第三章これがベストセラーだ
トウシル / 2015年1月14日 0時0分
第三章これがベストセラーだ
トップ10銘柄
下は純資産が大きく、活発にトレードされている10銘柄です。
銘柄 | コード | 純資産(10億ドル) | 平均出来高(百万株) |
---|---|---|---|
SPDR S&P500 ETF | SPY | 201.1 | 120.1 |
iシェアーズ・コアS&P500 ETF | IVV | 70.4 | 4.68 |
iシェアーズMSCI EAFE ETF | EFA | 54.48 | 16.8 |
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1 | QQQ | 45.21 | 38.9 |
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | VTI | 50.7 | 2.6 |
バンガードFTSEエマージング・マーケッツETF | VWO | 65.7 | 12.1 |
iシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF | EEM | 37.12 | 63 |
SPDRゴールド・シェア | GLD | 27.73 | 6.98 |
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF | IWM | 25.86 | 43.4 |
バンガードS&P500 ETF | VOO | 26.5 | 1.4 |
この他に純資産ベースでは上記の各銘柄に匹敵する大きな債券型ETFがあるのですが、それは出来高が少ないのでリストから割愛しました。
ここに掲げた10銘柄は、いずれも大変活発に取引されています。したがって第二章で論じたような、NAVとETFとの間の乖離は起こりにくいです。
単刀直入に言えば、若し皆さんが初めてETFに投資を考えているのであれば、上の銘柄のうちのどれかを手始めに買ってみるのが良いと思います。
初めてETFに投資するのならここに掲げた人気10銘柄の中から選ぶこと
SPDR S&P500 ETF
SPDR S&P500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)は「エス・ピー・ディー・アール、エス・アンド・ピー五百イー・ティー・エフ」と読みます。SPDR S&P500 ETFはアメリカで最初に考案されたETFであり、「SPY=スパイ」というティッカーシンボルが覚えやすいことも手伝って、世界の投資家に最も認知度が高いETFとなっています。同ETFはアメリカの代表的株価指数であるS&P500指数をなぞるように設計されています。S&P500指数は後で述べるMSCIと並んで機関投資家がベンチマークとして用いることが多いです。
SPDR S&P500 ETFの組み入れ上位10銘柄は下の表の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 |
---|---|
アップル | 3.77 |
マイクロソフト | 2.19 |
エクソン・モービル | 2.15 |
ジョンソン&ジョンソン | 1.67 |
バークシャー・ハサウェイ | 1.48 |
ゼネラル・エレクトリック | 1.43 |
ウエルズファーゴ | 1.4 |
プロクター&ギャンブル | 1.33 |
JPモルガン・チェース | 1.23 |
シェブロン | 1.16 |
その他 | 82.19 |
また同ETFのセクター構成比は下のパイチャートのようになっています。
トレーダーがてっとりばやくアメリカ株の比重を増やしたいと思った時、個別株をいちいち拾うのは面倒だということでSPDR S&P500 ETFをドカンと買い込んで相場についてゆこうとすることが多いです。つまりトレーディングの対象として同ETFは極めてポピュラーなのです。このためSPDR S&P500 ETFの出来高は目の玉が飛び出るくらい大きいです。
みなさんがじっくり考えて、丹念に自分の投資目的を具現化するETFのポートフォリオを組む際、SPDR S&P500 ETFは投資対象に入らないかも知れません。それについては後で述べます。しかし兎に角、「サッとトレードしたい」というのであればこれに勝る銘柄は無いと考えます。
SPDR S&P500 ETFの株価収益率(PER.)は17.30倍、株価純資産倍率(PBR)は2.74倍、配当利回りは1.78%です。(2014年12月2日現在、ステートストリート)
運用会社はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.0945%です。
iシェアーズ・コアS&P500 ETF
iシェアーズ・コアS&P500 ETF(ティッカーシンボル:IVV)はひとつ上で紹介したSPDR S&P500 ETFと同じく、S&P500指数をベンチマークとしています。運用会社はブラックロックです。
