10~12月が強いと1月は弱い?日経平均、1月のアノマリーに要注意
トウシル / 2019年12月24日 7時1分
10~12月が強いと1月は弱い?日経平均、1月のアノマリーに要注意
10~12月が強いと1月は弱い:1月のアノマリー
日経平均株価は、昨年(2018年)来の高値に迫る2万4,000円前後まで上昇しています。12月30日大納会まで大きな材料は出ず、このまま高値圏で推移する可能性もあります。それでは、1月6日大発会から始まる新しい年の相場は、どうなるでしょう?
1つ気になるのは、1月のアノマリー(季節ごとに繰り返す相場のパターン)です。日本株でも米国株でも、1月は、相場の流れ・物色動向が変わりやすいことで、知られています。実際、過去の日経平均を見ると、「12月まで高く、1月から安い」あるいは「12月まで安く、1月から高い」パターンが多いことがわかります。
昨年も年末~年初で大きく相場の流れが変わりました。2018年12月に急落した日経平均は、2019年1月から急反発しています。2018年12月の日経平均が前月比▲10.5%だったのに対し、2019年1月は前月比+3.8%でした。
ただし、年末安・年初高は、近年では珍しいパターンでした。一昨年(2017年12月~2018年1月)までの15年間で見ると、圧倒的に年末高・年初安のパターンが多かったことがわかります。
<12月・1月の日経平均騰落率(前月比):2003年12月~2018年1月>
年 月 | 12月 | 1月 | |||
---|---|---|---|---|---|
2003年12月~2004年1月 | +5.7% | +1.0% | |||
2004年12月~2005年1月 | +5.4% | ▲0.9% | |||
2005年12月~2006年1月 | +8.3% | +3.3% | |||
2006年12月~2007年1月 | +5.8% | +0.9% | |||
2007年12月~2008年1月 | ▲2.4% | ▲11.2% | |||
2008年12月~2009年1月 | +4.1% | ▲9.8% | |||
2009年12月~2010年1月 | +12.8% | ▲3.3% | |||
2010年12月~2011年1月 | +2.9% | +0.1% | |||
2011年12月~2012年1月 | +0.2% | +4.1% | |||
2012年12月~2013年1月 | +10.0% | +7.2% | |||
2013年12月~2014年1月 | +4.0% | ▲8.5% | |||
2014年12月~2015年1月 | ▲0.1% | +1.3% | |||
2015年12月~2016年1月 | ▲3.6% | ▲8.0% | |||
2016年12月~2017年1月 | +4.4% | ▲0.4% | |||
2017年12月~2018年1月 | +0.2% | +1.5% | |||
15年平均 | +3.8% | ▲1.5% | |||
注:楽天証券経済研究所が作成 |
日経平均だけでなく、NYダウ平均株価も、近年は1月に下がる傾向がありました。10~12月まで強かったNYダウが、1月は利益確定売りから始まるパターンがよく見られました。
アノマリーと言われているものには、ただの偶然もあります。たまたま過去がそうだっただけで、今後も同じことが起こる理由が何もない場合もあります。たとえば「節分天井、彼岸底」という相場格言がそうです。「株が2月はじめに天井をつけて下がり、3月後半に底をつけて反発に転じる」という意味ですが、最近は、まったく当たっていません。
私は、過去25年、ファンドマネージャーをやってきましたが、アノマリーなるものを、ほとんど無視して運用してきました。ただし、「1月に相場の流れが変わる」アノマリーだけは、無視することができませんでした。何回も、繰り返し起こるからです。
1月に相場の流れが変わるのは、「やるべきことは年内に」と考える人間心理が原因
1月に相場の流れが変わるのは、偶然ではありません。それが起こりやすい理由がはっきりあります。それは、「やるべきことは年内にやっておこう」と考える人間心理が原因だと思います。その結果、以下のパターンを繰り返しています。
◆みんなが強気で10~12月に株が強いと、年明けに下落
多くの人は、今年やるべきことは今年中に済ませようとします。新しい年に向けて、準備すべきことは年内に準備しておこうとします。たとえば、来年、日本株が大きく上昇するというのが、コンセンサスになっていたとします。すると、多くの人は、年内に株を買ってしまおうと考えます。「株を枕に越年で、よい初夢を」と考えるわけです。
ところが、ほとんどの人が年内に株を買ってしまうと、皮肉なことに年明けから株の買い手がいなくなります。そこで1月には、わずかな利益確定売りから相場が崩れやすくなります。
◆みんなが弱気一色なら10~12月が弱く、年明けに上昇
弱気がまん延していると、多くの人は年内に株を売ってしまおうと考えます。株なんか持っていたら、安心して越年できないというわけです。この場合は、年明けにはもう売り手がいなくなるので、上昇を始めます。
◆強気と弱気が混在していて、10~12月は方向感のない相場となると、1月に相場の転換は起こりません。リターン・リバーサルが起こるのは、あくまでも、12月になんらかのコンセンサスがあって、相場が一方向に動いたときだけです。
1月のリターン・リバーサル:過去の事例
私は、ファンドマネージャー時代に、1月に物色動向ががらりと変わるケースをたくさん見てきました。代表的なものだけ紹介すると、以下のようなものです。
<1月のリターン・リバーサル:過去の事例>
◆1987年12月→1988年1月
1987年10月にブラックマンデーがあって世界的に株が急落。12月まで下げ相場が続いたが、1988年1月から急反発。
◆1989年12月→1990年1月
1989年12月末に日経平均は史上最高値(約3万8,000円)をつけ強気一色だったが、1990年1月から急落。
◆1999年12月→2000年1月
1999年12月までITバブル相場でIT関連株が急騰したが、2000年1月からIT関連株が急落。
◆2005年12月→2006年1月
2005年12月までミニITバブル相場でIT関連株が急騰したが、2006年1月から急落。
◆2008年12月→2009年1月
2008年10月にリーマンショックが起こり12月まで景気敏感株が急落したが、2009年1月から景気敏感株は急反発。
上記は、1月に極端なリターン・リバーサルが起こったケースです。小さなリターン・リバーサルはもっとたくさん起こっています。たとえば、2017年12月まで景気敏感株が大きく上昇していましたが、2018年1月から急落しました。2018年12月まで景気敏感株が急落していましたが、2019年1月から急反発しています。
さて、2020年はどうなるでしょうか? 6日からの相場をじっくり見てみたいと思います。
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(窪田 真之)
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