暴落するJリートは買いなのか?
トウシル / 2020年3月24日 17時22分
![暴落するJリートは買いなのか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_26187_0-small.jpg)
暴落するJリートは買いなのか?
新型コロナウイルス・ショックでJリートが記録的な暴落
Jリートが大暴落
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/0/-/img_50b0c39fe3e87ba396c391649e860e0434886.png)
本年年明けまでは底堅く推移していたJリート(上場不動産投資信託)ですが、2月20⽇を直近高値として急落し、3月19⽇現在、東証REIT指数は年初来で▲46.6%と、記録的に急ピッチの大暴落となっています。
きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大ですが、感染拡大を抑制するためにイベント⾃粛、学校休校、テレワーク勤務、外出⾃粛など、人々の動きを抑制していることで、商業施設やレジャー施設が休業に追い込まれ、将来的な経済活動に大打撃があるとの予測から、大半のリスク資産が暴落しています。
日米の他資産価格との比較
しかしながら、下落率を⽇米株式とリートで⾒てみると図のような状況で、Jリートの下落率が群を抜いて大きいことが分かります。本来であれば長期契約で安定的とされるオフィスが主力を占めるJリートがここまで大きく下落するというのは、理論的に説明が難しく、一部の投資家による値段を無視した投げ売りなどが原因で、明らかに下げ過ぎであると考えています。
セクター別にJリートの値動きを分析する
Jリートの業種構成比
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/8/-/img_f887248c4e7711de5e1d88ef8369a9f129844.png)
図はARES(不動産証券化協会)分類で⾒たJリートの業種構成比です。新型コロナウイルス感染拡大抑制策のダメージは、利用が大幅に抑制されているホテルや商業施設などへは直接的に大きく影響していると思われますが、長期契約のオフィス、ネット通販が活況の物流施設、安定的な住宅やヘルスケア施設などへの影響は限定的と思われます。
過剰な下落となっている業種もあるのでは?
一方、年初来の業種別パフォーマンスをGICS分類で⾒てみると、新型コロナウイルス感染拡大抑制策のダメージを最も大きく受けると思われる「ホテル・リゾート」セクターの下落率が▲55.1%で最大となっています。一部の調査によれば、2月の国内ホテル客室売上は前年比3割減で、3月は更に悪化しているとされ、業績大幅悪化は避けられません。▲44.1%と2番⽬の下落率となっている「リテール」セクターも主力の商業施設の売上が落ち込んでおり、下落率が大きいことは理解できます。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/b/d/-/img_bddf50fbad152daefa98d7ba7686474126359.png)
しかし、長期契約が主体とされるオフィスが▲41%、オフィスや物流センター、商業施設などを複合的に運営する各種不動産が▲40.8%、ヘルスケアも▲31.1%と株式市場以上の下落となっています。このような事態になっている理由を考えると、Jリートの投資家が換金売りのためにホテルや商業施設だけでなく、流動性が高い主力のオフィスや物流施設なども併せて売却している影響が出ていると考えています。特に金融機関などからの投げ売りが出ているものと言われています。
長期的視点で見たJリートはバーゲンセールか?
Jリートは長期的には配当と共に成長
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/7/-/img_f7a6d7ddf182bada1ef06df79c25df9a45450.png)
図は東証REIT指数の指数計測開始以来の推移ですが、長い意味で⾒れば、Jリート(赤線)は配当(分配金、青線)に沿った格好で共に成長、その水準は配当利回り4%弱で推移してきました(右中段図)。但し、時折ですが、大幅に変動することがあり、例えば2008~2009年にかけてのリーマンショック時には配当利回り10%程度まで売られる局面がありました。今回の暴落局面でも7%近くまで売られており、リーマン・ショック以来の暴落と言えます。
今後のオフィス市況に注目
下の図は三鬼商事による東京都心5区のオフィス市況の推移です。2001年以来のデータですが、足元の水準は平均空室率も平均賃料もリーマン・ショック前の2008年頃の水準まで回復してきました。リーマン・ショック後を振り返ると、当時のオフィスの主力テナントであった金融機関がダメージを受けたためにオフィス市況が大幅に悪化、Jリート相場が大幅に崩れた要因となりました。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/f/-/img_ef39a10f6db3f2d997269858b4d20eb345947.png)
では、今回はどうでしょうか?近年のオフィス市況を支えているのはIT業界であると言われています。丸の内や大手町こそ金融業主体ですが、渋谷や六本木の主力テナントは大半がIT企業です。今回の新型コロナ・ショックによってこうしたIT企業が撤退するという話はほとんど出ておらず、オフィス市況がリーマン・ショック後のように大崩れするリスクは小さいと考えています。したがって、今回の暴落は金融機関などによる投げ売りが原因であり、将来のオフィス市況の悪化を予⾒したものではないと考えており、バーゲンセールではないかと考えています。
当資料で使用した指数について
Jリート:東証REIT指数
⽇本株:TOPIX(東証株価指数)
米国リート:FTSENAREITオールエクイティリートインデックス
米国株式:S&P500株価指数
銘柄:
野村アセットのETF「NEXT FUNDS」
NF東証REIT連動型投信(1343)
記事提供元:
当資料で使用した指数の著作権等について |
野村アセットのETF「NEXT FUNDS」のうち対象銘柄の売買手数料0円!
(阪井 徹史)
この記事に関連するニュース
-
[今週の日経平均]最高値更新も「天井サイン」出現!今週の日本株どうなる?!
トウシル / 2024年7月16日 12時0分
-
平均利回り4.7%!J-REITの投資価値を見直す
トウシル / 2024年7月13日 8時0分
-
日本企業の利益創出は“米国に負けず劣らず”だが…TOPIXとS&P500にある“決して埋まらない差”の正体【マクロストラテジストの見解】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月6日 9時15分
-
新NISAスタートから半年 理想を追ったら資産が半分に⁉長期投資で大失敗しないために
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月29日 12時0分
-
素材・化学セクターのパフォーマンス回復を期待する
トウシル / 2024年6月24日 7時30分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
3「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時0分
-
4小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
5円安は、バイデン大統領と共に撤退か
トウシル / 2024年7月23日 10時31分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)