米景気への不安高まる。どうなる日本株?
トウシル / 2019年10月7日 7時26分
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米景気への不安高まる。どうなる日本株?
先週の日経平均は、米景気不安・円高を嫌気して、続落
先週の日経平均株価は1週間で468円安の2万1,410円と、続落しました。戻り売りの出やすい2万2,000~3,000円のゾーンを前に足踏みしていたところに、米景気悪化を示す指標の発表が続いてNYダウ平均株価が下落したため、日経平均も大きく下がりました。
トランプ米大統領が、「ドルが高すぎる(ことが米景気を悪化させた)」と、大幅利下げを渋るパウエルFRB(連邦準備制度理事会)を批判したことから、「10月29~30日のFOMC(連邦公開制度委員会)で利下げがあるのでは」との思惑が出て、為替市場でドル安(円高)が進んだことも、日本株が売られる要因となりました。
日経平均株価の動き:2017年12月末~2019年10月4日
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ドル/円為替レートの動き:2018年1月2日~2019年10月4日
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日本の景況感は、製造業が低下も、非製造業は好調
1日に発表された9月の日銀短観では、大企業・製造業DIが3四半期連続で低下しました。ただし、まだプラス圏を維持しています。「好調」と判断する企業が「不調」と判断する企業より多い状態です。
日銀短観、大企業製造業・非製造業DIの推移:2012年3月~2019年9月
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大企業・非製造業DIは小幅低下したものの、+20と高水準を維持しています。非製造業は好調と言えます。日銀短観を受け、日本の景況感はまだそんなに悪くはなっていないと、やや安心感につながりました。
米国の景況は予想以上に悪化
一方、先週発表になった、米国9月のISM製造業・非製造業景況指数は、予想以上の低下となりました。
製造業は、好不調の分かれ目となる50を2カ月連続で割れ、47.8まで低下しました。好調を維持していた非製造業の景況も、52.6まで低下しました。
米SIM製造業・非製造業景況感指数の推移:2014年1月~2019年9月
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米中貿易戦争のマイナス影響が、米国の製造業にまで及んできていることがわかります。ただ、米国は早くから製造業の空洞化が進んでおり、製造業が米景気全体に及ぼす影響はさほど大きくありません。製造業が米国のGDP(国内総生産)に占める比率は、わずかに1割程度です。米国の株価指数で見ても、IT・ヘルスケア・金融などの比率が高く、製造業の比率はさほど高くありません。
米景気は、製造業が悪化しても非製造業が好調ならば問題ないとの見方もあります。ところが、9月のISM景況指数では、非製造業の低下も目立ちました。米中貿易戦争が米国の消費やサービス産業にも及ぶ懸念が出ました。
9月の米雇用統計はまずまずの内容で、悲観を柔らぐ
SIM景況指数の低下で米景気の先行きに不安が広がる中、4日に9月米雇用統計が発表になりました。雇用統計も悪ければ、悲観が広がるところでしたが、まずまずの内容だったので安心感が広がりました。
9月の失業率は3.5%と、50年ぶりの低水準となりました。実質、完全雇用が続いています。
米完全失業率の推移:2014年1月~2019年9月
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9月の非農業部門の雇用者数は、前月比13万6,000人増と、景気好調と判断される20万人増を下回っており、やや物足りない水準です。ただ、実質完全雇用化でこれくらい伸びていれば特に問題ないとの見方もあります。ただし、さらに業種別の内訳をこまかく見ると、製造業の雇用者が前月比でマイナスだったことに気づきます。製造業の景況悪化には不安があります。
非農業部門の雇用者増加数(前月比):2018年1月~2019年9月
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日本株は買い場の判断を継続
東証一部の平均PER(株価収益率)は約14倍、平均配当利回りは約2.5%です。日本株は、PERや配当利回りなどの株価指標で見て、割安と判断しています。
今期の企業業績(会社予想)がこれから大幅に下方修正されない限り、日本株がPERで割安な状況は変わりません。日本株は、買い場との判断を継続します。
米景気が失速する懸念が出ていますが、私は、米中貿易戦争がいったん休戦に向かう前提にたてば、2020年に中国景気・米国景気ともに回復に向かうと見ています。第4次産業革命が進む中で、AI、IoT、ロボット、半導体、5Gへの投資が世界的に盛り上がると予想しています。
貿易戦争がさらにエスカレートし、世界景気の悪化するリスクもありますが、日本株の割安な株価を勘案すれば、ここで日本株の投資を増やしていくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。
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10月1日:消費税引き上げに日本の景気は耐えられるか?鍵を握るのはトランプ大統領?
9月30日:立ちはだかる「2万2,000円の壁」。日経平均が壁を越えるのはいつ?
(窪田 真之)
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