つみたてNISAの真の効用、「買値の呪縛」からの脱却
トウシル / 2019年9月22日 7時0分
つみたてNISAの真の効用、「買値の呪縛」からの脱却
「つみたてNISA」と「NISA」の使い勝手は、まったく別
株や投資信託で得た利益が非課税になるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)。お得な制度なので、初心者の人は、ここからはじめたほうがいいと思います。
NISAには「つみたてNISA」と「(一般)NISA」があります。「つみたてNISA」は、2018年1月から開始した制度で、2014年にできた「NISA」とはまったく使い勝手が違います。この仕組みを司る金融庁の政策意図がより明確に込められた、新たな少額投資非課税制度として理解すべきでしょう。
「つみたてNISA」制度の第1の特性は、20年という圧倒的に長期の非課税期間が設けられていることです。この期間こそ、政府が生活者に投資行動を長期で続けてもらいたいという意思表示なのです。
長期的な資産形成に必要な年数は「20年」?
金融庁は、国内のみならず世界の株式と債券に国際分散投資を毎年同額で行った場合、5年経過では損失になっているケースもあるが、20年経過の場合はすべてのケースで利益が積み上がっている、という過去のデータを示し、20年をひとつのメドに投資を継続することが長期資産形成を成就させる確率を合理的に高める行動規範であると主張しています。
そして、長期投資の継続をサポートするもうひとつの大事な行動規範が積み立て投資なのです。「つみたてNISA」がその言葉通りに積み立て投資での参加に制約しているのは、投資を始めた途端に「買い値の呪縛」に陥らないようにするためです。
大多数の人は、自分がいくらで買ったかをとても気にかけ、そこから下がると損してしまうという恐怖心に憑りつかれ、値段が上がったなら利益を取りたい欲望の心が支配してしまうものです。こうした感情の起伏に四六時中翻弄されていては、長期投資の継続はおぼつきません。
値動きに心乱されず、どっしりとした長期投資家に
そこで積み立て投資なのです。毎月同じ金額を同じリズムで買い付けていけば、価格が上がろうが下がろうが気にならなくなります。とりわけ下がったときなら、もっと安く買えたとばかりバーゲンセールさながらのお得気分にさえなれます。
大事なのは毎月定額で積み立てることであり、価格が安いときは多くの口数を、高いときには少ない口数で買い付けることによって、購入単価は長期的に平準化され、結果的に効率良い投資行動になることです。
積み立て投資は専門的にはドルコスト平均法などと呼ばれますが、そんな難しい言葉で難しく考える必要はありません。積立投資家になれば、日々の値動きに心乱されずどっしりした立派な長期投資家になれるのです。
そして「つみたてNISA」は、そうした積立投資による心の安寧効能をすべての投資参加者に享受してもらって、20年の長期資産形成へとしっかり行動してもらうための政策当局の配慮だと、素直に受け止めてください。やっぱり「継続は力なり」なのです!
(中野 晴啓)
この記事に関連するニュース
-
新旧NISA、つみたて投資枠と成長投資枠、どちらの売却を優先するべき?
MONEYPLUS / 2024年4月30日 18時0分
-
株が暴落してもこれだけはやってはいけない…"神改正"の新NISAで投資初心者に一番多い「危険すぎる勘違い」
プレジデントオンライン / 2024年4月29日 9時15分
-
私のファンドは大丈夫?相場急変時の心構えと対処法
トウシル / 2024年4月23日 7時30分
-
「変額保険」と「NISAのつみたて投資枠」、どちらがいい? FPが考える優先順位
オールアバウト / 2024年4月22日 12時20分
-
株価が急落しても、NISAを途中でやめる残念な人にならないで
トウシル / 2024年4月19日 15時31分
ランキング
-
1日本の名目GDP、2025年にインドに抜かれ世界5位へ…円安でドル換算が目減り
読売新聞 / 2024年5月5日 18時59分
-
2「中国市場に頼りすぎていた」資生堂1500人早期退職募集で見えた"名門ブランド企業"3つの低迷理由
プレジデントオンライン / 2024年5月6日 8時15分
-
3アングル:インドIT企業、地方都市へ相次ぎ進出 人材確保やコスト削減狙い
ロイター / 2024年5月6日 8時3分
-
4「認知症にだけはなりたくない」高齢者が多いが…実は「恐れる必要はない」と和田秀樹氏が断言する“これだけの理由”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月6日 10時0分
-
5なぜラスクをギフト菓子に変えられたのか…ガトーフェスタハラダが「王様のおやつ」で年商200億円を築くまで
プレジデントオンライン / 2024年5月6日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください