「ふりだし」に戻った日経平均は上昇できるか?
トウシル / 2017年9月11日 17時0分
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「ふりだし」に戻った日経平均は上昇できるか?
先週の国内株市場ですが、週末9月8日(金)の日経平均終値は1万9,274円でした。前週末終値(9月1日の1万9,691円)からの下げ幅は400円を超え、比較的大きなものとなりました。週足ベースでは前週に7週ぶりの反発を見せていましたが、再び下落に転じた格好です。
図1 日経平均(日足)の動き:2017年9月8日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/1/b/-/img_1b28edf7e12c226fe9f294b98820ca541138970.png)
いつもの通り、まずは上の図1で現在の状況を確認してみます。
前回は、「日経平均は前週末に回復した25日移動平均線を意識した動きがメインシナリオ」と想定していましたが、実際は週を通じて25日移動平均線を下回る展開に終始しました。5日移動平均と比べてみても上値の重石になっているような印象です。ローソク足の並びについても、先週の5本のうち4本が陰線であるほか、下値を切り下げています。前週の反発局面で出現した2つの「窓」を、9月4日と5日の大きめの陰線によって埋められた形です。
前週の日経平均は、北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射したことで下落した後に反発する動きへと転じました。しかし、先週は、北朝鮮が核実験を行ったことで株価が下落した後、株価浮上のきっかけがないままズルズルと金曜日まで軟調な相場地合いが続いていた格好です。
その背景には、週末に北朝鮮の建国記念日(9月9日)や、米国の同時多発テロのあった9月11日が控えていたこともあって、新たな動きへの警戒感が燻り続けたことが大きかったと言えます。とりわけ、9月11日は米国にとって忘れられない日ですが、北朝鮮は前回、米国の独立記念日(7月4日)のタイミングに合わせてミサイルを発射した経緯があります。また、9月11日は、現在開かれている国連安全保障理事会で北朝鮮への追加制裁が採決される見込みとなっている日でもあります。
もちろん、北朝鮮以外にも米国を襲うハリケーンの影響が懸念されていることや、来週(9月19日~20日)に控えるFOMC(連邦公開市場委員会)待ちの面もあり、なかなか勇気を持って買いに行けないムードでもありました。
とはいえ、今週も(特に週初は)引き続き北朝鮮を巡る状況の変化が相場に影響を与えるものと思われます。そこで、下の図2で、これまでの北朝鮮情勢と日経平均の動きを重ねてみました。
図2 北朝鮮と日経平均(日足)の動き:2017年9月8日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/9/-/img_5949b48b62e27a1f0cb8443b29665049944899.png)
北朝鮮情勢の推移と株価の動きを照らし合わせてみると、7月4日のミサイル発射直後につけた日経平均の安値は7月7日の1万9,856円でしたが、その後はすぐに2万円水準を挟んだもみ合いが8月まで続きました。
次に緊張感が高まったのは8月初旬です。国連安全保障理事会で追加経済制裁が決議された後に、北朝鮮がグアム周辺を対象とする攻撃の用意があると発表し、それを受けたトランプ米大統領が軍事行動をちらつかせる反応を示した時期です。このときの日経平均は1万9,500円辺りまで株価水準を切り下げました。
株式市場はいったん落ち着いたものの、北朝鮮は8月最終週に行われた米韓合同軍事演習に対抗する意味合いで日本上空を通過するミサイルを発射したことで、日経平均は冒頭でも触れた8月29日の安値(1万9,280円)をつけ、そして先週末の核実験を受けて今週金曜日(9月8日)に1万9,239円の安値に至っています。
これまでの経緯をたどると、日経平均が大きく水準を切り下げたのは、8月の国連安全保障理事会で経済制裁が採決された直後ですので、今回の国連安全保障理事会での動向に注意しておいたほうが良いかもしれません。
では、今後の日経平均の値動きのレンジはどのように想定したら良いでしょうか?ここではHLバンドで見ていきます(下の図3)。
図3 日経平均(日足)のHLバンド:2017年9月1日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/a/-/img_8abcac9772253f0655d7067cb83a19021037735.png)
8月以降の日経平均は、HLバンドの下限の線沿っての推移が続いていることがわかります。また、25日移動平均線がHLバンドのちょうど中間地点を貫いています。そのため、相場の意識は下方向への意識が強いと思われるため、HLバンドの下限の線が拡大する展開に注意が必要です。
反対に、相場の冴えないムードが改善すれば25日移動平均線までの戻りはかなりの確率でありそうです。実際に、週明け9月11日の日経平均は、週末の北朝鮮の建国記念日に目立った動きがなかったことで反発してスタートしていますが、そこからの上値については、25日移動平均線水準の上抜けと維持が必要になります。HLバンドの上限の線が拡大するには、株価が25日移動平均線より上にある上昇基調に復帰できることが必要条件になるからです。
最後に現在の日経平均の水準ですが、下の図4を見てもわかるように、今年に入ってからの中心線に位置しています。具体的には1万9,300円ぐらいの水準です(2017年の大発会の始値が1万9,298円です)。言わば、年初の「ふりだし」に戻ったわけです。この後に出現する相場の方向性が年初来でプラスになるかマイナスになるかの重要な局面にあるのかもしれません。
図4 日経平均の動き:2017年9月8日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/d/-/img_adc23f65b66499e442f72114e0188c57769267.png)
(土信田 雅之)
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