日経平均2万2,000円超えはゴールか通過点か?「持ち上げてドスン」への警戒くすぶる
トウシル / 2019年9月17日 13時7分
日経平均2万2,000円超えはゴールか通過点か?「持ち上げてドスン」への警戒くすぶる
日経平均は勢いよく上昇、2万2,000円台乗せ
先週末9月13日(金)の日経平均終値は2万1,988円となり、前週末終値(2万1,199円)比でも789円高と大きく上昇しました。この日の取引時間中には2万2,000円台に乗せる場面も見られました。
日経平均はここ2週間ほどの短い間に2万1,000円台から2万1,500円台、そして2万2,000円台へと、ポンポンポーンと株価水準を切り上げてきたことになりますが、とりわけ先週に見せた上昇の勢いは印象的です。前回のレポートでも2万1,500円超えまでの上昇は見込んでいたものの、さすがに2万2,000円台トライまでは想定できていませんでした。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年9月13日取引終了時点)
足元の相場の勢いについては、上の日足チャート(図1)のローソク足の並びを見ても明らかです。
先週末13日(金)までの日経平均が9連騰になっている他、株価水準も直近高値(7月25日の2万1,823円)を超えています。次の目標となるのは、2万2,000円台乗せの定着と、その先にある4月24日の高値(2万2,362円)になりますが、そこから先は年初来高値の更新エリアに突入することになります。
週足、平均足とMACDのチャートの形も良好
■(図2)日経平均(週足)の動き(2019年9月13日取引終了時点)
また、上の図2の週足チャートを見ても、先週のローソク足が大きな陽線になっている他、13週移動平均線をサポートにして26週と52週の2本の移動平均線を上抜けています。
この上抜けは「二本抜き」と呼ばれ、上方向への意識が強まっている形とされていますが、抜かれた移動平均線自身の傾きが下向きから上向きへと変わりつつあることも好材料です。
さらに、これまでチェックしてきた平均足とMACDについても、平均足の陽転に続いてMACDとシグナルのクロスも実現するなど、チャートの形が良くなっています(下の図3)。
■(図3)日経平均の平均足(週足)とMACD(2019年9月13日取引終了時点)
MACDで次に注目されるのは「0円」ラインです。MACDは短期と中期の(平滑)移動平均線の差額の推移を時系列に示したものですので、MACDの値が0円ということは、短期と中期の移動平均線の差が無い状態、つまり移動平均線同士のクロスを意味します。
先週末時点でこのMACDが0円ラインを超えてきたということは、短期の線が中期の線を上抜ける「ゴールデン・クロス」で、上昇トレンドへの転換を意識させるため、さらなる上値追いの可能性も出てくるのですが、直近では0円ラインを抜け切れていないため、今週は堅調な値動きによる値持ちの良さも試されることになりそうです。
「達成感」による上昇一服シナリオを整理
その一方で、最近の株価上昇のピッチがやや早すぎるとか、過熱感があるなどの指摘もあるため、「2万2,000円台乗せの達成感」による上昇一服シナリオについても整理しておく必要があります。
まずは、先週末時点で9日間まで記録を伸ばしている連騰記録についてです。
■(図4)日経平均の連騰記録と上昇幅
ここ数年間における日経平均の目立った連騰記録を上の図4にまとめてみました。2017年10月の16連騰が際立っていますが、それ以外の記録と比べると足元の記録はそろそろ途絶えてもおかしくはない長さになっています。また、上昇幅についても、先週末の時点ですでに1,368円となっていて、過去の上昇幅1,429円(2018年9月)や1,448円(2017年10月)の水準に迫っていることも意識されそうです。
次に株価材料を整理してみたいと思います。
先週の株価上昇の背景には「1.米中関係の改善期待」「2.各国の金融政策や経済政策への期待」「3.メジャーSQを控えた需給的な思惑」の3つが挙げられますが、今週は3.の材料がなくなる他、2.については米FOMCと日銀の金融政策決定会合が予定されています。イベント前の様子見と通過後の株式市場の反応が注目されることになるため、週始めの段階で2.は積極的な上値トライの材料にはなりにくそうです。
そのため、先ほどの連騰記録への意識と合わせて考えると、先週見せた上値追いの勢いが弱まり、上昇の一服があっても自然な動きと考えることができます。
また、1.については、株価水準と重ね合わせるとイメージしやすい面があります。
■(図5)日経平均(日足)の動き その2(2019年9月13日取引終了時点)
先ほども触れましたが、次の日経平均の上値ターゲットは4月24日高値である2万2,362円になります。当時も米中関係において、「両国間で協議がまとまるのではないか?」という期待が高まっていた時期でしたし、先週上抜けた7月の直近高値(2万1,823円)についても、6月末に行われた米中首脳会談を受けて、米中関係が比較的落ち着いていた時期につけた値段でした。
足元の米中関係は「一時休戦」から、さらに踏み込んだ「緊張緩和」ムードに進展しつつあるような動きがちらほらと見られるようになっています。少なくとも10月1日の中国の国慶節まではこのムードが続くという見方に加え、今週は次官級の協議、10月以降は閣僚級の協議が再開される予定となっており、期待も高まることも予想されるため、4月24日高値の水準まで上値を伸ばす可能性はありそうです。
とはいえ、4月高値から先の年初来高値更新エリアに深く足を踏み入れて行くにはさらなる好材料が必要になりそうなことや、7月と4月の高値はその後の米中関係の悪化懸念の高まりによって下落トレンドに転じていますので、「持ち上げられた株価がドスンと下方向へ」というシナリオへの警戒は怠れないことになります。
そのため、今週は株価が下落したときの背景が焦点になりそうです。過熱感や達成感による株価下落であれば、押し目買いの好機と捉えることができますが、米中関係の悪化や新たな不安材料の浮上などが背景にある場合には下落が加速していく可能性があるため、注意が必要になってきます。
(土信田 雅之)
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