米中交渉で物色される銘柄と、この決算シーズンのポイント
トウシル / 2019年10月16日 9時31分
米中交渉で物色される銘柄と、この決算シーズンのポイント
1.最近の米国市場動向
米国市場は、米中貿易戦争の解決に向けた具体的な解決策が明確になるまで動きが出づらい状況です。直近の相場動向では、トランプ大統領から中国との交渉に対するポジティブな発言が出ると株価は上昇するものの、今後の具体的な解決策と二国間の最終合意時期に対する疑問も広がっています。交渉が長引くほど、その都度報道される好材料悪材料に一喜一憂する展開になるとみられます。
2.物色される銘柄は?
好材料が続いた場合にまず注目が集まるのは、関税引き上げ等貿易戦争の影響が懸念されていた企業群です。小売業のナイキ(NKE)、ベストバイ(BBY)、半導体業界のマイクロン・テクノロジー(MU)等が物色されるでしょう。貿易戦争の緩和・解決によるマクロ経済の改善効果から、キャタピラー(CAT)等の景気敏感株も恩恵を受けるとみられます。
ナイキの一年間の株価 単位:ドル
(2019年10月14日まで)
ベストバイの一年間の株価 単位:ドル
(2019年10月14日まで)
マイクロン・テクノロジーの一年間の株価 単位:ドル
(2019年10月14日まで)
キャタピラーの一年間の株価 単位:ドル
(2019年10月14日まで)
3.決算発表が相場を変える鍵
交渉の行方とは別に相場の方向性を変えるキーは企業の7-9月期決算発表にあります。本格的な決算発表シーズンが始まっており、今週は以下の企業が決算発表を行う予定です。
主要企業の決算発表予定(現地時間)
10月16日(水曜日)
・アルコア(AA)
・バンク・オブ・アメリカ(BAC)
・IBM(IBM)
・ネットフリックス(NFLX)
10月17日(木曜日)
・モルガン・スタンレー(MS)
10月18日(金曜日)
・アメリカン・エキスプレス(AXP)
・コカ・コーラ(KO)
出所:楽天証券ホームページ
(海外株式決算カレンダー)
決算に対する市場の期待は高くありません。7-9月期のS&P500指数の企業利益は減益が見通されています(出所:ファクトセット、10月7日時点)。その決算で、市場予想を上回るポジティブサプライズが増えれば相場の安心感につながります。個別企業の利益が伸び悩んだ場合でも、その主な理由がドル高によるものであれば織り込み済みだと思います。貿易戦争の実際の影響と今後の見通しについて、企業が深刻にコメントするかが売り買いの材料になります。
筆者が特に注目しているのは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)です。10月24日に決算を発表する予定です。アマゾン・ドット・コムは、物流に対する積極的な投資を行っていく姿勢を示しており、7-9月期の市場予想も減益です。この予想をさらに下回って着地すると売られると思いますが、長期的にオンライン事業及びクラウド事業が拡大するストーリーは崩れないとみています。
アマゾン・ドット・コムの一年間の株価 単位:ドル
(2019年10月14日まで)
(松村 梨加)
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