米中対立懸念は日経平均にどこまで影響?今週はNASDAQの動きが焦点に
トウシル / 2020年7月27日 12時31分
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米中対立懸念は日経平均にどこまで影響?今週はNASDAQの動きが焦点に
今週の日経平均は海外株市場の影響に注意
連休のため3営業日だった先週の国内株市場ですが、週末7月22日(水)の日経平均株価終値は2万2,751円でした。週足ベースでは2週連続の上昇となっていますが、前週末終値(2万2,696円)からの上げ幅は55円高と小幅にとどまっています。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年7月22日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/1/-/img_a14a7c7bd4dbb481dcb70c7985974000194137.png)
まずは、先週の日経平均の振り返りです。
冒頭でも触れた通り、先週は連休を控えて積極的に動きづらい状況でした。そんな中でも、21日(火)の取引では2万2,925円の高値をつけて、一応2万3,000円台をうかがう場面が見られた他、これまでにも紹介してきた「ペナントボックス」も維持されています。何だかんだでジリジリと株価水準を切り上げてきているため、全体としては上方向への意識が保たれる展開でした。
このまま順調に行けば、6月9~10日の高値を結んだいわゆる「上値のブレイクライン」超えもトライできる格好なのですが、今週の相場に対する影響度としては、こうした3日間の値動きよりも、連休期間中の海外株市場の動向の方が大きくなります。
残念ながら、日本がお休み中だった24日(金)のシカゴ日経平均先物取引が2万2,355円と下落して終えています。そのため、ペナントボックスの下放れや、22日(水)時点における日経平均の25日移動平均線(2万2,508円)水準の維持が警戒される中で今週の取引を迎えることになりそうです。
連休中の米国株市場と中国株市場も軟調
また、連休期間中の米国株市場や中国株市場も軟調に推移していました。
■(図2)米NYダウ(日足)の動き(2020年7月24日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/e/-/img_ce7183d1c3c8c03e5630413f18aca599202298.png)
先週の米NYダウ平均株価は、ワクチン開発や追加の経済政策などへの期待、企業決算動向などを背景に前半は堅調に推移していましたが、後半からは米中対立への懸念で失速する展開でした。
一応、株価は25日と200日移動平均線の上をキープしており、今のところ相場が崩れる気配は見せていませんが、2月12日高値と6月8日高値を結んだ上値ラインを抜け切れず、上値の重たさが感じられる状況となっています。
気掛かりなのは、週末にかけて相場の足を引っ張る材料となった米中関係です。米中両国で一部の領事館が閉鎖される事態となっていますが、最近の米中対立は政治的な色彩が濃くなっています。米国の中国に対する攻撃対象は、香港国家安全維持法成立による「一国二制度」のゆらぎから、南シナ海の海洋進出、ウイグル自治区の人権問題、国内外でのスパイ行為疑惑などが挙げられます。
もちろん、こうした対立の裏には11月の米大統領選挙を控えた思惑がありそうです。政治と経済を切り離す考えが前提ならば、ここから先の経済的制裁は限定的にとどまる可能性が高いとみることができます。
ただし、対立の根底には、お互いに譲れない、もしくは引き下がれない部分が存在しています。両国の対立が政治的な駆け引きの段階にとどまっているのであれば、さほど心配する必要はなく、株価の下落材料として限定的になると思われますが、「振り上げた拳を下せない」ところまで発展してしまうとかなり危険になります。足元で語気を強めている米国の本気度がまだよく分からないため、しばらくは何かにつけて相場の重しになりそうです。
こうした状況を受けて、中国上海株市場も24日(金)の取引で大きく下落しています。
■(図3)上海総合指数(日足)の動き(2020年7月24日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/5/-/img_c5394945a721e0eb9ae1a99a15abc805196913.png)
上海総合指数は7月に入ってから加速度的に上昇してきましたが、ひとまず25日移動平均線のところで様子見といった印象です。
25日移動平均線まで下落したNASDAQ、決算を経て上昇できるか
また、25日移動平均線といえば、今週は米NASDAQの動きが注目されます。
■(図4)米NASDAQ(日足)の動き(2020年7月24日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/b/-/img_9b79797f1354ebdef01207572ab47151131905.png)
米NASDAQも先週21日(火)に市場最高値を更新して以降、軟調となって25日移動平均線のところまで下落しています。5月からのNASDAQは25日移動平均線がサポートとして機能しており、今回も同様の展開となるかが今週の注目点のひとつです。
また、トレンドラインで見てみると、NASDAQの上昇基調は3月下旬から4月にかけてのライン(1)と、その後のライン(2)に分けられますが、先週末時点でライン(2)を下抜けしつつある状況です。ちょうどこの株価水準は、6月23日の戻り高値や、直近高値である7月13日、21日の押し目でもあり、いわゆる「ダブル・トップ」のネックラインとして意識されるところでもあります。
今週は、NASDAQに上場しているフェイスブックやアマゾン、アルファベット(グーグル)のいわゆる「FANG」銘柄をはじめ、アップルなどの決算が予定されていますが、決算を経てNASDAQが上昇できるかが注目されます。逆に下落してしまうと、ダブル・トップの形成によって、ムードの悪化が強まってしまう可能性があります。
今週は国内でも多くの企業で決算発表が相次ぎますし、この他にもFOMC(米連邦公開市場委員会)の金融政策会合に、米4-6月期GDP速報値、中国7月PMI(購買担当者景気指数)といった経済指標もあるため、かなりイベントが盛りだくさんです。コロナウイルスをめぐる情勢も含めて相場を取り巻く環境は不透明ですが、業績を手掛かりとした個別物色が資金の行き場となって、相場が保たれるかどうかが問われる週となりそうです。
(土信田 雅之)
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