同ETFは2000年5月から取引が開始されました。こちらの方が後発である関係で、知名度はSPDR S&P500 ETFほど高くありません。その商品性としては両者の差異は殆ど無いと言えます。ただiシェアーズ・コアS&P500 ETFの方が出来高が少ないです。それでも毎日400万株以上出来ているので、第二章で説明したようにトレードがまばらすぎてNAVとETF価格との間での乖離が広すぎるという問題は発生しません。実際、iシェアーズ・コアS&P500 ETFの平均プレミアム・ディスカウントは0.02%で、これはSPDR S&P500 ETFの平均プレミアム・ディスカウントと全く同じです。
iシェアーズ・コアS&P500 ETF の株価収益率(PER.)は19.55倍、株価純資産倍率(PBR)は2.88倍、配当利回りは1.79%です。(2014年12月1日現在、ブラックロック)
強いて言えばiシェアーズ・コアS&P500 ETFはエクスペンス・レシオが0.07%と低いため、長期で保有する投資家にはこちらの方が僅かに有利と言えます。
iシェアーズMSCI EAFE ETF
iシェアーズMSCI EAFE ETF(ティッカーシンボル:EFA)の「EAFE」とはヨーロッパ、オーストラエイジア、ファーイーストの略です。つまりアメリカとカナダを除いた先進国のことを指します。具体的には英国、日本、フランス、スイス、ドイツ、オーストラリアなどの15か国です。
なおMSCIとは「モルガンスタンレー・キャピタルインターナショナル」の略で、投資銀行であるモルガンスタンレーと投信会社であるキャピタルインターナショナルが年金などの機関投資家の運用の際のベンチマークとして、そもそも機関投資家がちゃんと市場で買える株を基準にプロの投資ユニバースを定義したものです。もっとくだけた言い方をすれば政府系企業で政府が株主となっている部分や株式の持ち合いで市場に出てこない株などを時価総額の計算から除外した指数と言えます。いまではMSCIは独立会社として米国に上場されています。
このETFはアメリカの投資家が手っ取り早く海外の先進国全般に投資したいときに利用されることが多いです。上述したSPDR S&P500 ETFやiシェアーズ・コアS&P500 ETFとはまったく重複が無いため、それらのどちらかひとつと、このiシェアーズMSCI EAFE ETFを両方ポートフォリオに入れることで、ほぼ先進国すべてを網羅する……という使い方をするときもあります。なおiシェアーズMSCI EAFE ETFの約21%は日本株で占められているため、我々日本の投資家がグローバル・ポートフォリオを構築する際は、自分がETFとは別に保有している日本株のポートフォリオと一部重複してしまう可能性がある点に気を付ける必要があります。
iシェアーズMSCI EAFE ETFの組み入れ上位10銘柄は下の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 |
---|---|
ネスレ | 1.88 |
ノバルティス | 1.72 |
ロッシュ | 1.64 |
HSBC | 1.64 |
トヨタ | 1.33 |
ロイヤルダッチ | 1.02 |
バイエル | 0.96 |
BP | 0.93 |
トタール | 0.91 |
サノフィ | 0.9 |
その他 | 87.07 |
iシェアーズMSCI EAFE ETFの株価収益率(PER.)は16.09倍、株価純資産倍率(PBR)は1.75倍、配当利回りは3.52%です。(2014年12月1日現在、ブラックロック)
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.33%です。
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(ティッカーシンボル:QQQ)はナスダック100指数をベンチマークとするETFです。ナスダック100指数はナスダックの大型株100銘柄から構成される株価指数であり、一般にS&P500指数にくらべて値動きが大きく、その分、トレーディング向けだと考えられています。従ってQQQを好んでトレードする個人投資家も多いです。
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1の組み入れ上位10銘柄は下の表の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 |
---|---|
アップル | 14.41 |
マイクロソフト | 8.38 |
インテル | 3.85 |
グーグル(GOOG) | 3.78 |
フェイスブック | 3.52 |
グーグル(GOOGL) | 3.2 |
ギリアド | 3.18 |
アマゾン | 3.15 |
シスコ | 2.96 |
アムジェン | 2.64 |
その他 | 50.93 |
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1の株価収益率(PER.)は20.08倍、株価純資産倍率(PBR)は4.43倍、配当利回りは1.28%です。(2014年12月1日現在、インベスコ)
同ETFのエクスペンス・レシオは0.20%です。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(ティッカーシンボル:VTI)はCRSP USトータル・マーケット指数をなぞるように設計されています。もっとわかりやすい言い方をすれば、アメリカ株全体の動きをフォローするように設計されています。その関係で組み入れ銘柄数は3784銘柄にも上ります。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの株価収益率(PER.)は20.3倍、株価純資産倍率(PBR)は2.70倍です。(2014年10月31日現在、バンガード)
運用会社はバンガードで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.05%です。みなさんがじっくり考えて、丹念に自分の投資目的を具現化するETFのポートフォリオを組む際、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFは考慮するに値するETFです。なぜならこれひとつでアメリカ株を網羅できるからです。また費用比率が極めて低い点も長期保有に向いています。
バンガードFTSEエマージング・マーケッツETF
バンガードFTSEエマージング・マーケッツETF(ティッカーシンボル:VWO)は中国、ブラジル、台湾、南アフリカなど世界のエマージング・マーケットに投資できるETFです。ベンチマークはFTSEエマージング・マーケッツ指数です。
このETFは従来の様々なエマージング・マーケット投信に比べて中国ならびに台湾の比率が高いです。またBRICsが全体の半分を占めています。いまはBRICsブームが退潮しているのでこれらの国々に対して強気でない投資家はこのETFに投資すべきではないと思います。
バンガードFTSEエマージング・マーケッツETFの株価収益率(PER.)は14.6倍、株価純資産倍率(PBR)は1.9倍です。(2014年10月31日現在、バンガード)
運用会社はバンガードで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.15%です。
iシェアーズMSCIエマージング・マーケッツETF
iシェアーズMSCIエマージング・マーケッツETF(ティッカーシンボル:EEM)はMSCIエマージング・マーケッツ指数をなぞるように設計されています。MSCIは既に説明したように実際に機関投資家が投資できるフリー・フロート(=浮動株)を指数設計の際、考慮に入れているため上述のFTSEエマージング・マーケッツ指数とは違う内容となっています。
iシェアーズMSCIエマージング・マーケッツETFの株価収益率(PER.)は12.66倍、株価純資産倍率(PBR)は1.63倍です。(2014年12月1日現在、ブラックロック)
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.67%です。
SPDRゴールド・シェア
SPDRゴールド・シェア(ティッカーシンボル:GLD)は金価格の動きをなぞるように設計されたETFです。2008年にリーマンショックが襲い、世界の投資家が金に避難先を求めた際、SPDRゴールド・シェアが人気化しました。金は保管が煩わしく、株式に比べて気軽に投資できなかったので、株と同じ感覚で金の値動きに投資できるSPDRゴールド・シェアは画期的な金融商品だったと言えます。
現在は金価格が下落基調で、このETFに対する人気も剥げています。同ETFの運用会社はステートストリートでエクスペンス・レシオは0.40%です。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(ティッカーシンボル:IWM)は米国を代表する小型株指数であるラッセル2000指数をなぞるように設計されたETFです。
一般に小型株は米国経済が底打ち、反転する際は一足先に上昇し始め、逆に景気が頂点をつけ反転する際にはいち早く崩れることで知られています。その意味では米国経済の先行指標とも言えます。iシェアーズ・ラッセル2000 ETFに投資する投資家は、小型株のこのような特徴を上手く利用することを目指しています。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETFの株価収益率(PER.)は29.86倍、株価純資産倍率(PBR)は4.00倍です。(2014年12月1日現在、ブラックロック)
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.20%です。
バンガードS&P500 ETF
バンガードS&P500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)はS&P500指数をなぞるように設計されたETFです。同ETFは常に業界で最もコストが安いことで知られるバンガードが提供しているだけあってエクスペンス・レシオは0.05%と極めて低いです。
バンガードS&P500 ETFの株価収益率(PER)は19.0倍、株価純資産倍率(PBR)は2.8倍です。(2014年10月31日現在、バンガード)
(広瀬 隆雄)
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