平均利回り4.8%!株主優待も人気の高配当株。大型&割安で注目
トウシル / 2019年9月5日 7時47分
平均利回り4.8%!株主優待も人気の高配当株。大型&割安で注目
株は安くなった時に買うべき。高配当株に注目
株は、安い時に買い、高い時に売ると利益が出ます。これは、言うのは簡単でも、やるのはとても難しいことです。なぜならば、株が安い時には、世の中に悲観が広がっているからです。株が高い時には、世の中が明るくなって、みなが楽観的なことを言っているからです。
安い時に買い高い時に売ることができるのは、みんなが悲観的になった時にコツコツと株を買い、みんなが楽観的になった時に少しずつ売っていくことのできる人です。みんなといっしょに悲観的になり、いっしょに楽観的になる「素直な人」は、いいタイミングで株を売買できません。
私は過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきましたが、株を売買するとき一番重視するのは、株が「割安か割高か」です。今もそうです。貿易戦争や世界景気悪化の不安から、世界的に株が売られてきています。強気だった人がだんだん弱気に転じつつあります。一方、買収価値や配当利回りから評価した日本株は、とても割安になっています。裁定残から推定される投機筋の日経平均先物買いポジションはほとんど整理され、先物売りポジションが積み上がっている状態です。
足元、世界景気は悪化しつつありますが、私はこれから起こる可能性がある悲観シナリオのかなりの部分は、株価に織り込み済みと考えています。こんな時は、株を少しずつ買っていったら良いと考えています。
とは言っても、短期的に日経平均株価がどこまで下がるか分かりません。割安な株がさらに割安に売り込まれる、あるいは、割高な株がさらに割高に買われるのは、株式市場の常です。悲観がさらに強まって日経平均がもう一度、1万9,000円を割り込むこともないとは言えません。こんな時は、まず大型の高配当利回り株から買っていったら良いと考えています。どうせなら、配当利回りが高く、かつ「株主優待」でも人気の銘柄を選んでみようと思います。
「株主優待」で人気の銘柄から、予想配当利回りの高いものを選ぶ
日本には、「株主優待」という世界でも珍しい制度があります。上場企業が、株主に感謝して贈り物をする制度です。株主への利益還元は、原則、配当金の支払いによって行うものですが、それとは別に、優待を実施している企業があります。個人投資家にとって魅力的な制度なので、積極的に活用したら良いと思います。
ただ一部の「優待好き」投資家に、優待品の魅力ばかり見て、配当利回りを見ていないことがあるのには、首をかしげます。というのは、人気の優待銘柄には、配当利回りの低い銘柄が多いからです。
配当利回りを見ず、ひたすら優待品だけ見て投資するのは、必ずしも、合理的な投資行動とはいえません。優待品をたくさん送ってくるのは嬉しいですが、それよりも、たくさん配当金をもらって、それで自由に好きなものを買った方がいいとも言えます。
理想的には、「株主優待と配当利回りが両方とも魅力的な銘柄」を選んで投資したら良いですが、配当利回りの高い会社は、「株主への利益還元は、配当金でやるべき」という考えを持っていて、株主優待を行わない企業が多いです。
ただし、一生懸命に探すと、優待も配当利回りも魅力という銘柄も見つけられます。今日は、楽天証券の「株主優待検索」で、優待人気上位20社に入っている銘柄の中から、予想配当利回りが3%以上の銘柄を選びました。ただ、アナリストとしては、それだけで選ぶこともできません。中長期の収益力や財務内容が良好なものを選ばなければなりません。そこで、直近決算での営業利益率が10%以上のものに絞りました。以下の4銘柄は、その条件を満たしています。
優待人気上位20社のうち、予想配当利回り3%以上、営業利益率10%以上の4社
コード | 銘柄名 | 決算期 | 配当利回り | 営業利益率 | 優待内容 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2914 | JT | 12月 | 7.0% | 25.5% | 優待内容 | |
8591 | オリックス | 3月 | 5.0% | 13.5% | 優待内容 | |
9433 | KDDI | 3月 | 3.9% | 20.0% | 優待内容 | |
9201 | 日本航空 | 3月 | 3.3% | 11.8% | 優待内容 | |
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(会社予想)を9月3日の株価で割って算出。年間配当金の予想を公表していないオリックスは、日経QUICKコンセンサス予想から計算 |
JTの投資魅力
JTは、12月決算銘柄です。年1回、12月末時点で1年以上継続保有している株主は、株主優待品(自社製品・食品など)を贈ってもらう権利が得られます。配当を得る権利は6月末と12月末の株主に与えられます。予想配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で、約7%です。
JTは、株式市場で不人気ですが、私は、安定高収益の高配当株として、評価しています。詳しくは、以下のレポートを参照してください。
8月29日:配当利回り6.9%、株主優待でも人気のJT。投資価値を再評価
オリックスの投資魅力
