前編:桐谷さんと杉原杏璃さん登場!株主優待に救われた人生
トウシル / 2019年8月29日 9時54分
前編:桐谷さんと杉原杏璃さん登場!株主優待に救われた人生
楽天が開催したイベント「Rakuten(7月31日~8月3日)」に優待投資家・桐谷広人さんと株タレントとしても活動している杉原杏璃さんが登場。「進化した私の投資スタイル」をテーマに、草食投資の優待投資術や肉食投資術について対談。その内容を前編・後編に分けてお伝えします。
株で失敗し家賃も払えない時、優待品に救われました――桐谷
――お二人の投資歴から教えてください。桐谷さんはどのような経緯で株式投資を始めたのですか。
桐谷 私は25歳のときにプロ棋士になり、29歳になったときに東京証券協和会の将棋部の師範になりました。
それから5年がたったある日、私が住んでいた杉並区阿佐谷に、ある証券会社の支店長さんから、将棋が好きなので一度お会いしたいと電話をいただきました。その縁で株式投資を始めたのです。
――株式投資に、はまったそうですね。
桐谷 ちょうどバブルの前の1984年でした。その後、どんどん上がり、1989年12月には日経平均株価は最高値の3万8,915円をつけるわけです。
株式投資を始めたのは、株価が上昇し始めたところだったので、試しに1銘柄を買ってみたら利益が出たので、はまってしまった。本職の将棋よりも利益が出ると欲を出してしまいました。バブルの頂点では、1億円儲けて、バブルがはじけて1億円損をしました。
杉原 「往って来い」になってしまったのですね。
桐谷 調子よくスタートして、大損をして、また取り返すと、また大損の繰り返しで二十数年間が過ぎました。その経験のおかげで優待投資を考えるようになったのです。
――一番大きな損失を被った銘柄はなんでしたか。
桐谷 一つのこの銘柄と言うより、信用取引を使ってたくさんの銘柄を買っていた2008年、リーマン・ショックによって株価が暴落して大損をしました。口座にあった3億円が5,000万円まで減ったので、2億5,000万円の含み損ですかね。
杉原 信用取引は少額の資金でもたくさんの株を買える仕組みですが、その分、ハイリスク、ハイリターンですからね。
桐谷 2007年に引退して、悠々自適の生活ができたのに、もっと資産を増やしたいと思って信用取引を始めました。ですが、米国でサブプライムローン問題が発覚した。
それでも評論家の人たちは「たいしたことはない」というのです。その言葉を信じて勝負に出たら、リーマン・ショックです。もう体調は悪くなるし……。
――どうやって乗り切ったのですか。
桐谷 故郷・広島の父親や妹に援助をしてもらって助かりました。このとき、株式市場は、もうだめだと言う人が多かった。
でもここで損切りをしたら、2億5,000万円の損失を取り返すことができないので、含み損を抱えたまま回復を待ちました。その体験から、株式投資は辛抱が大事だと考えるようになりました。
――その体験から優待株投資に切り替えたのですね。
桐谷 優待のありがたさを知ったのです。月給がなく、収入は株の配当のみとなりました。配当は家賃で消えてしまって生活費がありません。
そういう時、優待品のお米や缶詰が届いたのです。それで優待品や優待券で数年間暮らしたのです。それで優待株投資の良さが分かったのです。
アルバイトの代わりに株式投資を始めました――杉原
――杉原さんは23歳の時に投資を始めたと伺っています。ずいぶん若いときに始めていますが、きっかけはなんだったのですか。
杉原 私も出身は広島なのですが、19歳の時に芸能活動のため上京しました。それから3、4年過ぎても芸能活動だけでは食べていけなかったので、食べていくための手段として株式投資を始めました。
――なぜ、アルバイトではなく株式投資なのですか。
杉原 「明日オーディションがあります」「明日ここの現場へ行ってください」というようにスケジュールが前日に決まることが多かったので、出勤日が決まっているアルバイトができなかったのです。
私が株式投資を始めた2005年はネット証券がはやりはじめたころで、ネット取引なら家にいながらパソコンや携帯電話で気軽にできるからです。副業として株式投資は最高だと思います。
――そうすると投資歴は14年と長いですね。順調でしたか。
杉原 いえいえ、私もリーマン・ショックを経験していますし、最近でも他国との問題などで日経平均株価が下がったりしています。
それでも株価が上がり始めているな、というときに大きく仕込むので、年間を通して見ればプラスになっています。それでも何百万円も損をすることが14年間のうち、何回かありました。
――何百万円の損失というのは、一般の人の年収に相当する金額ですよね。メンタルはどうやって保つのですか。
杉原 芸能活動の中で、少々のことではへこたれないメンタルが鍛えられています(笑)。現実逃避ができる技も持っているんです。株式投資に限らず、嫌なものは見ない、考えない、というタイプなのです。
リーマン・ショック級の出来事が起こっても、そのまま持ち続けていれば必ず戻ると信じているので、半年でも見ないで寝かせていて、戻ったときに見るようにしています。
値上がり銘柄を狙う「猛獣狩り」は現物株取引で――杉原
――お二人とも「底では耐えて投げ売りをしない」という方針は共通していますね。
杉原 やめてしまったらそこで終わりになるので、しっかり耐えるメンタルが大切です。
桐谷 私が杉原さんと知り合ったのは5年前の書籍に関連した対談でした。株式投資が上手なアイドルさんで、株の利益で親の家を建てたと聞いて感心しました。それから何度かお仕事をご一緒したのですが、だいたい順調に利益を出していますね。
しかも彼女は値上がりが期待できる銘柄を買う「猛獣狩り」なのです。私もかつては猛獣狩りに何度も挑戦したけれど、弾が外れて猛獣に襲われ、何度も死にかけた。
杉原 猛獣狩りができるのは現物株取引だからです。信用取引には決済の期限があるので、含み損を抱えたまま持ち続けるということができませんから。
もちろん、信用取引の方が投資スタイルに合っている人もいるでしょう。私は現物株を買う身の丈投資を心がけています。
――杉原さんは株式投資の本を出版されました。どんな内容ですか。
杉原 「株は夢をかなえる道具」というタイトルです。
それは、株でお金を儲けることがゴールではなくて、利益を夢につなげて欲しい。
そのための道具として株式投資が役立つといいな、と思っています。
株式投資によって世界が広がった経験をしています。
(トウシル編集チーム)
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