日本株は、先物の動きに注意。やや過熱感もあり上昇ストップか。
トウシル / 2020年6月2日 17時8分
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日本株は、先物の動きに注意。やや過熱感もあり上昇ストップか。
今週の予想
今週は、2万2,000円台回復でアタマが重くなる可能性
今週は、目先は心配された米中対立の激化懸念もトランプ米大統領は香港問題について特別優遇措置廃止を発表したものの、米中貿易協定は当面は維持される見通しとなりました。そのため、いったん先週のNYダウは▲368ドルの2万5,031ドルまで下げたものの、終値では▲17ドルの2万5,383ドルと切り返しました。
NYダウが戻りを続ければ、日経平均株価もいったんは2万2,000円台回復となりそうですが、すでに28日までの4日続伸で上げ幅1,500円超えとなっており、割安感がなくなってきています。買いの主体は海外投資家の買い戻し中心で、出来高も伴って上昇してきています。
ここにきて問題なのは新型コロナウイルスの第2次感染拡大懸念です。緊急事態宣言が全面解除されたあとに東京や北九州市では新規の感染者が相次いでおり注意が必要です。
NYダウの上昇に合わせていったん2万2,000円台回復すればスピード調整のあともみ合いへ転じる可能性があります。
需給をみると海外投資家が5月18日~22日の週は、現物ベースで6週間ぶり買い越ししており、先週の25日~29日もその流れが続いているものと予想されます。その流れの中で来週の6月12日(金)はメジャーSQとなりますので、先物に影響を受けやすい相場となるので注意が必要です。
1日(月)は、+33円の2万1,910円で寄り付きましたが、東京都がこの日から「ステップ2」への緩和を進めることで、経済活動再開の期待が強く、時間外の米株先物も切り返したことや、上海株、香港株も上昇したことで、前場は一時+283円の2万2,161円まで上昇しました。
しかし、後場になると利益確定売りに伸び悩み、大引けにかけて2万2,000円台で推移し、終値は+184円の2万2,062円と反発。3カ月ぶりの2万2,000円台となりました。上昇銘柄をみると日経平均の値ガサ株がほとんど高く、値下がり銘柄数がやや多くなっていましたので、需給関係で値ガサ株が買われたということでしょう。その証拠にトピックスは+5Pの1,568Pであり、ここから上値は重くなる可能性があります。
(今週の指標)日経平均株価
日経平均は、これまでNYダウに追随しており、そのままNYダウが戻りを試せば、日経平均も一時2万2,000円を回復する場面はありそうです。しかし、緊急事態宣言の全面解除のあと東京や北九州市などでは新規の感染者が相次いでおり第2次感染への動向をにらむ展開が想定されます。
日経平均は28日までに4日続伸し、上げ幅が計1,500円強になっており、28日時点で日経平均は25日移動平均線を4週連続上回り、乖離(かいり)率は7%と過熱感が出てきています。来週の12日はメジャーSQですので先物主導での荒い動きも出てくることになります。
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(今週の指標)NYダウ平均株価
連休明けの5月26日(火)から経済活動再開やワクチン開発を好感し、この日+529ドル、27日(水)+553ドルと大幅続伸となって2カ月半ぶりに2万5,000ドルを回復しました。その後、週後半は一服しましたが、週末は▲17ドルの2万5,383ドルで終わり週間では3.75%の上昇となりました。
今週は、景気底入れ期待が継続すれば2万6,000ドル台を試すことになりますが、チャートからは2万6,000ドル台からは上値が重くなりそうです。FRB(米連邦準備制度理事会)による大規模な金融支援や米政府の追加刺激策が相場を下支えするものの、米中対立への懸念が残り、コロナ第2次感染拡大懸念もあります。
先週末、米中対立の悪化を意識して、香港問題の対応が心配され先物が下落する場面がありましたが、香港問題は優遇措置廃止だけで済み、当面、米中貿易協定は存続することで買い安心感となっており、戻りが続く可能性もあります。
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(今週の指標)ドル/円
