日経平均はもみ合い。米中緩急交渉の綱引きで市場大暴落の発火点へ一直線?

トウシル / 2019年10月1日 16時47分

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日経平均はもみ合い。米中緩急交渉の綱引きで市場大暴落の発火点へ一直線?

今週の予想

今週は、2万1,500~2万2,000円水準の中でのもみ合いを想定

 今週は、買い材料と売り材料を考えた時、上値の重さを意識したもみ合いの展開となりそうです。

 買い材料は、10月上旬開催予定の米中閣僚級通商協議への期待の高まり、米国経済は良好との見方をFRB(米連邦準備制度理事会)が維持している中での、9月米雇用統計など、主要経済指標の発表があります。

 一方、売り材料は、米中通商協議中のトランプ米大統領のイレギュラー発言が気になるところ。また、先週末に報道された米国から中国への投資の禁止の可能性や、中国企業の米国市場上場廃止の検討が気になるところです。

 その他、中東の地政学的リスクもあります。また、10月1日より消費税が10%に上がり、駆け込み需要後の消費の低迷も気になってきます。

 過去、ブラックマンデー(1987年)、アジア通貨危機(1997年)、リーマン・ショック(2008年)とほぼ10年の周期で、10月に金融危機が発生してきたため、投資家心理としては、多少とも不安を感じる月となります。今週は、2万1,500~2万2,000円のレンジの中で、下限を試す場面があるかもしれません。

米中貿易戦争の帰結がもたらすものは?

 先週末の報道で、気になる話が出ました。米国での対中投資制限の検討です。この報道が本当なら、ここへ来て、トランプ米政権の対中制裁がエスカレート。貿易摩擦のレベルを超えて、本格的な米中経済戦争に推移し、資本主義経済の市場から、中国を追放するという動きにも見えます。

 特に、中国企業のニューヨーク証券取引所上場廃止検討(アリババは先週末5%を超える下落)は、中国への資金の流れを止めようとするものです。

なぜトランプは中国を標的にするのか?

 この背景を20年前にさかのぼって説明します。

 中国が豊かになれば民主化するという期待の元、2001年にWTO(世界貿易機関)に中国が加盟する前から、米国は中国に対し最恵国待遇を与えてきました。

 ところが、WTOに加盟後の中国は、後進国の位置づけを利用して金を稼ぎました。例えば、中国政府は国営企業に補助金を出し、安い値段で製品を作り、海外市場を独占(特に米国市場への輸出)。

 さらに、そのような国営企業が米国企業を買収して技術移転を迫り、知的財産権を盗むことをしてきました。WTOの規則違反を繰り返しながら、最恵国優遇を受け、さらには「中国こそ自由貿易の保護者だ」と主張し、民主化どころか、習近平国家主席の独裁化が進みました。

 だからトランプ政権は、資本主義経済を利用して中国の一党独裁の社会主義の考え方を通そうとしている中国を敵国として資本主義経済の中から追放していく決心をしているようにも思えます。これはトランプ政権だけの考えではなく、米国議会(共和党、民主党)の決定でもあります。2019年の国防権限法ではファーウェイ排除が明記され、2020年には、さらに対中強硬策が盛り込まれることになっています。

危うい中国経済の実態

 現在の中国経済の現状は、中国の家計債務は日本のバブル期なみに達した(2019年7月28日付日経新聞)と報じています。中国への資金の流れが止められると、バブルが弾ける懸念があるのが不動産であり、中国国内の不動産時価総額は65兆ドル(約7,310兆円)で、これは米国、EU(欧州連合)、日本のGDP(国内総生産)総合計約60兆ドルを超えています。

 中国国内の投資用に購入されたマンションの空き室は500万戸(2018年11月9日付ブルームバーグ)とも言われています。なぜ、マンション価格の下落が起きないのかといえば、政府が不動産の売却を禁止しているからです。これは、一党独裁だからできることです。しかし、それも金(カネ)が続く間だけ。現在の米国の対中政策が続けば、どこかで中国大暴落が起こります。

NYダウのチャートで大暴落の予兆を捉える

 2020年度はリーマン・ショック級の中国発大暴落が起きてもおかしくないと言えます。

 NYダウ平均株価のチャートは、天井圏で三尊天井を作った後、しっかりして4像目の動きとなっていますが、天井圏で山(像)ができるほど下落したときは、大暴落となります。

 中期的な見通しの中で一つのシナリオを提示しましたが、投資で財産を作ろうと思う人は、暴落を待って買うスタンスで報われます。それまでの間は休みか、それとも損切り基準を明確にして短期売買を繰り返す投資がいいと思われます。
 

