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「10万円以下で買える株」 選び方いろいろ

トウシル / 2017年9月8日 0時0分

「10万円以下で買える株」 選び方いろいろ

「10万円以下で買える株」 選び方いろいろ

執筆:窪田真之

今日のポイント

・10万円以下で買える株には、割安株が多いが、成長株は少ない。

・10万円以下で買える株の中から、投資銘柄を絞り込む方法はいろいろある。コンセンサス・レーティング(個々の銘柄に、多くのアナリストがつけた推奨レーティングの平均値をとったもの)の高い株、ROE(自己資本利益率)の高い株などが抽出可能。また、年初来高値を更新した株、株価がボリンジャーバンドで1.6σ以上2σ以下の株は、短期トレーディングの候補となる。

株投資のスクリーニングは、魚群探知機のようなもの

 準備万端ととのえて、海に釣りに行きました。ボートで乗り出したものの、「どこで釣っていいかわからない?さあ、困った」。ただ、でたらめに竿を出しても釣れるものではありません。でも、そんなとき、魚群探知機があれば、釣れる場所を絞り込めます。

 株式投資も同じです。3,600あまりある上場銘柄の中から、いい銘柄を見つけるのは、気の遠くなるような話です。でたらめに選んだ銘柄をひとつひとつ調査していったら、いい銘柄にたどりつくのに、どれだけ時間がかかるかわかりません。

 でも、そんなとき、スクリーニング(抽出)を活用できれば、助かります。スクリーニングとは、魚群探知機のようなもの。有望銘柄が集まっているところを、探り当てることができます。

 今日は、10万円以下で買える株の中から、さまざまな切り口で、投資候補となる銘柄群をスクリーニングする方法をご紹介します。

 今日のレポートは、以下のレポートの続編です。

 2017年9月5日の配信記事で、10万円以下で買える株についてレポートしたところ、大変、好評をいただきました。そこで、今日も続編でお届けすることにしました。

10万円以下で買える株には、割安株が多い

 10万円以下で買える株には、バリュー株(割安株)がたくさんあります。ただし、グロース株(成長株)はあまりありません。これまで人気がなく、あまり大きく株価が上昇してこなかったものが多いからです。

 もちろん、例外はあります。人気の成長株でも、何度も株式分割を繰り返し、最小投資金額を引き下げてきたものの中には、10万円以下で買える銘柄もあります。

 投資の初心者は、小口で投資できる大型割安株から投資を始めたほうがいいと考えています。割安株の中から、地味でも堅実経営の会社を探して投資していくと、後から振り返って、大きなリターンが得られることもあるからです。

 人気の成長株は輝いて見えるかもしれませんが、投資タイミングが難しく、初心者が初めて買う銘柄としては、ふさわしくないかもしれません。

 人の心は移ろいやすいものです。今人気の株が、1年後もそうとは限りません。人気絶頂の株の人気がなくなっていくときは、株価の下げが大きくなります。人気株を買うならば、その人気の変動を継続的にチェックしなければなりません。

 「人の行く裏に道あり花の山」~有名な相場格言です。不人気で割安になっている株の中から、堅実経営できちんと利益をあげている銘柄を買っていったほうが、かえって大きいリターンを得られる可能性があることを示唆するものです。

なるべく堅実経営で上昇トレンドに入りそうな株を選ぶ

 楽天証券スーパースクリーナーを使って、10万円以下で買える株の中から、さらに絞り込みを行います。今回は、以下の5通りのスクリーニング結果を示します。

(1)10万円以下で買える、時価総額が1兆円以上で、コンセンサス・レーテイングが高い株

 コンセンサス・レーティングとは、さまざまな証券会社アナリストの投資判断の平均値のことです。1から5までの数字で表します。個々のアナリストの投資判断を数値化して、その平均を出します。強気は5、やや強気は4、中立は3、やや弱気は2、弱気は1として、合計した上で、その平均値を計算します。
具体例で見てみましょう。三菱UFJフィナンシャルGのコンセンサス・レーティングは現在4.4です。その内訳は、以下の通りです。

