高値更新中の日経平均、一時2万3,000円台乗せ。「押し目」ラインはどこ?
トウシル / 2019年11月5日 13時15分
高値更新中の日経平均、一時2万3,000円台乗せ。「押し目」ラインはどこ?
日経平均は4週連続上昇。チャートには迷いのサインも
月またぎとなった先週の国内株市場ですが、週末11月1日(金)の日経平均株価終値は2万2,850円となりました。週足ベースでは4週連続の上昇ですが、前週末終値(2万2,799円)からの上昇幅は51円程度とやや小さめでした。
とはいえ、先週は相次ぐ企業決算の他、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合といった金融政策決定イベント、米中摩擦をめぐるニュースなど、相場を動かしそうな材料が多かったことを踏まえると、株式市場は比較的無難に終えられたという印象です。
また、先週の日経平均は10月29日(火)の取引時間中に2万3,008円の高値をつける場面がありました。日経平均の2万3,000円台乗せは2018年10月以来です。節目となる株価水準への達成感もあって、さすがに週末までキープすることはできませんでしたが、再び2万3,000円台に乗せていくハードルはかなり下がったと言えます。
では、今週も含めた国内株市場は年末株高に向けて上値トライのムードを継続することができるのでしょうか? いつもは日足チャートから足元の状況を確認していきますが、今回は週足チャートからです。
(図1)日経平均(週足)の動き(2019年11月1日取引終了時点)
先週の日経平均のローソク足の形を見ると、いわゆる「十字線」になっています。一般的に十字線は迷いを示す形とされている他、2万3,000円の節目で出現しているため、上値の重たさや下方向への意識ものぞかせている格好となり、先週の堅調な値動きがかえって厄介な存在になってしまったわけです。
しかも、今週末はオプション取引や先物取引のミニSQが予定され、株価が比較的大きく動く可能性があるタイミングでもあります。国内連休中の米国先物取引(CME/シカゴ)が2万3,100円台に乗せていますので、ひとまず今週は上昇スタートが見込まれますが、その後はこのまま上値を追っていくのか、それともひとまず売りに押されるのか判断しづらい面があります。
エンベロープで予測する上値メド
ただし、基本的には上方向への目線が基本スタンスになります。下の図2は前回のレポートでも紹介した、25日移動平均線を基準にした日経平均のエンベロープです。
(図2)日経平均のエンベロープ(25日MA基準)(2019年11月1日取引終了時点)
エンベロープから見た日経平均は、引き続き+3%のラインに沿って推移する傾向が維持されています。となると、気になるのは「どこまで上値を伸ばせそうか?」です。
まずは、週末にミニSQが控えていることから、オプション取引で取引量が比較的多いとされる、「権利行使価格250円刻み」が上値のメドとして意識されそうです。具体的には2万3,000円、2万3,250円、2万3,500円といったところです。
値幅予測で計算する上値メド
次に、テクニカル分析における基本的な値幅予測の計算でも見ていきます。
(図3)日経平均(日足)の動き(2019年11月1日取引終了時点)
図3のチャートで日経平均のトレンドを見ると、8月下旬で底を打ち(A点)、9月半ばにいったん天井をつけて下落(B点)、10月上旬に底を打って(C点)、再び上昇して現在に至っていますが、ここで、「E計算値」、「N計算値」、「V計算値」の3つを使って、上値の目標値を計算してみたいと思います。
三者ともアルファベットの形になぞらえて値幅を計算する手法です。
[E計算値]
[N計算値]
[V計算値]
より細かく見ていくと、各図のA点にあたるのが、8月26日安値(2万173円)、B点が9月19日高値(2万2,255円)、そしてC点が10月4日安値(2万1,276円)になります。
それぞれ計算していくと、E計算値が2万4,337円、N計算値が2万3,358円、V計算値が2万3,234円となります。足元の株価水準からみると、とりあえずV計算値やN計算値が目標値として意識されそうです。
株価が下がった場合の押し目は?
最後に、図1の「十字線」を踏まえて、株価が下落したときの押し目の目安についても探っていきたいと思います。ここで用いるのは、当連載で何度も紹介している平均足とMACDの組み合わせです(下の図4)。
(図4)日経平均(週足)の平均足とMACD(2019年11月1日取引終了時点)
平均足とMACDによるトレンド転換のサインは、「(1)平均足の色が変わる」、「(2)MACDとシグナルがクロスする」の2点で判断します。
まず、下段のMACDとシグナルはともに上向きになっており、いまのところクロスする気配はありません。
続いて平均足を見ていきます。こちらも陽線が続いていて、まだ陰線が出現していませんが、ここで注目するのは「いくらまで日経平均が下落すると陰線に転じるのか?」です。
おさらいになりますが、ローソク足と平均足との違いは「始値と終値」の描き方の違いです。高値と安値はローソク足・平均足とも同じ値になります。
平均足の終値は、当日の4本値(始値・高値・安値・終値)の平均になります。そして、始値については、前の足の実体(箱の部分)の半分の値になります。
つまり、今週の平均足の始値は、前週の始値(2万2,317円)と終値(2万2,854円)の半分である2万2,585円になりますので、今週の日経平均の平均足終値がこの値を下回ってしまうと陽線から陰線へと変わります。
今週の日経平均が軟調な展開になった場合には、ここが押し目の防衛ラインとして機能する可能性があり、維持できなかった場合には下げ幅が大きくなるシナリオが浮上するかもしれません。
(土信田 雅之)
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