生命保険の小ワザ・生命保険料控除の活用で利回りを上げる方法
トウシル / 2020年6月19日 13時13分
生命保険の小ワザ・生命保険料控除の活用で利回りを上げる方法
多くの方が加入している生命保険。生命保険料控除の仕組みをうまく使えば利回りをアップさせて運用できる小ワザがあります。
生命保険料控除とは?
皆さんは、生命保険に加入されていますか? 会社勤めの方であれば、年末調整の際、保険料控除証明書をもとに生命保険料控除申告書を会社に提出し、生命保険料控除を受けている方もいると思います。
この生命保険料控除、生命保険の保険料の一部を所得から控除してくれるという制度です。所得を減らす効果があるので、結果として所得税や住民税を安くすることができます。
生命保険料は「生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つに分類され、それぞれ以下の表の計算式に当てはめて所得控除の額を計算します。
年間の支払保険料等 | 控除額 | ||||
---|---|---|---|---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 | ||||
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 | ||||
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 | ||||
80,000円超 | 一律40,000円 | ||||
出所:国税庁ホームページ |
旧契約(平成23年までに契約したもの)は上記とは控除額が異なり、また新契約と旧契約の両方あるときは計算方法が異なるなど、仕組みは複雑なので、詳しくは国税庁ホームページなどをご覧ください。
上記は所得税の場合ですが、住民税も生命保険料控除があります。住民税の方が控除額が小さくなっています。
支払った保険料の合計額 | 生命保険料控除額 | ||||
---|---|---|---|---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 | ||||
12,001円から32,000円まで | (支払保険料等×1/2)+6,000円 | ||||
32,001円から56,000円まで | (支払保険料等×1/4)+14,000円 | ||||
56,001円以上 | 一律28,000円 | ||||
出所:葛飾区ホームページ |
生命保険料控除を活用して利回りアップが可能に
もし、現時点で何も生命保険に入っていないとした場合、貯蓄型保険や個人年金に年間80,000円加入したら、どれだけの節税効果があるか計算してみましょう(復興特別所得税は無視します)。
(その1)所得税の税率が10%の人の場合
所得税:40,000円×10%=4,000円
住民税:28,000円×10%=2,800円
計6,800円×2=13,600円(貯蓄型保険と個人年金それぞれ加入)
(その2)所得税の税率が33%の人の場合
所得税:40,000円×33%=13,200円
住民税:28,000円×10%=2,800円
計16,000円×2=32,000円(貯蓄型保険と個人年金それぞれ加入)
その1の場合、貯蓄型保険80,000円、個人年金80,000円の計160,000円の保険料に対して、所得税率10%なら13,600円の節税効果に。その2の所得税率33%の場合は32,000円の節税効果です。
その2の場合、1年目の節税額を見れば払い込んだその年の保険金額の20%に相当します。ただし、保険の残存期間には注意が必要です。仮に保険期間が20年あって、その時に払込金額とほぼ同額が戻ってくるとした場合、節税額の「利回り」は1%程度に下がってしまいます。
生命保険なら何でも、いくら保険料を支払ってもよいというわけではない
なお、生命保険料控除の金額は、年間保険料80,000円で頭打ちになります。そのため、貯蓄型保険や個人年金の保険料の金額がそれぞれ年間80,000円より多くなればなるほど、生命保険料控除による利回りアップの効果は薄れていってしまいます。
また、すでに生命保険料や個人年金保険料を支払っていて、限度額いっぱいまで生命保険料控除を受けている方も、その状態で新たに貯蓄型保険や個人年金に加入しても追加的な効果は得られませんのでお気をつけください。
そして、この効果を享受できるのは、貯蓄型保険や個人年金など、支払った保険料が最終的に手元に戻ってくるようなものに限られます。掛け捨ての生命保険や、医療保険など貯蓄性のないものには資産運用としての効果が期待できませんから注意してください。
貯蓄型保険や個人年金は不利とはいうけれど…
ファイナンシャルプランナーなど専門家の方が書いた記事を読むと、貯蓄型保険や個人年金は、利回りが低いので不利だと指摘する方が多いようです。実際、貯蓄型保険や個人年金の利回りは昨今の超低金利の影響により極めて低いものとなっています。
専門家は、掛け金が全額所得控除になるiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの活用を勧めています。
確かにそれはその通りで、資産運用という観点から総合的にみたら、貯蓄型保険や個人年金よりiDeCoの方がよいでしょう。
でも上で説明した小ワザを使えば、少額の保険料であれば貯蓄型保険や個人年金でも実質的に利回りをアップさせることができるのです。
効果はそれほど大きなものではありませんが、ウィズコロナ、アフターコロナで世の中がどのようになるか分かりません。税制度のみならず、例えばポイ活やクレジットカードでのマイル獲得など、さまざまな制度や仕組みを上手に使ってコツコツ成果を積み上げていけば、トータルでみれば馬鹿にできないインパクトになるはずです。
(足立 武志)
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