ショック相場をうまく立ち回る!外せない株投資2つの視点
トウシル / 2020年5月21日 5時10分
![ショック相場をうまく立ち回る!外せない株投資2つの視点](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_26912_0-small.png)
ショック相場をうまく立ち回る!外せない株投資2つの視点
今回からスタートする新連載・一生モノの株投資力養成講座は、負けない株式投資を目指す実践的講座。隔週木曜日に、公開します。
コロナ・ショックから半値戻しした日経平均株価
地球規模で広がった新型コロナウイルス感染によって、世界経済や人々の暮らしに与えるダメージが心配されています。株式市場でも株価が急落し、「コロナ・ショック」とも呼ばれていますが、その一方で、株価が下落している局面を好機と捉え、久々に株式取引を再開したり、新規に証券会社に口座を開設したりする人が増えています。
同じような事象は2008年の「リーマン・ショック」や、2015年の「チャイナ・ショック」の時にも見られました。株式投資のキホンは「安く買って高く売る」ですから、「〇〇ショック」で株価が大きく下落している局面は買いのチャンスというわけです。
実際に、新型コロナウイルスをめぐる情勢が不安視され、株価が大きく下落したのは今年2020年2月上旬から3月下旬にかけてでした。日経平均株価は2月6日の高値(2万3,995円)から3月19日の安値(1万6,358円)まで、7,637円の下げ幅を見せています。以降の株価はほぼ順調に反発し、5月上旬の時点で下げ幅の半分を取り戻していますから、リクツとしては正しいと言えます。
(図1)日経平均株価(日足)の動き
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/9/-/img_29a96d322e6214a77a535ed64f38389147051.png)
出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成
ショック相場だからといって即買いではない?
とはいえ、株式市場という実戦の場でうまく立ち回って利益を得るには、いくつかの視点を持つことが大切です。
その一つが「何を取引するか?」です。〇〇ショックで株価が大きく下落し、お得に株を買えたとしても、その銘柄企業の業績が低迷したり、倒産してしまっては本末転倒です。ショックを乗り越えた後に力強く復活しそうな銘柄や、明らかに売られ過ぎとされる銘柄などを選ぶ必要があります。
銘柄選別に自信がない、もしくは面倒ということであれば、株価指数に連動するETF(上場投資信託)やナスダック100といった株価指数そのものを対象とする先物取引などを選択するのもアリです。
下の図2はナスダック総合指数のチャートです。
(図2)ナスダック総合指数(日足)の動き
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/b/-/img_ebc3f06e51492c4ed1d5c945bab78cd940032.png)
出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成
図2を見ても分かるとおり、2020年5月8日時点のナスダックは新型コロナウイルスによる株価急落の下げ幅の8割近く戻している他、2019年末比でもプラスに転じています。「何を取引するか?」という視点で見れば、日経平均よりもナスダックの方がより多くの利益を狙えたことになります。
ショック相場でいつ取引すべきか?
次は「いつ取引をするか?」です。今のところ、順調に株価を戻してきましたが、再び調整する可能性も否定できません。いったん利益を確定すべきか、それともさらなる株価回復を待つべきかという視点です。
そこで、過去の〇〇ショック時の様子を見ていきます。下の図3は「チャイナ・ショック」時の日経平均の週足チャートです。
(図3)「チャイナ・ショック」時の日経平均チャート(週足)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/a/-/img_9aef954768571db55bce8eb9c9040a0953740.png)
いわゆるチャイナ・ショックは2015年の8月に訪れました。日経平均は同年10月頭にいったん底打ちしてから12月まで下げ幅の8割近く戻したものの、その後は翌2016年2月にかけて最初の急落以上の下落局面を迎えています。結局、チャイナ・ショック前の株価水準に戻った2017年10月まで、約2年2カ月を要しています。
続いて、「リーマン・ショック」時についても見ていきます。
(図4)「リーマン・ショック」時の日経平均チャート(週足)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/f/-/img_ef93c5dd53bbe290f1efe1fd3f49883e54691.png)
日経平均はすでに下落基調となっていましたが、リーマン・ショック自体は2008年9月半ばに訪れています。その後は同年10月末にいったん下げ止まったものの、翌2009年3月に「ダブルボトム」を形成し、以降は9,000~1万1,000円台のレンジ相場が長期にわたって続きました。こちらもショック前の株価水準に戻した2013年3月まで約4年半も掛かっています。
過去のショック時から言えることは、(1)「株価はある程度まで戻すが、何度か調整局面を迎えている」、(2)「ショック前の株価水準まで戻すのに長い年月が掛かっている」、(3)「途中で一定期間のトレンドをいくつか形成している」の3点です。
株価が元の株価水準以上になるまで株式を気長に持ち続けるのもひとつの手ではありますが、折角なので(3)のトレンドを捉えてタイミング良く売買できれば、それだけ収益機会も増えることになります。
例えば、チャイナ・ショック時の場合、日足チャートの5日と25日移動平均線のクロスというシンプルなサインに従って売買するだけでも、利益を狙えたことが分かります(図5)。
(図5)「チャイナ・ショック」時の日経平均チャート(日足)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/d/-/img_7d3336c87e8bec0d0b5f5e2125f67e8464908.png)
つまり、〇〇ショックというレアな状況であるか否かにかかわらず、普段から「何を取引するのか?(売買対象の選択)」と、「いつ取引するのか?(取引のタイミング)」の視点を持っておく必要があります。
一般的に、前者を得意とするのが「ファンダメンタルズ分析」、後者を得意とするのが「テクニカル分析」ですが、次回(6月4日公開予定)以降は、これらについてもっと掘り下げて考えてみたいと思います。
(土信田 雅之)
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