週末に揺れ動いた日本株。急落と急反発は「迷い」か「変化の予兆」か?
トウシル / 2019年7月22日 13時34分
週末に揺れ動いた日本株。急落と急反発は「迷い」か「変化の予兆」か?
先週の日経平均は下落基調。週末の荒い値動きに注目
連休明けで4営業日だった先週の国内株市場ですが、週末(7月19日)の日経平均株価終値は2万1,466円でした。前週末終値(2万1,685円)からは219円安、週足ベースでは2週連続の下落です。
前回のレポートでは、日柄調整をこなしつつ、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」を実現できるかが注目されると指摘しましたが、下の図1を見ても分かる通り、ひとまず「お預け」です。
むしろ、5日移動平均線が25日と75日移動平均線を「デッド・クロス」してしまっています。
(図1)日経平均(日足)の動き(2019年7月19日取引終了時点)
実際に、先週の日経平均の値動きをたどると、日柄調整というよりは下落基調が続きました。週初からの3日続落のうち、とりわけ18日(木)の下げが目立っています。
この大きな陰線の出現によって3本の移動平均線(5日・25日・75日)を下抜け、取引時間中には節目の2万1,000円台を割り込む場面も見られました。
このまま相場のムードが悪くなってしまうのではと思われたものの、翌19日(金)は急反発し、大きな陽線が描かれたことで前日に下抜けた移動平均線を抜き返しています。
したがって、この18日(木)と19日(金)の2日間の動きをどう読み解くのかがポイントになりそうです。
急落と急反発は何を暗示している?
そもそも、18日(木)の下落の要因として、前日の米国株市場が利下げ期待の後退観測で下落していたことや、政治イベント(参議院選挙)や企業決算の見極めによる様子見、為替の円高、米中摩擦の長期化懸念などが挙げられています。
ただし、これらは新たに登場した材料ではありませんし、想定外の特別な動きがあった訳でもありません。
また、これまでの株価の反応としては、「一段安でスタートした後にもみ合いの小動きが続く」というパターンが多く、取引時間中も下げ幅を拡大するという展開はあまり見られなかった光景です。
さらに、翌19日(金)の取引も、自律反発期待以外にコレといった材料がない中で上値を伸ばし、当日の高値圏を維持して終えています。そのため、2日間にわたる荒い値動きに対して「何だか良く分からない」という感想をお持ちの方も多いのではないのでしょうか?
「それを分析するのがお前の仕事だろう」と言われてしまうと返す言葉がないのですが、値動きの理由を追求するよりも、「突如として株価が大きく動く展開が発生したこと」そのものを捉える方が重要で、近いうちに相場に方向感が出てくるかもしれないことを意識しておく必要が出てきたのかもしれません。
では、この先週の動きは上方向と下方向のどちらを暗示しているのでしょうか? 判断が難しいですが、いくつか状況を整理してみます。
まずは、先週末19日(金)の大きな陽線についてです。下落基調で現れる大きな陽線は「バケ線」と呼ばれ、下落が続くことが多い形とされています。「相場の流れに大きく逆らう線はかえって一時的になりやすい」という考え方です。
確かに、19日(金)の陽線は大きく、バケ線となって下落が続いてしまいそうな感じではありますが、前日の18日(木)のローソク足を上回っただけで、2日前の17日(水)には届いていません。
つまり、19日(金)の陽線はその大きさが示すほど、下落基調に抗っている線にはなっていません。また、先ほども触れたように、終値が3本の移動平均線を上抜けていますので、早い段階で2万1,500円台に乗せることができれば、反対に株価上昇が加速していく展開も考えられます。
もちろん、今週が続落で始まった場合にはセオリー通り、下方向への意識が強まってしまいます。
週足チャートは「三角もちあい」の様相強める
続いて、週足のチャートでも確認します。
(図2)日経平均(週足)の動き (2019年7月19日取引終了時点)
週足ベースのローソク足は下ヒゲの長い陰線になっていて、週末の株価反発の動きが反映されている格好です。
いわゆる「首吊り線」と呼ばれる形なのですが、ローソク足のヒゲは「揺らいだ気持ち」を表すとされていますので、下ヒゲが示した安値2万1,000円台割れを再びトライする可能性があります。
一般的に、「ヒゲの長さが実体の長さの3倍以上」あると強い首吊り線と言われていますが、先週のローソク足を見ると、実体の長さ(178円)に対して、ヒゲの長さ(473円)が約2.6倍となっているため、やや強めの線と判断できます。
さらに、高値は52週移動平均線に抑えられ、下ヒゲの部分は13週と26週の移動平均線を下抜けていますので、こちらは上値の重たさを感じさせます。
また、チャートの形を見ると、「三角もちあい」の様相を強めています。19日(金)の取引終了時点では、もちあいの上限の線に近いところに株価が位置しているため、総合的にはやや上方向が優勢であると考えて良いと思われますが、下ヒゲによる揺らいだ気持ちがあったことや、株価が大きく動きやすくなっていることには注意しておいた方が良さそうです。
今週はネガティブな展開が先行しそう
そのため、週末に揺れ動いた株価が示しているのが「迷い」なのか、それとも「変化の予兆」なのかを探っていく展開が今週の焦点になります。
上方向の意識と下方向の意識が綱引きをしている状況ですので、前回も紹介した、高値どうしと安値どうしを結ぶトレンドラインを描いていくことが引き続き有効と思われます(下の図3)。
(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年7月19日取引終了時点)
となると、赤いトレンドライン(4)を中心に、青いトレンドライン(3)と(4)までの範囲が今週のメイン想定レンジになりそうですが、想定レンジのスペースは下方向の方が広いため、今週の日経平均はネガティブな展開が先行しそうです。
(土信田 雅之)
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