オリックスは、3月決算企業です。中間決算期末(9月末)と、本決算期末(来年3月末)に、配当金を得る権利が確定します。予想配当利回り(楽天証券予想)は、9月3日時点で5.5%です。
オリックス株を保有すると、配当金とは別に、年1回(3月末)、優待品を受け取る権利が確定します。ふるさと優待カタログBコースから、1点選んだものを贈呈されます。
オリックスは、長期保有の株主は、優待内容が増加する制度にしています。3年以上、オリックス株を保有する株主には、1ランク上のふるさと優待カタログAコースから、1点選ぶことができます。
カタログギフトとは別に、半期ごとに贈られる株主カードを使えば、オリックスグループが提供する各種サービスを割引価格で利用できる特典もあります。
オリックスは金融株であり、金融株全般に、低金利が長期化する中で収益が圧迫される不安があり、株価は低迷が続いています。ただし、オリックスはリース事業を中核に多面的な業務展開で安定的に高収益をあげていく力を持っていると私は評価しています。前期(2019年3月期)純利益は、5期連続で最高益を更新しています。割安な株価と、配当に注目して、長期投資する価値があると判断しています。
KDDIの投資魅力
KDDIは、3月決算企業です。中間決算期末(9月末)と、本決算期末(来年3月末)に、配当金と株主優待品を得る権利が確定します。予想配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で、3.9%です。
KDDI株を保有すると、配当金とは別に、年1回(3月末)、優待品を受け取る権利が確定します。同社が注力する総合通販サイト「Wowma!」より、「全国47都道府県のグルメ品」から自由に選べるカタログギフトが、贈呈されます。
KDDIは、長期保有の株主ほど、優待内容が増加する制度にしています。100株を保有する場合、保有期間5年未満の株主には3,000円相当、5年以上保有すると5,000円相当のカタログギフトが贈呈されます。詳しい内容は、同社ウェブサイトで確認してください。
KDDI株は、携帯電話事業の競争激化懸念で株価の上値が重くなっていますが、業績は好調です。世界景気に影響されずに安定成長を続け、2020年3月期に18期連続の増配を予定しています。ケータイ電話収入は、減少し始めていますが、通信と融合したライフデザイン事業の利益拡大によって、成長を続けています。これからも安定高収益を維持していくと予想しています。
日本航空(JAL)の投資魅力
JALは、3月決算企業です。中間決算期末(9月末)と、本決算期末(来年3月末)に、配当金と株主優待品(航空割引券)を得る権利が確定します。予想配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で、3.3%です。ただし、株主優待で得られる航空割引券は、有効期限が1年と限られています。自分で使うのが理想ですが、使わない場合は、ネットなどで売却することもできます。有効期限の残りが短くなり過ぎる(1カ月以内)と買い手がいなくなりますが、そうでなければ、ネットに出店しているチケットショップなどで簡単に売却できます。
JALは、観光ブームの恩恵を受け、業績堅調です。訪日外国人観光客の増加に加え、日本人の海外旅行も増えつつあります。今年5月のゴールデンウイークでは10連休の恩恵で、例年を大幅に上回る旅客を確保できた模様です。
同社の収益力への貢献が大きいのは、羽田発着便です。世界の航空業界を見渡すと、既存の大手航空会社は、LCC(低運賃の航空会社)との競争激化で、軒並み業績が悪化しています。日本の航空会社の業績が好調なのは、海外に比べると、まだ国内ではLCCとの競合が少ないからと言えます。
特に、羽田空港では、深夜しかLCCが発着しないので、羽田空港が航空会社のドル箱となっています。将来、羽田空港にLCCが大量に入ってくるようになる場合は、投資判断を変える必要が出ます。羽田空港の発着枠は簡単に増やせないことと、現時点での日本の航空行政を見る限り、そのリスクは低いと考えています。
日本の航空大手2社は、ANA HD(9202)と、JALです。業績を比較すると、ANAが連続して最高益を更新しているのに対し、JALは利益が伸び悩んできました。その差は、羽田発着分の新規割り当て数の差で説明できます。ANAは、JALよりも後から国際便に進出したため、これまで優先的に羽田発着便の配分を受けられました。それが、ANAの最高益更新に貢献していました。
ただし、ANAへの羽田便の優先配分は、前期までで終了しました。8月19日の日経電子版報道によると、2020年3月に実施される羽田空港の国際線発着枠の増枠分では、国土交通省がANAへ13.5枠(便)、JALに11.5枠割り当てる方針で最終調整に入りました。来期(2021年3月期)は、羽田発着便がANAだけでなく日本航空の業績拡大にも寄与する見込みです。
ANAも、JALと同様、株主優待(航空割引券)で人気です。配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で2.1%と悪くない水準です。
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(窪田 真之)
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