「つみたてNISA」ってどんな制度?
トウシル / 2017年10月13日 16時48分
「つみたてNISA」ってどんな制度?
年間40万円まで積み立て。分配金、利益が非課税に
2018年1月から「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)がスタートします。
では、「つみたてNISA」とは、どんな制度なのでしょうか。
簡単に説明すると、年間40万円まで、20年にわたって、一定の条件を満たした株式投資信託やETFを一定額ずつ積み立てていき、その間に受け取る普通分配金や配当、解約したときの利益が非課税になる制度です。「非課税期間20年」「積み立て」がキーワードです。下表に制度の概要をまとめました。
特徴を順番にみていきましょう。
まず、対象者です。つみたてNISAは、20歳以上で日本に住む人なら、だれでも利用できます。
毎年投資できる枠の上限は40万円までです。非課税期間は20年ですから、2018年から2037年まで、毎年上限額まで積み立て投資を行うと合計800万円まで投資することができます。もちろん、投資枠を上限いっぱいまで使う必要はなく、無理のない金額から始めればOKです。
金融庁の厳しい基準をクリアした投信、ETFが対象
購入できる商品は厳格な要件を満たす株式投資信託とETFに「限定」されます。「信託期間が無期限または20年以上」「毎月分配型は除く」といった共通要件のほか、たとえば、インデックス投信なら、「指定されたインデックスに連動」「購入時手数料なし(ノーロード)」「信託報酬の水準が一定以下(国内資産対象の投信は税抜0.5%以下、海外資産を含むものは税抜0.75%以下)」といった基準が細かく決められています。
アクティブ投信については、手数料水準(*1)だけでなく、「純資産総額50億円以上」「設定から5年以上経過」「設定来、資金流入超の回数が3分の2以上」といった条件も加味されています。
そのため、7月末時点で金融庁に相談があり、条件をクリアした投信は114本のみで(公募株式投信全体の2%程度)、そのうちの99本はインデックス投信です。アクティブ投信は15本と少なめです。そのほか、ETFも6本が内定しています。
もっともこれは”仮”なので、もう少し増える可能性もあります。具体的な商品名については10月2日以降に、金融庁のWebページで公表されます。その後も、運用会社から届出があったものについては随時追加、公表していくそうです。
つみたてNISAで買えるのは、インデックス投信も、アクティブ投信も、株式に投資する投資信託か、株式を含む資産複合型(バランス型)だけ。たとえば、外国債券やREIT(上場不動産投信)などに投資する投信は対象外です。
そして、購入方法です。「つみたて」NISAですから、一括で買うことはできず、「一定額を」「定期的に」「継続的に」買っていくことになります。ただ、「定期的に」の規定はないため、頻度は「毎月」だけでなく、毎日でも、隔月でもOK。また、年2回のボーナス時に増額することも可能です。購入した商品はいつでも自由に解約して現金化することができます。ただし、枠の再利用は不可です。
現役世代の長期的な資産形成のための制度。iDeCoとの組み合わせも
このように、「つみたてNISA」は、これまで投資をしたことのない人や、長期的に積み立て投資を行うことで資産形成をしていく、現役世代をとくに意識した制度になっています。公的年金に上乗せして自分で将来の年金資産を作っていく「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と合わせて活用してはどうでしょうか。あるいは、企業型確定拠出年金に加入していてiDeCoに加入できない人や、iDeCoに加入できる期間が短く、退職一時金が多い人は、つみたてNISAやNISAを優先して使う選択肢もあります。
最後に、つみたてNISAとNISAは併用することはできません。どちらか一方を選択することになります(NISA口座で保有している商品をつみたてNISAに移管することもできない)。購入したい商品や投資できる金額、購入方法(積み立てのみでよいか、一括購入もありか)などを考慮して選択しましょう(*2)。
制度上は1年ごとに変更することも可能ですが、口座管理を考えると、どちらを利用するかを決めて、長期で利用したほうがよいでしょう。
*1 国内資産を対象とするもの:1%以下(税抜)、海外資産を対象とするもの:1.5%以下(税抜)
*2 NISAを利用している人が、来年(2018年)つみたてNISAに変更する場合には年内に変更手続きをする必要がある(来年になっても、NISA口座で商品を購入する前であれば変更は可能)。NISA口座で保有する商品をつみたてNISA口座に移管することはできない。
(竹川 美奈子)
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