(今週の指標)日経平均株価

 今週も米中通商協議への期待感はあるものの、どんなトランプ発言が飛び出すか分からず、また、週末に米国市場の中国株式の上場廃止や、中国株に対する投資制限検討の話が出てきたことで、上値を意識したもみ合いが想定されます。NYダウ、為替次第では2万1,500円水準を下値とする上下動もありそうです。

 

(今週の指標)NYダウ平均株価

 米中通商協議での合意見通しが立っておらず、また、民主党によるトランプ大統領の弾劾手続きの行方も不透明、さらに今週は重要指標の発表が多く、上値重く、もみ合いの展開となりそうです。10月の利下げはFOMC(米連邦公開市場委員会)の意見が分かれていることで懐疑的な見方となっており、上昇要因にはなりにくいと言えます。

 

(今週の指標)ドル/円

 10月上旬予定の閣僚級の米中通商協議が貿易摩擦の解消につながるとの期待感がドル買い要因となりますが、協議が難航すればドル売り要因に。FRBは、米国経済は良好との見方を維持しており、今週末には9月米雇用統計の発表など、経済指標の内容によっては、ドルの底堅い動きが想定されます。1ドル=106.5~109円のレンジを想定しています。

 

先週の結果

 週末に一時大きく下げるが、配当の権利落ち分の下げを入れると2万2,000円水準でのもみ合い

 今週は4営業日でしたが、24日(火)、25日(水)、26日(木)の3日間は、2万2,000円水準でのもみ合いとなりました。

 週末の27日(金)は9月期末の配当の権利落ち(約160円)をきっかけに、一時▲314円の2万1,733円まで下げましたが、終値では▲169円の2万1,878円。これは配当の権利落ち分相当のため、ほぼ前日と変わらずとなり、終値では今週は想定通りの2万2,000円水準の動きと言えます。

9月23日(月):日本市場は、秋分の日で休日。

24日(火):前日の23日、米財務長官が米中通商協議は10月初めに米ワシントンで再開されると述べたことで、+16円の2万2,095円で寄り付き、一時+89円の2万2,168円まで上昇。しかし、後場になると利益確定売りに抑えられ、+19円の2万2,098円と小幅の3日続伸でした。この日の引け後の米国市場は、トランプ大統領が国連総会の演説で、中国の不公正な貿易取引を批判したことで、米中交渉での合意への期待が後退し、また、民主党がトランプ大統領に対する弾劾手続きを求めたことで政治的不透明性が高まり、NYダウは一時▲245ドルまで下げ、終値は▲142ドルの2万6,807ドル。為替も一時106.95円をつけました。 

25日(水):23日の米国市場の動きを受けて日経平均は▲137円の2万1,961円で寄り付き、一時▲192円の2万1,906円まで下落。しかし、後場になると下げ幅を縮小し、▲78円の2万2,020円としっかりした動きで終わりました。

26日(木):25日の米国市場で、トランプ大統領が米中通商協議は予想以上に早く合意に至ると発言(これもディールなのでどうなるか分かりませんが?)、経済指標も好調だったことでNYダウは+162ドルと反発。日経平均も反発してきました。寄り付きは+140円の2万2,160円で一時+164円の2万2,184円まで上昇。しかし、戻り売りに押され上げ幅を縮小して+28円の2万2,048円と小反発で終わりました。 

27日(金):26日の米国市場は、ファーウェイ問題で米中通商協議の先行き不透明さが増し、トランプ大統領をめぐる政治リスクが重しとなり、反落。これを受けた日経平均も反落スタートとなりました。朝方は9月期末配当の権利落ち(約160円)もあって、▲314円の2万1,733円まで下げましたが、その後は日銀のETF(上場投資信託)買い観測を支えに下げ渋り、▲169円の2万1,878円で引け、ほぼ配当落ちに相当する下げで終わりました。つまり前日の2万2,048円水準で引けたことになります。米国株式が荒れたわりには日本株式はしっかりしていたといえます。

 日本市場の引け後の米国市場では、再びトランプリスクが発生しました。10月10日再開報道で米中通商協議進展の期待を背景に、上昇スタートしたものの、米国による中国への投資の禁止や、中国企業の米国市場での上場廃止をトランプ大統領が検討していると伝わると下落に転じ、NYダウは▲70ドルの2万6,820ドルで引けました。シカゴの日経先物は▲105円の2万1,705円でした。

(出島 昇)

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