一筋の希望とコロナ後の世界。日本株は長期投資で「買い場」の判断を継続
トウシル / 2020年4月8日 7時52分
![一筋の希望とコロナ後の世界。日本株は長期投資で「買い場」の判断を継続](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_26386_0-small.jpg)
一筋の希望とコロナ後の世界。日本株は長期投資で「買い場」の判断を継続
不安が強まる中、一筋の「希望の灯」も見えた
急落・急騰を繰り返しながら日経平均株価は再び、1万9,000円台に迫っています。
日経平均日足:2020年1月4日~4月7日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/f/-/img_ff71fdcc96eb3d8c7c78002422882b6248330.png)
世界中で、新型コロナの感染拡大が続いていることが、重大な懸念材料となっています。その一方で、早くから強制力を伴う「外出禁止」を徹底した中国、韓国、イタリア、スペインなどでは、感染拡大がピークアウトしつつあるとの見方が出ています。ニューヨーク州でも感染拡大が鈍化しつつあるとの見方もあります。
不安が一段と強まる中、「一筋の希望の灯も見えた」のが、コロナショックの現状と言えます。世界の株式市場は、それに反応して動いています。下がる一方だった世界の株式が急反発し、乱高下を繰り返す段階に入っています。
テクニカル分析で考えると、日経平均の1万7,000円割れは「売られ過ぎ」だったと判断されます。ただし、そこから1週間で一気に1万9,500円まで戻したのは、「反発が速過ぎ」でした。さらに、急落・急騰を経て、また、1万9,000円に迫っていますが、まだ日柄調整が十分とは言えません。もう一度、下値を試す可能性も払拭されません。当面、日経平均は1万6,500円から1万9,500円の範囲で乱高下が続くと予想しています。
本覧で繰り返し述べていますが、日本株は買収価値や配当利回りから「割安」と判断しており、長期投資で「買い場」と考えています。ただし、このまま一本調子の上昇が続くとは考えられません。
日本で感染拡大に歯止めがかからず、これから7都府県に発せられた「緊急事態宣言」による経済の落ち込みが厳しくなると想定されるからです。当面、1万6,500円から1万9,500円の範囲で、乱高下を繰り返すと予想します。
パニックは収まりつつある。日経VI(ボラティリティー・インデックス)は40近くまで低下
日本株を動かしているのは、外国人投資家です。特に、先物を駆使して売買する短期筋が大きな力を持っています。
外国人投資家が、注目している強弱材料は、以下と考えています。
【弱材料】
◆日本および欧米で、感染者の拡大が続いていること。
◆感染を抑えるための経済封鎖で、世界の景気・企業業績が急激に悪化していること。
【強材料】
◆世界各国が協調して、「何でもあり」の巨額経済対策を出してきていること。
◆新型コロナの「治療薬・ワクチン・簡単な検査方法」の開発が進み始めていること。
◆早くに外出禁止を打ち出した中国・イタリアなどで感染がピークアウトしつつあること。
外国人投資家による日本株の「パニック売り」は、徐々に収まっていくと予想しています。株式市場での「恐怖」が低下しつつあるからです。それが、「恐怖指数」と言われることもある日経VI(ボラティリティー・インデックス)の動きに表れています。
詳しい説明は割愛しますが、日経VIは、日経平均オプションなどのデータから日本株市場での「リスクへの警戒」がどの程度高まっているか、日本経済新聞社が計測して指数化したものです。
日経平均と日経VI(ボラティリティー・インデックス)週次推移:2018年1月4日~20年4月7日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/2/-/img_22ddf26b237fad2c2a537ad645d74bc941988.png)
恐怖指数とも言われることがある「日経VI」は、日経平均が急落する局面で上昇します。通常は20くらいで推移していますが、コロナショックで日経平均が暴落すると、恐怖心理が一気に高まり、一時58.5まで上昇しました。
ただし、4月に入り、日経平均が急反発してから低下しています。7日には、40.1まで低下しました。
世界には、この「恐怖指数」の動きを見ながら、トレードする投機マネーがたくさんあります。恐怖指数が上昇すると株式を売り、恐怖指数が低下すると株式を買うように、設計されています。日経VIが急上昇する局面では、そうした資金からの先物売りが出たと推定されます。今後もし、日経VIが40以下に低下すれば、経験則では、投機マネーから日経平均先物の買い戻しが出る可能性もあります。
詳しい説明は省略しますが、東京証券取引所が発表している裁定売買残高の変化に、投機筋の先物ポジションが表れています。3月27日時点で、裁定買い残7,008億円に対し、裁定売り残は1兆6,180億円と、売り残が買い残を大きく上回っている状態です。投機筋が、日経平均先物の売り建てを積み上げている状態であると考えられます。
今後、さらに日経VIが低下すれば、先物の買い戻しが出やすい状態と考えられます。
日経平均と裁定買い残・売り残の推移:2018年1月4日~2020年4月7日(裁定買い残・売り残は2020年3月27日まで)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/b/-/img_5b65ad6a1bd2aa70c8616a6cc5afb24481180.png)
おぼろげながら見えてきた「コロナ後」
今、語るのはまだ早すぎかもしれませんが、新型コロナ感染が終息した後の世界で、少しだけ見えてきた部分もあります。
まだかなり先になるかもしれませんが、コロナ・ショックで落ち込んだ世界経済は、ショックが去れば、急速に回復に向かうと考えられます。その時、日経平均は、2万円を超えて上昇していくと予想しています。
ただし、コロナが去って、すべてが元に戻るとは考えられません。元に戻るものと、戻らないものがあると思います。これから日本株に投資するならば、それを意識して銘柄選別すべきと考えます。
元に戻らないと考えるものの1つに、「IT化の加速」があります。人と人が接触できない世界が広がる中で、急速にネットがリアルを代替する動きが加速しつつあります。この流れは止まらないと思います。
今まで、人と人が国際的に行き交い、交流するのが当たり前の世界が続いてきました。日本では長時間の通勤をして会社に出て働くのが、当たり前の時代が続きました。リモートワーク、リモート会議の普及で、こうした慣行に見直しが起こっています。この流れは、コロナ・ショックが去った後も、変わらないと推測されます。
こうしたさまざまな構造変化を意識しつつ、コロナ後を考えながら、投資銘柄を選別していく必要があると思います。
▼著者おすすめのバックナンバー
2020年4月6日:パニック売りどこまで続く?恐怖指数ではかる日本株「押し目買い」タイミング2020年3月18日:日本株の買戻しいつ?裁定売り残は1.7兆円に増加。投機筋の日経平均先物「売り建て」積み上がる
(窪田 真之)
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