10月相場入りの日経平均は「楽観的な慎重ムード」?~怠れない警戒モード
トウシル / 2019年9月30日 15時35分
![10月相場入りの日経平均は「楽観的な慎重ムード」?~怠れない警戒モード](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_23487_0-small.jpg)
10月相場入りの日経平均は「楽観的な慎重ムード」?~怠れない警戒モード
日経平均は小幅安で堅調に推移
2週続けての4日立ち会いとなった先週の国内株市場ですが、週末9月27日(金)の日経平均株価終値は2万1,878円となりました。
節目の2万2,000円台を下回った他、週足ベースでも4週ぶりに下落に転じ、ローソク足(週足)も6週ぶりの陰線が出現しています。前週末終値(2万2,079円)からは201円ほどの下げ幅ですが、先週末27日(金)は9月の権利落ち日でもあり、いわゆる「配当落ち」分が160円ぐらいと言われていますので、リクツの上では小幅安で堅調に推移したと考えることができます。
今週から10月相場入りとなりますが、これまでの相場の見方に変化が生じていないか早速チェックしていきたいと思います。まずは日足チャートで足元の状況から確認です。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年9月27日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/5/-/img_05ae2a88165ee293d2d8026bdcbd57ba74103.png)
あらためて上の図1でローソク足の状況を眺めてみると、週末27日(金)の下ヒゲの長い陰線がやや目立つ印象になっていますが、先ほども触れたように、この日は配当落ち日だったことを踏まえると、この陰線の出現自体は特に驚くべきことではありませんし、むしろ、取引終了にかけて買い戻しが入って下ヒゲを形成したので前向きに捉えるべきと見ることができます。さらに、25日移動平均線が75日と200日移動平均線を上抜ける「ゴールデン・クロス」になったことも好材料です。
その一方で、先週の4日間のローソク足の並びと5日移動平均線の位置関係に注目してみると、5日移動平均線の上下を往来していることが分かります。日経平均のローソク足は8月の終わり頃からこの5日移動平均線を上回って推移してきましたので、先週に見せた5日移動平均線を下回る動きは、上昇の勢いが落ち着きつつあることを示しています。
今週はもみ合いが続きそう
となると、もう少し株価が調整する可能性を考えておく必要がありそうです。27日(金)の下ヒゲが示した安値は2万1,733円ですが、この価格ラインを描いてみると、今年に入ってから上値抵抗として機能していたことが分かります(下の図2)。
■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2019年9月27日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/3/-/img_737df8289a9919f8b668a7e37029926171868.png)
先週末の日経平均株価先物取引の終値は、大阪取引所で2万1,720円、CME(シカゴ)で2万1,705円でしたので、ちょうど下ヒゲが示した株価水準と同じです。そのため、今週はこの株価水準を維持できるかが週初の焦点になります。
仮に維持できなかった場合は、先ほどの図1でゴールデン・クロスを達成した25日移動平均線がサポートの目安になります。先週末時点の25日移動平均線は2万1,282円ですので、調整幅が大きくなってしまうイメージですが、「ここまでの下げの範囲ならば想定内」と逆に余裕を持つことができそうです。
よって、ここ何回かのレポートで指摘していた「日経平均の年初来高値(4月24日の2万2,362円)トライ」ですが、まだ見方を変更する必要はなさそうなものの、短期的な値動きの荒さによる揺さぶりには注意が必要と言えます。今週は日銀短観をはじめ、米雇用統計や中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)など、国内外で経済指標の発表が多い他、10月1日には消費増税が実施されます。また、この日は中国の国慶節で多くの行事やイベントが予定され、上海株市場も長期の休場に入るなど、何かと話題の多い週になります。材料が多い分だけかえって動きづらく、もみ合いが続きそうというのが今週のメインシナリオです。
米国株は上方向の意識優勢だが、油断は禁物
さらに、米国ではトランプ大統領の弾劾調査の話題が上り、先週の株式市場に影響を与えた場面がありました。またひとつ厄介な役者が増えた格好ですが、米国株市場の動きについても確認していきます。
■(図3)米NYダウ(日足)の動きとボリンジャーバンド(2019年9月27日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/8/-/img_68cce98de5bf2dbf714e96e3217044c7122429.jpg)
まずは、前回も紹介した米NYダウ平均株価のボリンジャーバンドです。前回の注目点は、株価が+2σ(シグマ)と+1σのあいだでもみ合いながら上昇トレンドが継続する「バンドウォーク」を維持できるかでしたが、残念ながら週末時点の株価は+1σも下回ってしまい、株価上昇の勢いが萎んだ格好になっています。
また、平均足とMACDの組み合わせも、平均足の陰転とMACDのクロスのサインが出現しており、調整含みのムードになっています(下の図4)。
■(図4)米NYダウの平均足とMACD(2019年9月27日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/1/-/img_01465af72cee63cdef1933ad72bedbfc116157.jpg)
とはいえ、週足チャートを見ると、3本の移動平均線(13週・26週・52週)がそれぞれ上向きになっている他、上値と下値も切り上げる格好は維持しており、上昇基調は続いている印象です(下の図5)。
■(図5)米NYダウ(週足)の動き(2019年9月27日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/9/-/img_5998125b51c405e65d408b1049b343c6115940.jpg)
ここ2週間ほどの株式市場は、「短期チャートはやや不安定、中期チャートは改善」という状況の中で株価水準を堅調に保ってきました。季節柄、体調を崩しやすい時期ですが、相場についても基本的には上方向への意識が優勢という認識で良いものの、相場の地殻変動はこういう静かな時にひっそりと進行していることが多いため、警戒モードのスイッチを常に入れておく必要はありそうです。
(土信田 雅之)
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