<三菱UFJフィナンシャルGのレーティング分布> 

出所:楽天証券ウェブサイト

(2)10万円以下で買える、時価総額が500億円以上3,000億円以下で、コンセンサス・レーティングが高い株

 中小型株は、値動きが荒いので、大型株よりもリスクが高くなります。それでも、ご参考まで、時価総額がもう少し小さい銘柄のスクリーニングも用意しました。

(3)10万円以下で買える、ROE(自己資本利益率)の高い株

 近年、株式投資において、ROEの高い銘柄を評価する流れが強まっています。そこで、10万円以下で買える株の中で、前期実績でROEの高い株を抽出しました。

(4)10万円以下で買える、年初来高値を更新している株

 日経平均は冴えない動きが続いていますが、個別に好材料の出ている株では、年初来高値を更新しているものもあります。9月7日時点で、年初来高値を更新している銘柄を抽出しました。これは、テクニカル分析での選定になります。短期トレーディングの候補と考えてください。

(5)10万円以下で買える、ボリンジャーバンドで+1.6σから+2σの範囲に入る株

 こちらも、短期トレーディングの候補銘柄です。短期テクニカル指標として、私がファンドマネジャー時代、ボリンジャーバンドをもっとも重視していました。ボリンジャーバンドの詳しい説明は割愛しますが、その意味だけ説明します。

 ボリンジャーバンドでプラス1.6σからプラス2σということは、短期的に勢いよく上昇しているということを意味します。短期トレーディングでは、逆バリは禁物です。勢いよく上昇してきた株に順バリで乗っていくのが大道です。

 とは言っても、短期的に上昇し過ぎている株は、反落の危険性があるので注意します。勢いよく上昇を始めた初動に乗るのが、大切です。スクリーニングで選んだ銘柄の日足チャートを1つずつ見て、「上昇の初動」と考えられるものにしぼって投資します。

 私は、25年間、日本株のファンドマネジャーをやってきた経験から、上昇力の勢いがボリンジャーバンドで+1.6σ以上+2σ以下のものに、短期トレーディングの良い候補が多いと考えています。+2σを超える銘柄は、短期的に上昇しすぎで反落の可能性があると考え、避けます。

スクリーニング結果から

 それでは、ここから、スクリーニング結果を示します。最初にお断りしておきますが、これから挙げる銘柄は、買い推奨銘柄ではありません。買い推奨銘柄を選ぶための候補となる銘柄群ですが、きちんと取材して調査するまでは、買い候補とはなりません。つまり、おしゃれなレストランの調理場の舞台裏で、食材を切り刻んでいる姿をお見せしているようなものです。

 今日は、その切り捨てる前の皮や不要部分を含んだものを、そのままお見せします。これを理解した上で、スクリーニング結果をご覧ください。

10万円以下で買える、時価総額1兆円以上、コンセンサス・レーティング3.8以上の株

出所:楽天証券スーパースクリーナー

10万円以下で買える、時価総額500億円以上3,000億円以下、コンセンサス・レーティング4.0以上、予想PER20倍以下の株

出所:楽天証券スーパースクリーナー

10万円以下で買える、前期決算でのROE実績が20%以上、コンセンサス・レーティング4.0以上の株

出所:楽天証券スーパースクリーナー

10万円以下で買える、年初来高値を更新している株:前日比は9月7日の株価上昇率

出所:楽天証券スーパースクリーナー

10万円以下で買える、株価がボリンジャーバンドで+1.6σ以上+2σ以下の銘柄

出所:楽天証券スーパースクリーナー

※楽天証券HPでは、さまざまな条件を指定して、その条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)する「スーパースクリーナー」というツールを提供しています。スーパースクリーナーの使い方は、以下をご参照ください。
「スーパースクリーナーを使った銘柄分析方法を動画で解説」 

(窪田 真之)

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