日経平均は高値警戒ゾーン入り。上値重いが2万4,000円も視野、上昇銘柄多く水準訂正も
トウシル / 2019年11月12日 15時15分
日経平均は高値警戒ゾーン入り。上値重いが2万4,000円も視野、上昇銘柄多く水準訂正も
今週の予想
上値重く一服感となる可能性
日経平均株価は、先週まで5週連続で上昇し、上げ幅は2,000円近くになっており、相場の過熱感を示す指標である騰落レシオは130%台(11月7日時点)と高値警戒ゾーンに入っています。一服感が出て2万3,000円台での日柄調整になってもおかしくないところです。先週末8日(金)の日足の動きを見ると、この兆候が現れています。
米国株式の主要3指標そろっての最高値更新を受け、8日の日経平均は+220円の2万3,550円で寄り付いた後、2万3,591円まで上昇しましたが、この日の11月SQ(特別清算指数)値2万3,637円を前に失速。一時マイナス圏まで下落し、大引けは+61円の2万3,391円で引けました。
この日足は長めの陰線となっており、幻のSQ(日経平均がSQ値に到達せず引けている現象)となっています。このような場合は、早い段階でSQ値を突破できなければ、目先は一つの上値抵抗ラインとして意識されることになります。
海外材料は、引き続き米中通商協議の動向です。先週末、中国商務省が「これまで双方が発動した追加関税を段階的に撤廃することに合意した」と発表。株価の上昇サポートになりましたが、その後トランプ米大統領は否定しており、相変わらず不透明さを伴っています。
また、明日13日に予定されているパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言も、今後の金融政策の方向が確認できるか気になるところです。市場では、利下げは打ち止め観測も出ており、日米金利差縮小の後退からドルが買われ、やや円安の方向となっています。
さらに今週は、国内では7-9月期のGDP(国内総生産)の速報値が公表され、海外では米消費者物価指数や中国の工業生産などの発表があります。米中貿易戦争が両国経済に与えた悪影響の程度を確認することになります。
今週、調整する場面があれば、短期売買にとってはチャンスとなります。それはチャートを見て分かるように、2018年10月2日の2万4,448円というバブル崩壊後の最高値までフシらしいフシがありませんので、ほどよい調整が完了して、11月8日のSQ値2万3,637円を突破すれば、2万4,000円が視野に入ってくるからです。
11日(月)は、先週末の米株高を受け+30円の2万3,422円で寄り付き、一時+79円の2万3,471円まで上昇。しかし、香港情勢の悪化からハンセン指数が大きく下げ、ツレて上海株式も下落となったことから、日経平均の上値が重くなり、下げに転じました。▲68円の2万3,323円まで下げて、終値は▲60円の2万3,331円と5日ぶりの反落となりました。
ただし、上昇銘柄数多く、これまで上昇してなかった銘柄の水準訂正が起きています。水準訂正が終われば一服感が強まる可能性があります。
(今週の指標)日経平均株価
先週まで日経平均は、5週連続高で上げ幅は2,000円近く、7日の騰落レシオは高値警戒感となる130%台で、一服感が出やすい状況です。
先週末に一時2万3,591円まで上昇して反落し、マイナスをつけて+61円の2万3,391円で終わる大きな上下動を見せています。
11月SQ値が2万3,637円と幻のSQとなっており、ここが当面の上値ポイントとなる場合もあります。もし、調整があればリスクをとれる短期売買にとってはチャンスと言えます。というのはチャートから分かるように、2018年10月2日の2万4,448円というバブル崩壊後の最高値まで、フシらしいフシがないからです。
(今週の指標)NYダウ平均株価
今週も米中通商協議の進む方向が注目となります。現状では通商協議の一部合意への進展で株式相場は大きく上昇し、NYダウ平均株価は史上最高値更新となっています。これからの問題は開催予定の米中首脳会談で両国のこれまでの追加関税措置が撤回されるかどうかが相場を左右することになります。
また、13日のパウエルFRB議長の議会証言で今後の金融政策について何らかの見通しが出るかどうかも注目されます。チャートの形からは、当面の上値抵抗ゾーンに突入しており、これを上放れするには2万8,000ドルを超えるかどうかがポイントです。
(今週の指標)ドル/円
今週のドル/円は、買い気が勝るものの伸び悩みの可能性。雇用情勢を受けて米国の利下げ打ち止め観測が浮上しており、そうなると日米金利差は拡大の思惑からドル買い有利の方向となります。一方で、米中首脳会談での合意への署名実現までは不透明さが残ります。
先週の結果
連休明けの先週は、米株式の史上最高値更新受け、日経平均も4日とも年初来高値更新
日本が連休中の11月4日(月)に、米株式は、NYダウが7月中旬以来の3カ月ぶりの史上最高値更新。3指標そろって史上最高値更新したことで、5日(火)の日経平均は一気に2万3,000円台を回復。先週は全営業日の4日間とも上昇が続き、連日の年初来高値更新となりました。
11月5日(火):好調な7-9月期決算が続く中、経済指標の改善や米中通商合意への期待もあり、4日のNYダウもS&Pやナスダックに続いて、3カ月ぶりに史上最高値更新となったことで、日経平均は+268円の2万3,118円で寄り付き。後場になると上海株式の堅調さを受けて一段高となり、一時+477円の2万3,328円まで上昇して、終値は+401円の2万3,251円と大幅反発となりました。年初来高値更新で1年1カ月ぶりの2万3,000円台回復でした。
6日(水):連日の米株高と円安を受け、日経平均は+91円の2万3,343円で始まり、+100円の2万3,352円まで上昇するものの、利益確定売りに転じて、一時▲5円の2万3,246円まで下げました。しかし、その後は持ち直し、終値では+51円の2万3,303円と連日の年初来高値更新で引けました。
7日(木):6日の米国市場では米中通商協議の合意が先送りされるとの報道から米株式は、ほぼ横ばい。これを受けて、日経平均は3日ぶりに▲20円の2万3,283円と小反落スタートとなりましたが、下げは限定的で2万3,253円の安値をつけた後は安値圏のもみ合いに。しかし、大引けにかけて先物に断続的に買いが入って上昇に転じ、+26円の2万3,330円と3日続伸し、連日の年初来高値更新となりました。
8日(金):米中双方が合意のため、既存の関税を撤廃するとの報道から、7日の米国市場で安全資産の債権や金が売られ、NYダウ、S&P500種株価指数が史上最高値を更新。これにより、日経平均は前場+219円の2万3,550円で寄り付き、2万3,591円まで上昇しましたが、利益確定売りに押され、前引けは+21円の2万3,352円となりました。後場も引き続き上げ幅を縮小したままの動きとなり、終値は+61円の2万3,391円で引けました。日足で見ると長めの陰線となって、この日の11月SQ値は2万3,637円ですので、幻のSQとなっており、ここを早い段階でクリアしないと上値抵抗線として意識されるようになります。
日本市場引け後の米国市場は、中国が発表した「関税撤廃で合意」をトランプ米大統領が否定したことで、株式は売りスタートとなったものの、何らかの合意に達するとの期待が強く、引けにかけて3指標そろってプラス圏を回復、史上最高値更新しました。為替は1ドル=109円台前半の動きとなっており、シカゴの日経先物は+90円の2万3,470円でした。
(出島 昇)
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