1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

日経平均、不安と期待のシーソーゲーム。2万1,000円台トライの勢いは出るか?

トウシル / 2020年5月25日 14時0分

写真

日経平均、不安と期待のシーソーゲーム。2万1,000円台トライの勢いは出るか?

日足チャートの状況は着々と改善

 先週末5月22日(金)の日経平均終値は2万388円でした。前週末終値(2万37円)からは351円高、週足ベースでも上昇に転じています。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 まずは、いつもの通り足元の状況から確認します。

 先週の日経平均の推移を振り返ると、週初の18日(月)は前週末終値付近での小動きでしたが、翌19日(火)になると一段高を見せ、目先の目標となっていた75日移動平均線に到達しました。そして、この線に沿うような値動きのまま週末を迎えています。

 また、週間の高値は2万734円でした。これまでのレポートで注目していた3月6~9日に空けた「窓」をほぼ埋めた他、移動平均線では5日線が75日線を上抜ける「ゴールデン・クロス」も出現しています。

 このように、日足チャートの状況は着々と良くなっている印象ですが、窓空けに注目すると、4月下旬からの日経平均は「窓空けで上昇した後に売り押され、再び窓を空けて上昇」といったリズムが繰り返されていることが分かります。

 買いが続かない割に株価水準自体は切り上がっていく展開のため、取引で利益をねらうのが難しかった局面と言えます。当然ながら売買も盛り上がりにくく、実際に21日(木)と22日(金)の東証1部の売買代金は2日連続で2兆円を下回っています。しかもこの両日は、前日終値よりも高く始まっていますが、結局マイナスで取引を終えています。

 そのため、今週の株価が結果的に上昇したとしても、チャートの改善が示しているほど買いの意欲は強くないかもしれません。上値が重たくなると、ちょっとしたことが売りの口実になりやすいことを考えておく必要がありそうです。2万1,000円台をトライする勢いが出るかどうかが注目されます。

目先の値動きのレンジは2万1,092~1万9,898円

 足元の株式市場の堅調さは、新型コロナウイルスの感染拡大や米中摩擦への「不安」よりも、経済活動再開の動きやウイルスワクチン開発への「期待」の方が優勢になっている状況が背景にあります。つまり、「不安」と「期待」のシーソーゲームのバランス次第で株価が動き、今後は形勢逆転で不安の方が優勢となることも考えられます。値動きのフォーメーションでも「上昇ウエッジ」が煮詰まりつつあり、そろそろ大きな上放れか下放れが訪れそうな雰囲気も出始めています。

 さらに、5月最終週となる今週は、前月の4月末終値(2万193円)を超えて終えられるかどうかも焦点です。来週からの6月相場は、12日に控えるメジャーSQへの思惑が意識されやすくなるため、月足ベースでプラスを維持できれば心理的に前向きになれます。

 このように、色々と読みにくい状況が重なっているため、今週についても「上方向を目指しながらも膠着(こうちゃく)感が漂う」という見方が基本路線になりそうです。

■(図2)日経平均(日足)のエンベロープ(25日MA基準)(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は25日移動平均線を基準にしたエンベロープですが、最近の日経平均はエンベロープの+6%辺りのところまで上昇すると、いったん落ち着く傾向があります。したがって、目先の値動きの範囲はエンベロープの+6%までの範囲となります。先週末時点の株価で見れば2万1,092~1万9,898円のレンジです。

 続いて、週足の状況も確認します。

■(図3)日経平均(週足)の平均足とMACDの動き(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は前回のレポートで紹介した週足の日経平均の平均足とMACDの組み合わせです。想定していた通り、上段の平均足の陽線が続く中、下段のMACDとシグナルのクロスが実現する一方で、移動平均線については、26週と52週線の「デッド・クロス」が実現しました。

 MACDではトレンド転換を示しつつも、移動平均線はまだ下方向への意識を保ったままですので、このまま中長期的なチャートの形を改善できるかを探っていくという見方に変わりはなさそうです。

マザーズ指数は力強い上昇。コロナ関連銘柄物色の影響か、これまでの下げの反動か

 最後に、マザーズ指数の動きについても見ていきます(下の図4)。

■(図4)マザーズ指数(日足)の動き(2020年5月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 3月安値からのマザーズ指数の上昇は日経平均と比べてかなり力強く、昨年末比でもプラスに転じており、コロナ・ショック以前の株価水準を超えています。

 ただし、別の角度から眺めてみると、違った景色が見えてきます。下の図5は、2018年あたまを100としたマザーズ指数と日経平均の指数チャートです。

■(図5)マザーズと日経平均の指数チャート(2018年あたまを100とする)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 図5を見ると、マザーズ指数は長期にわたって下落基調をたどっていたことが分かります。コロナ・ショックによる安値時点の水準は、日経平均が約70だったのに対し、マザーズ指数は約45とかなり下がっています。

 最近のマザーズ指数は、新興株市場かつ株価が力強く上昇しているということで、米NASDAQと同様に論じられる場面が見受けられます。確かに、マザーズ市場では、ワクチンや治療薬への思惑をはじめ、テレワークやリモート、非接触型社会に資する技術を持つ企業など、新型コロナ関連の銘柄への物色が進んでいますが、米NASDAQのFANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)などに挙げられるような、高収益かつグローバルに活躍する銘柄が存在せず、足元のマザーズ指数の上昇は、これまで大きく下げてきた分の反動が出ているという側面もあります。

 直近のマザーズ指数の上昇が日経平均などへのキャッチアップならば、ある程度実現したところで上昇がストップしてしまうことになりますし、米NASDAQがNYダウやS&P500をけん引している状況とは異なることを考慮しておく必要がありそうです。

(土信田 雅之)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください