時期尚早?アフター・コロナ相場を探る動き。下落再加速シナリオも
トウシル / 2020年4月13日 12時4分
![時期尚早?アフター・コロナ相場を探る動き。下落再加速シナリオも](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_26433_0-small.jpg)
時期尚早?アフター・コロナ相場を探る動き。下落再加速シナリオも
日経平均、上値は重たいものの株価復活の動き
先週末4月10日(金)の日経平均株価終値は1万9,498円でした。前週末終値(1万7,820円)からは1,678円高となり、前週分の下げ幅(1,569円)を取り戻した格好です。
先週は国内で緊急事態宣言が出された他、欧米の感染者増加に頭打ち感が出てきたこと、さらに感染拡大の震源地となった中国の武漢市でも2カ月半ぶりに封鎖措置が部分的に解除されるなど、状況の悪化がひとまず一服し、株式市場の「底打ち感」ムードが高まった格好です。
さらに、一部では「コロナ収束後」を見据える声も聞こえてきました。まだ気が早いとは思いますが、少なくともアフター・コロナ相場を探りに行くような兆しが出てきた以上、ある程度の準備というか、心構えをしておく必要があるのかもしれません。
いずれにせよ、まずは足元の状況から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年4月10日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/3/8/-/img_382d8a16a87d4b2440cf2ce749702dca40928.jpg)
先週の日経平均ですが、週初の1万7,000円台後半から1万9,000円台半ばまで株価水準を一段切り上げる格好となりました。
ローソク足の足取りをたどってみても、ほぼ順調に値を戻していた他、それぞれの形も下ヒゲが比較的長いものが多くなっています。下ヒゲの長さは売りに押されながらも買いが盛り返す動きを示しているため、株価の戻り局面ではポジティブな印象を与えます。さらに、5日移動平均線と25日移動平均線の「ゴールデン・クロス」も出現しています。
その一方で、先週の高値(1万9,500円)が直近高値(3月25日の1万9,564円)に届いていない他、オプション&mini先物取引のSQ日だった10日(金)のSQ値(1万9,577円)にも届かず、いわゆる「幻のSQ」となっています。75日と200日の別の移動平均線では「デッド・クロス」となっています。
つまり、日足チャートの形は株価復活の動きと同時に、上値の重たさも感じられるという状況です。とはいえ、基本的なスタンスは目先の底打ちから上方向を試していると見て良いと思われます。
次の方向感が出るまでもみあいが続きそう
■(図2)日経平均の平均足(日足)とMACD(2020年4月10日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/3/-/img_7374d6d01fafda3ac387ac1208664d2a44797.jpg)
上の図2は日経平均の平均足(日足)とMACDとの組み合わせです。
上段の平均足は3月24日に陽転し、翌25日にはMACDがシグナルを上抜け、トレンドが上向きに転換しています。4月あたまに平均足が陰転する場面がありましたが、再び陽転したこと、そしてMACDとシグナルのクロスもなく、株価の戻り基調は維持されています。
また、「三角もちあい」を形成しつつあるようにも見えますが、もちあいと見なされるには、一般的に株価の上げ下げが5回以上繰り返すと言われています。先週末時点でのカウントは3番目ですので、まだ振れ幅の大きい株価の下げと上げの動きがあるかもしれません。
そのため、次の相場の方向感が出てくるまで日柄調整によるもみあいが続きそうな状況と言えます。上値のハードルは、直近高値(1万9,564円)やSQ値(1万9,577円)、節目の2万円、3月6~9日にかけて空けた「窓」埋め(2万749円)などが考えられます。そして、もみあいを続けているあいだに下段のMACDが「0円」ラインを超えることができるかも焦点になります。
再び下落が加速するシナリオ
では、反対に再び下落が加速するシナリオについても見ていきます。下の図3は前回のレポートで指摘した景気動向指数の推移です。
■(図3)景気動向指数の推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/1/-/img_01eead207bc84a1cf59cc08d5340d95036632.jpg)
先週発表された2月分の結果(CI[コンポジット・インデックス])は、先行指数が92.1、一致指数が95.8、遅行指数が101となりました。前月分と比べて先行指数と一致指数が上昇、遅行指数が低下しましたが、思ったほどの悪化ではありませんでした。
もっとも、景気の持ち直しが見られたわけではないですし、まだ3月分以降の動きを追っていく必要があるものの、目先の不安の高まりは回避されたと言えます。
このまま世界的規模で新型コロナウイルスが収束に向かえば、「ヒト・モノ・カネ」の流れが復活し、株価と景気のV字回復も期待できるわけですが、実際のところは中国と日本の状況を比較しても分かる通り、各地でかなりの時間差があります。
国内では緊急事態宣言が出されたばかりですが、「遅すぎ」という批判がある他、海外の都市封鎖の厳しさほどの内容ではなく、その効果について不安視する声も聞かれます。
確かに、海外が収束に向かう一方で、国内でダラダラと感染者数が出続ける状況となってしまえば「日本回避」の動きとなり、国内株の本格的な戻りも出遅れてしまいます。
一足早く峠を越えたとされる中国でも、武漢市が開放されるまでに約2カ月半もかかった他、経済活動の制限は現在も続いています。さらに、米国をはじめとする中央銀行が行った大量の資金供給や企業支援によって、金融不安や信用リスクが後退していますが、コロナ収束までの時間軸が後ずれすれば不安が再燃することになります。
下値を試す展開になった場合の目安は?
仮に相場が下値を試す展開となった場合には、いったん底打ちしたとみられる3月19日をトレンドの基準とする「ギャン・アングル」の線が目安になります(下の図4)。
■(図4)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年4月10日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/b/6/-/img_b60887522e1aef62e188c1715342a5bc39492.jpg)
下向きのトレンドラインを意識しながら戻りと下押しを繰り返すような値動きのイメージです。今週は3×1ラインが意識の中心になりそうです。
したがって、株式市場が本格的に「コロナ収束後」を織り込みに行くのは、時期としてまだ早いのかもしれません。
(土信田 雅之)
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