家さえも損失を被った。


 クローバーのローンの規模はウォール街の基準では特に大きくはないが、その急激で大幅な値下がりはあらためて市場に警鐘を鳴らした。規制当局は数カ月前から警告を発しているが、クローバーの件は、世界的な利回り追求が借り入れ増大と緩い引き受け基準をもたらしているレバレッジドローン市場のリスクを浮き彫りにする事例となった。取引が薄くなる可能性のある市場で、非流動性が突然クレジット市場の主要な懸念材料となっている時期に、レバレッジの高い企業向けのローンがいかに急速に値崩れし得るかをこの例は示している。

 流動性の低さを考えると、買い手が「同時に売ろうとすれば、価格は急激に下落し得る」と、債務再編を専門とする投資銀行GLCアドバイザーズのソーレン・レイナートソン氏が述べた。】(2019年7月17日 ブルームバーグ『レバレッジドローンの価格急落、クレジット市場の重大リスクが鮮明に』)

 一方、ブルームバーグの報道によると、日本勢のイールドハンティングは相変わらず活発なようだ。これについて、米ボストン連銀のローゼングレン総裁は「金融のシステミックな不安定性を予防するための規制政策を増強するよう、米国と日本は検討すべきだ」と、警鐘を鳴らしている。「日本の銀行の一部は懸念すべきほど高水準のCLO(ローン担保証券)を取得している。低利回り環境と相まった利回り追求を狙ったと受け止められる動きは、将来的に万が一世界的なリセッション(景気後退)に見舞われた場合、日本の銀行が引き続きレジリエンスを保ったままでいられるか重要な疑問を生じさせる」と、警戒感をにじませているという。

【米国のCLO市場は今年初めに最大の買い手にほぼ別れを告げたが、ここにきて日本の農林中央金庫が戻ってきた。

 事情に詳しい複数の関係者によると、農林中金は4月に市場の監視が強まった中で劇的に縮小していたCLOの購入を再び始めた。レバレッジドローンをまとめて証券化したCLOのマネジャーは農林中金が不在の中、ほかに買い意欲のある投資家を見いだしたと関係者は匿名を条件に話した。

 ブルームバーグの試算によると、農林中金はつい最近まで、6,000億ドル(約65兆円)規模のCLO市場で圧倒的なプレゼンスを持ち、欧米では昨年10-12月(第4四半期)に最高格付けのCLOの最大半分を購入していた。それが記録的な市場の成長を支えた半面、金融庁などの監視に拍車を掛け、同市場における農林中金の並外れた役割に関心が集まり、最近の投資縮小につながっていた。しかし農林中金不在の中でもCLOの発行は記録的なペースに近い水準で推移。利回りを渇望する投資家の間での人気の高さを浮き彫りにしている。】(2019年7月9日 ブルームバーグ 『米CLO市場に農林中金戻る-当局の監視強化でいったん投資縮小後』)

 ミンスキー・モーメント(信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイント)では、突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する。中央銀行が人為的に作っている流動性があるうちに、手仕舞うのは相場の鉄則であろう。

「これまでは、乱高下するフラッシュ・クラッシュや債券利回りと株価の急な変化にとどまっている。だが、時間が経つにつれて、中央銀行が短期変動率を抑制しようとする流動性創出が長引けば長引くほど、中央銀行は株式、債券そしてその他資産市場の価格バブルをあおってしまう。より多くの投資家が、過大評価された、債券のような一段と非流動的な資産を積み上げるにつれて、長期的なクラッシュのリスクが増加する。これは金融危機への政策対応の皮肉な結果である。マクロ流動性はブームとバブルをあおっている。だが、市場の非流動性が、究極的には暴落と崩壊の引き金を引くだろう」とヌリエル・ルービニが指摘する『市場の非流動性』に注意すべき局面が、そろそろ到来するとみているファンド運用者は少なくない。

ポンド相場の行方

 レイ・ダリオは、米国の資本主義は金持ちと貧困層のひどい格差を生み出しており、こうした格差の全てが米国の競争力をそぎ、『悪い争いが起きる高いリスク』を引き起こし、『実在する脅威』になると指摘している。

 ダリオはこの数十年、多くの米国人の所得が増加していないことや、ボトム60%の多くの人々が貧困にあることなど、いくつかのデータを示しつつ、資本主義は多くの米国人にとって正しく機能しておらず、収入、教育、富、そして機会の格差を助長していると指摘した。

 さらに、こうしたひどい状況を作ってしまった責任はどこにあるのかについて、『意地の悪い金持ち』でもなく『怠け者の貧乏人』でもない、強欲資本主義そのものにあるとして、改良が必要だと述べている。

 米国の貿易戦争、英国のハードブレグジットなど、すべては貧富の差が生みだした産物である。そうしたなか、英国では次期首相候補のジョンソン氏とハント外相が「メイ首相の離脱協定案に盛り込まれたアイルランドとの国境問題に関する安全策(バックストップ)を、期限が設定されても受け入れない意向を示した。英国は「合意なきEU離脱」に向かっており、ポンド相場が売られている。

 ポンド相場は基本的に売りの相場である。売りトレンド相場に乗るか、あるいは戻り売りの逆張りシグナルに従うのがよいだろう。

ポンド/ドル(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/円(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター

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 7月17日(水)の楽天証券のラジオ番組『先取り★マーケットレビュー』では、「米国株投資とアマゾン帝国の行方・バフェットは何が凄いか!?」をテーマに、米国株投資のエッセンスと投資手法を公開しています。ぜひ、ご視聴ください。

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 陰鬱博士と呼ばれるマーク・ファーバーは、「ミレニアル世代の多くはおカネを持っていない。だが、ファンド運用会社で働いている。そのほとんどが投じているのは他人のおカネだ。1985年以降に生まれたミレニアル世代はFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)といった類の銘柄で陶酔感に浸る小さな集団を形成している。彼らはここ数年、FAANG系株式への投資を推奨したことで尊敬を勝ち取ってきた。市場平均を大幅に上回った成績を出してきたからだ。だが、大部分の市民はバブルに関与していない。ほとんどの人に貯蓄がなく、そのため投資ができないからだ。しかも、バブルがあまりにも広範囲に及んでいるため、それを識別して参加できない」と、述べているが、筆者の観るところではFAANG、GAFA、BIG5(アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト)への投資はまだまだ続くだろう。その分野しか、経済成長がないからである。

(石原 順)

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