リベンジ消費、米国で盛り上がる。感染再拡大の不安を乗り越え、日経平均は堅調
トウシル / 2020年6月22日 7時29分
![リベンジ消費、米国で盛り上がる。感染再拡大の不安を乗り越え、日経平均は堅調](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_27411_0-small.jpg)
リベンジ消費、米国で盛り上がる。感染再拡大の不安を乗り越え、日経平均は堅調
日経平均急反発、日銀の金融政策決定会合が
先週の日経平均株価は、1週間で173円上昇し、2万2,478円となりました。週初に急落した後、急反発する展開でした。
日経平均日足:2020年2月3日~6月19日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/6/-/img_762bcaac34fc82dc61363b6b061e02c853024.jpg)
先週の月曜日、6月15日(月)の日経平均は、774円安の2万1,530円となりました。経済再開後の米国で新型コロナの感染が再拡大してきた不安から、NYダウが急落(11日に1,861ドル安)し、つれて日経平均も急落しました。
ところが、6月16日(火)の日経平均は、1,051円高の2万2,582円と急反発しました。急反発の要因は、2つあります。
【1】11日に急落したNYダウが、12・15・16日と三連騰したこと。
米国株にも日本株にも、上昇局面で買い遅れていた投資家の買いが広がりました。感染再拡大があっても、もうロックダウン(都市封鎖)はなく、ウィズ・コロナで経済再開を進めるしかないとの割り切りがあります。ウィズ・コロナの経済回復を見込む投資家の押し目買い意欲の強さがわかりました。
【2】日銀が、年12兆円のペースでのETF買い付けを維持すると発表
6月16日の昼、日銀金融政策決定会合の結果が発表されました。日本株ETF(上場投資信託)の買い付けを含め、これまでの金融政策を維持すると発表がありました。
日銀は、これまで年6兆円のペースで日本株ETFを買い付けてきましたが、日経平均の急落を受けて、3月16日の金融政策決定会合で、「当面、年12兆円をめどに積極的にETFを買い付ける」と方針を変更しました。この金融政策を受けて、日銀は、3月に1兆5,484億円、4月に1兆2,272億円の日本株ETFを買い付けています。日本最大の巨額の買い主体となりました。
ところが、日経平均が2万円を超えてからは、買い付けピッチが低下しています。5月の買い付けは4,436億円だけで、6月は15日までで2,134億円に留まります。そこで、「日銀はETFの買い付けピッチを年6兆円に変更するのではないか」と思惑が出ました。そこで注目されていた6月16日の日銀金融政策決定会合ですが、年12兆円メドの買い付け方針は維持すると発表されました。日銀による巨額の買い付けがこれからも続くことがわかり、日本株に買い戻しが増えました。
アイランド・リバーサル出現のNYダウもいったん持ち直す
NYダウ日足:2020年2月3日~6月19日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/d/-/img_5d0d9069b279803a2b9ceb8d5696815041162.jpg)
NYダウは、6月11日の急落で、*アイランド・リバーサルという弱気シグナルが出て、警戒感が高まりましたが、先週は、いったん持ち直した形です。
【注】アイランド・リバーサル
株価が、窓あけして急騰、高値でもみあった後、窓あけして急落、急騰前の水準に戻ることでできあがる形。高値でもみあった部分が、「離れ小島」のように見えることから、「アイランド(島)リバーサル(反転)」と呼ばれる。この形が出ると、上昇相場がいったん終了することが多いので、短期的な弱気シグナルとして意識されることがあります。
16日発表の5月の米小売売上高が前月比17.7%増。ポジティブ・サプライズ
米商務省が16日に発表した5月の米小売売上高がポジティブ・サプライズ(良くて驚き)でした。前月比17.7%増で、統計を開始した1992年以来、最大の増加率でした。これを受け、アイランド・リバーサルの弱気シグナルが出ていたNYダウは持ち直しました。
米小売売上高は、前年同月比ではまだ▲6.1%のマイナスですが、それでも前月比で、事前の市場予想(7%程度)を大幅に上回る伸びを実現しました。
米小売売上高(前月比):2019年1月~20年5月
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経済を再開しつつある米国で、リベンジ消費といわれる盛り上がりが起こっています。コロナに押さえつけられた消費を取り戻すリベンジ(報復)のよう、という意味で、リベンジ消費と言われます。
同じようなリベンジ消費が盛り上がったのが、過去の例でいうと、2001年の米クリスマス商戦でした。
2001年、米国は「ITバブル崩壊不況」と言われる不況に見舞われていました。その年9月11日、「同時多発テロ」が起こりました。ITバブル崩壊にテロが追い打ちをかけ、米景気は一段と落ち込むとの見通しが広がりました。ところが、現実は逆でした。2001年のクリスマス商戦は、「テロに負けるな」が合言葉となり、異常に盛り上がりました。テロがあったからこそ、テロに負けないという意思を伴う「リベンジ消費」が盛り上がり、それで米景気は不況から立ち直りました。
今、「コロナに負けない」リベンジ消費が出つつあります。今回、感染の二次拡大にどこまで抵抗できるか、しばらく目が離せません。
短期的な下落リスクに注意しつつ日本株の組み入れを少しずつ引き上げていく局面
結論は毎回述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に買い場との判断を維持します。
ただ、短期的には急落急騰を繰り返すと思います。時間分散しながら、割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。
▼著者おすすめのバックナンバー
2020年6月15日:要注意サイン「アイランド・リバーサル」がNYダウに出現!日経平均も目先、スピード調整か
2020年6月16日:大荒れの日経平均。「次の一手」は?
(窪田 真之)
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