ETFと投資信託の違いとは?今買うならどっち?

トウシル / 2020年6月2日 17時59分

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ETFと投資信託の違いとは?今買うならどっち?

執筆者:バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社インターミディアリー営業部長 三上和久

「投資信託(以下:投信)」と「ETF」の違いはご存知でしょうか。この2つは似たような商品も多く、どちらを購入すればよいのか分からない方も多いと思います。

 今回は、「投信」と「ETF」の特徴とそれぞれの活用方法をご紹介します。

投信とETFの共通点・相違点

 ETFは上場投資信託のことで、投信の一種です。つまり、運用会社がその資産を運用して、成果を投資家に還元するものであり、ともに分散投資が手軽にできる金融商品です。一方で、売買の仕方などについては両者で異なっています。

投信・ETF・株の比較表

  投資信託 ETF 株式
上場・非上場 非上場 上場
売買の方法 取得価格 1日1回算出される基準価額 リアルタイムで変動する市場価格
取得場所 ファンドごとに異なる販売会社で、
証券会社や銀行、郵便局など
証券会社
注文方法 販売会社を通じ基準価額をもとに
購入価額を算出して購入
証券会社を通じ、市場で指値
/成行注文で取得
コスト 取得時の
費用
ファンドによって、また販売会社ごとに異なる販売手数料 市場で取得する際に、証券会社により異なる売買委託手数料
信託報酬 一般的にETFより高め 一般的に投信より安い 該当なし
売却・解約時の費用 信託財産留保額や換金手数料が
かかる場合がある。
市場で売却する際の
売買委託手数料など

 表から、ETFは、特に売買について「株式」と共通点が多いことが分かります。

 では、投信とETFそれぞれどんな人たちに向いている商品なのでしょう。

投信が向いている人

・投資経験があまりない方(これから始めたい方)
・まずは少額からお試しで始めてみたい方
・手軽に積立投資をしたい方
・つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の制度を活用したい方
・長期投資をしたい方 など

ETFが向いている人

・投資に少し慣れてきたので自分でいろいろ試してみたい方
・マーケットを見ながらリアルタイムでの市場価格で購入したい方
・世界的に有名な運用会社が運用する商品に投資をしたい方
・より低コストで投資をしたい方
・長期投資をしたい方 など

 みなさまはどちらに該当しましたか? 次に、それぞれの強みを紹介します。

ETFと投信の強み

手数料は海外ETFのほうが低め

 海外ETFは、投信と比較して、運用手数料が低い商品が多いです。例えば、米国株式の約3,500銘柄に投資をするバンガードETFである「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)」を直接購入する場合の経費率*は0.03%になります。これを投信である「楽天・全米株式インデックス・ファンド」を通じて購入すると、信託報酬*は約0.162%(税込)となります。長期間にわたって運用することを考えると、この違いは大きいです。*国内籍投信の「信託報酬」は、海外のETFではそれに近い概念として「経費率」と呼びます。

 その違いの理由は、投信と海外ETFでは、できることや使い方が異なるからなのです。例えば、海外ETFを購入するためには、通貨を日本円から一度両替する必要がありますが、投信は一般的に日本円で購入できるため、円をドルに両替するといった手間が必要ありません。

つみたてNISA対象商品のほとんどが投信

 長期にわたって積み立てることで税制優遇制度を受けることができる「つみたてNISA」制度の対象商品は、投信がほとんどです。「つみたてNISA」の対象商品は「しっかり分散されていて、手数料が低く、運用が安定している」という金融庁の基準を満たす商品のみ。長期的に見ると投信のほうがETFより支払うコストが高くなることもありますが、少額から投資を始められる点や日本円で購入できる点などを踏まえると、それも適正なコストという見方もできます。

マーケットを見て売買できるETF

 一方、ETFは、市場が開いている時間であれば、自分の都合の良いタイミングでいつでも売買をすることができます(無料のケースもありますが、基本的には売買手数料はかかります)。

 また、複数の商品を機動的に組み合わせて投資を行いたい、という方にとっても、ETFは有力なツールです。異なる指数に連動するETFを数本組み合わせることで、ご自身でポートフォリオを構築し、好みに合わせてカスタマイズした投資ができるとも言えます。しかも、相対的に低コストで実現が可能となります。