先週は、ドルは107~108円の中で強含み、108円に接近する動きとなりました。日本政府が5月27日に今年度の第2次補正予算案を閣議決定したことや、EU(欧州連合)が復興計画案を提示したことで、ユーロに対する円売りが活発化し、ドル/円は一時107.95円まで買われました。
今週は、ドルの上値はやや重くなりそうです。米国と中国の対立は解消されていませんが、香港問題については特別優遇措置廃止となるものの、米中貿易協定は当面、存続となったことで株価も為替も安定していました。米中対立が長期化した場合は、安全資産としてのドルの需要は高まることになります。また、米国の雇用情勢は悪化しており、景気回復への期待は後退しつつありますので、雇用統計で失業率が悪化すればドル買いは後退することになります。
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先週の結果
先週は、NYダウの大幅続伸に連動し、日経平均は2万2,000円接近へ急騰
先週の予測では、緊急事態宣言の全面解除で2万~2万500円のもみ合いを想定し、NYダウが4月29日の2万4,764ドルを超えれば、日経平均も2万1,000円突破もあるとしました。特に目先のNYダウは、ザラ場で2万4,764ドル、5月21日の2万4,718ドルとダブル天井になっているため、下を試すと短期的な調整もあるとしました。
しかし、逆にダブル天井の形を上に抜け、上放れとなって、2万5,758ドルまで上昇。日経平均は、昼間は時間外でのNYダウ先物の大幅高に連動して大きく上昇が続き、週末は米中対立懸念も無視し、2万2,000円に接近する2万1,955円まで上昇する予想外の大幅上昇となりました。
25日(月):この日からの緊急事態宣言の全面解除方針を受け、+265円の2万653円で寄り付き、2020年度第2次補正予算案の規模が100兆円超えの報道を受け、終値は+353円の2万741円と高値引けとなりました。
26日(火):前日の米国が休場だったものの時間外の米株先物の上昇を支えに+186円の2万927円で寄り付くと上げ幅を拡大。後場になると上海市場の上昇もあり、前日の緊急事態宣言の解除を受けて、経済活動再開への期待が高まり、+586円の2万1,328円まで上昇し、+529円の2万1,271円と大幅続伸となりました。全33業種全てが上昇という状況でした。
27日(水):前日の米国市場はNYダウが+529ドルの2万4,995ドルを受けたものの、日経平均は2日連続で大幅上昇していることで前場は利益確定売りに押され、▲4円の2万1,266円と小反落。後場になると時間外の米株先物の上昇を支えにプラスに転じて、一時+204円の2万1,475円まで上昇し、終値は+148円の2万1,419円と3日続伸しました。
28日(木):前日の米国市場では、NYダウが+553ドルと2日連続の大幅続伸となったことで、日経平均も連動し+193円の2万1,612円で寄り付き、為替がやや円安方向にあったことも支えとなり、また、先物に断続的な買いが入って上げ幅を拡大し、後場の大引け間際には+507円の2万1,926円まで上昇し、終値は+497円の2万1,916円と大幅に4日続伸となりました。 市場ボリュームも増加し売買代金は2カ月ぶりに3兆3,000億円を超えました。海外投資家のカラ売りの買い戻しが続いていると伝えられていました。
29日(金):前日の米国市場では、米中関係悪化懸念が強まり、NYダウは▲147ドルの2万5,400ドルと反落したことで、日経平均も▲108円の2万1,807円で寄り付き、一時▲205円の2万1,710円まで下落しました。しかし、後場になると上げに転じ先物に断続的な買いが入り、一時+39円の2万1,955円と2万2,000円に接近する動きとなりました。大引けにかけては弱含み▲38円の2万1,877円と5日ぶりの反落となりました。
29日(金)の米国市場は、NYダウは一時▲368ドルの2万5,031ドルまで下落しましたが、終値は▲17ドルの2万5,383ドルと小幅続落で引け、ナスダックは+120Pの9,489P、S&Pは+14Pの3,044Pと反発しました。香港を巡る米中対立懸念は、トランプ大統領が香港への優遇措置の見直しを発表したものの、追加関税などの対中制裁には言及しなかったことで安心感につながり、株価は維持されました。
(出島 昇)
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