「あえて今!」の投資アドバイス~iDeCoやつみたてNISAをスタートするあなたへ
トウシル / 2020年5月5日 5時10分
「あえて今!」の投資アドバイス~iDeCoやつみたてNISAをスタートするあなたへ
iDeCoやつみたてNISAの口座開設が増えているらしい?
3~4月のマーケットは大変なことになりました。もちろん新型コロナウイルスの影響による株価の騰落です。トランプ米大統領が就任後、「4年かけて上昇した株価が全て吸収されてしまった」と言われると、そのインパクトの大きさが分かろうというものです。
過去、下げ相場では個人投資家は離れると言われてきました。しかし、今回はちょっと様相が異なるようです。報道によれば、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の口座開設申し込みが増えているというのです。
こうした大きな下げ相場を見て、「投資をスタートしてみたい」「ゼロから積み立てで投資を始めてみよう」と思う人が増えるというのは、恐らく初めてのことではないでしょうか。少なくとも、リーマン・ショックのときには「今こそ積み立てを始めよう」というカルチャーはありませんでした。
「普通の会社員こそ積み立て投資を続けよう」と提案している一人として、こういう変化はうれしく思います。しかし、あえてこの機にiDeCoやつみたてNISAをスタートしようとする勇気ある皆さんの不安は、決して少なくないと思います。そこで、一つのアドバイスをしてみたいと思います。
積み立て投資は「下がって、上がる」時期を一度経過すると大きなリターンを生む
最初にいきなり逆のことを言うようですが、積み立て投資・分散投資はベストな投資方法ではないかもしれません。なぜなら、もし最安値のタイミングが分かるのなら、そして、どの投資対象が一番値下がりしているか分かるのなら、そこに全額を投資するのが一番だからです。また、期待リターンを高めたいのであれば、リスクを極大化するのが一番の選択です。
しかし最高の投資タイミング、投資対象は誰にも分かりません。今日が最安値なのか、来月なのか、半年後なのか、それを予見することはできません。日本株のほうがいいのか、外国株のほうがいいのか、それも分かりません。私たちは神ではないからです。
積み立て投資、そして分散投資を続けることは、未来の分からないマーケットでも長期的にリターンを稼ぐシンプルな方法です。それはつまり「長い目で見たら」経済は成長するという一点を信じて投資をすることだからです。
このとき、特に積み立て投資に向いているのは、大きく下がっている時期を経過することです。簡単に言えば「下がって、上がる」を経過することで、あなたの運用利回りは大きく高まります。だからこそ、あなたがこのタイミングで、ゼロから積み立て投資を考えているのであれば、ぜひ始めてみてほしいのです。
絶対にやってはいけないのは「もっと下がったとき中断をすること」
私の個人的投資経験をお話ししますが、リーマン・ショック直前にiDeCo(当時は愛称はなかったですが)をスタートしていた私は、日経平均株価が8,000円台まで下がったときも「いつかは戻る」と積み立て投資を継続しました。世界中に分散投資を行うバランス型ファンドを、ただ自動的に買い付け続けたのです。
株価を毎日チェックすることも、売買判断を検討することもしませんでした。アベノミクスが2012年からスタートして、株価が大きく上がり始めてもなお、行動パターンを変えることはありませんでした。おかげさまで、大きなリターンを得て、今回の相場がジェットコースターとなっても、積み立て投資を継続できています。
これからiDeCoやつみたてNISAをスタートする人に申し上げたいのは、「今よりももっと下がったとしても、積み立て投資を中断しない」ということです。
もしかすると、あなたは積み立て投資をスタートするにあたって、「ここが底だ」と内心考えて、タイミングを図っているのかもしれません。しかし、これまで説明したように、ベストタイミングは分かりません。どれだけ長引くか、どれだけ下がる余地があるかは分からないのです。
毎月数万円程度の積み立てを続けていたとしたら、ぜひ中断をしないでください。やがて新型コロナウイルスを克服して、社会経済がもう一度成長軌道に乗ることができる、ということを信じることができるなら、ただ分散投資された商品を積み立て継続することがベター(そしてかなりベストに近いベター)な選択肢になるからです。
あなたの20年後に、「2020年の決断」が実を結びますように!
投資の決断にはきっかけが必要です。スマホから証券口座開設の申し込みをしたり、iDeCoの申し込み手続きをしたり(特に会社員にとって会社のハンコをもらう面倒とストレスといったら!)、つみたてNISAをスタートするためにマイナンバーの番号を書くといったことには、あなたの背中を押す何かが必要です。
もし、あなたが「2020年の決断」をできたなら、それはきっと未来を大きく変える、一歩を踏み出したということです。少なくとも「毎月一定額を未来のために積み立て続ける」という一歩になったのです。元本ベースだけでも、大きな進展です。
仮に月2.3万円のiDeCoを積み立てられるとすれば、20年で552万円の資産を積むことになります。つみたてNISAに年40万円を20年積み立てられれば800万円の資産が積まれます。
そして、それぞれ同じ20年に年2.5%の利回りがあれば、iDeCoに715万円、つみたてNISAに1,037万円の残高が育ち、年4.0%の利回りならiDeCoに844万円、つみたてNISAには1,226万円の口座残高を、20年後に確認することになるでしょう。
あなたがもし、20年後に経済的安心を手に入れるとしたら、それは会社や国が勝手にプレゼントしてくれるわけではありません。あなた自身の行動によるのです。
ぜひ、「2020年の決断」が未来のあなたを豊かにしてくれるよう、行動をしてください。20年後のあなたは、今年のあなたを振り返って、きっと感謝するはずです。
(山崎 俊輔)
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