同じETFを直接購入する場合と投信を通じて購入する場合の比較

  楽天・全米株式インデックス・ファンド  バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
  公募投資信託 海外ETF(上場投資信託)
取引単位
※1
(楽天証券の場合)
100円以上1円単位 1口単位(約1万5,000円)※2
取引価格 毎営業日1回算出される基準価額  取引時間中変動する市場価格で取引
取引通貨 米ドル(円貨決済も可能)
ファンドの
管理費用
0.162%程度 0.03%
分配金/再投資 ファンド内で再投資 受取
つみたてNISA
対象
○  ×
一般NISA
※1楽天証券でお取引の場合
※2参考価格 5/14の終値で1口141ドル、1ドル106.38円で約1万5,000円

人気のETF

 現在、日本でも多くの投資家がETFを活用していますが、その中でも最近海外のETFが話題になっています。

 海外のETFは種類も豊富で、世界的に有名な運用会社が運用する商品が購入できるからです。
では、どんなETFが人気なのでしょう。次の表をご覧ください。

米国ETF預かり残高ランキング(時価評価額(円ベース)) 2020年4月30日時点

  ティッカー 銘柄名
1 VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
2 VOO バンガード・S&P 500 ETF
3 VTI バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
4 SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF
5 VYM バンガード・米国高配当株式ETF
6 SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF
7 PFF iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF
8 QQQ インベスコQQQ 信託シリーズ1
9 SPY SPDR S&P 500 ETF
10 IVV iシェアーズ・コア S&P 500 ETF

 この残高ランキング上位に入っている会社のひとつに、私が働いているバンガードがあります。米国に本拠地を置く、世界最大級の運用会社で、日本の個人投資家の方もその商品を多く購入されています。

長期投資に向く投資商品

 ところで、投信は「長期投資」に向く商品で、ETFは比較的、「短期投資」用の商品だと考える方がいます。しかし、実は投信とETFは、どちらも「長期投資に向いた商品」なんです。

 確かに、ETFは自由に売買ができるため、「短期投資向けの商品」と捉えられがちですが、実はそんなことはありません。「短期投資向け」と思われる大きな理由の1つは、ここ最近まで日本国内で注目されてきたETFの多くが、レバレッジ・インバースやテーマ型等のETFでしたので、どちらかというと値上がりを狙って、短期的に売買されていたケースが多かったことに起因するようです。

 しかし現在、日本の個人投資家の間で最も人気のある海外ETFの『VT』(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)は、世界中の株式の約8,000銘柄に幅広く分散投資を行う商品で、まさに長期投資に向いている商品です。

 バンガードは投資哲学として4つの基本原則を掲げていますが、そのうちの1つは「分散」※です。「分散」とは、幅広い地域や資産クラスに適切な資産配分をして投資をしましょう、ということを意味していますが、リスクも分散できるため市場の変動に一喜一憂しなくても良いのです。

 そして、分散投資を実現する海外ETFであれば、長期投資にも向いていると考えられます。大切なのは、投信・海外ETF問わず長期で分散する、という考え方です。この点は、投資家の皆様に是非意識していただきたいと思っています。

それぞれの「投資ニーズ」

 投資商品を選ぶのにあたり、最も優先すべき点は、最終的に投資家の皆様の「投資ニーズ」を満たすかどうかです。バンガードの投資哲学の4原則の2つ目は「目標」※です。投資における「目標」とは、老後資金、子供の大学資金や住宅購入資金などといった現実的かつ、達成可能なゴールのことです。投資目標を最初に設定することにより、目標達成に向けた投資計画が立てられ、適切な投資商品が選びやすくなります。

※バンガード投資哲学の4つの基本原則は「目標」「分散」「コスト」「規律」です

 具体的な例で考えてみましょう。30歳の方が老後の生活資金を貯めるために投資を始める場合、目標達成まで30年以上ありますので、長期的視点で投資方針や商品を選ぶことができます。一方で、同じ30歳でも、40歳までに住宅購入を目指している方の場合、スタートラインは同じであっても目標まで10年しかないため、比較的短いタイムラインに基づく投資計画で目標を達成しなければなりません。こうしたそれぞれの「投資ニーズ」によって投資の手法も変わってきます。

 また、どのような口座から投資をするかも重要です。通常の証券口座やNISA口座からの場合は、投信でも海外ETFでも投資が可能ですが、つみたてNISA口座、企業型確定拠出年金口座やiDeCo口座などを活用する場合は投信に限られます。

 漠然と「どの商品が良いのか?」という話ではなく、投資家の皆様それぞれの目標に合った商品を選んで投資をすることが非常に重要なのです。これらの点を踏まえて、投信と海外ETFをフェアな目線で検証していただき、ご自身の投資ニーズに合った商品をご活用いただければと思います。

執筆者:バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社インターミディアリー営業部長 三上和久

(トウシル編集チーム)

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