「TikTok問題」で波紋広がる!日本株の強材料と弱材料をプロが分析!
トウシル / 2020年8月11日 7時46分
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「TikTok問題」で波紋広がる!日本株の強材料と弱材料をプロが分析!
膠着が続く日経平均、強弱材料が拮抗
先週の日経平均株価は、1週間で619円上昇し、2万2,329円となりました。先々週、円高(ドル/円が一時1ドル=104円台)を嫌気して急落した日経平均は、先週、ドル/円が1ドル105~106円台に戻ると、すかさず買い戻されました。
日経平均日足:2020年2月3日~8月7日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/1/-/img_91a32150cb52c2c93951346af2e8e38951398.jpg)
6月以降、日経平均には膠着感が出つつあります。以下の通り、強弱材料がきっこうしているためです。
強材料
【1】世界景気回復期待
中国・米国・欧州・日本で経済再開を進めることで、世界景気が回復に向かう期待が出ている。4-6月が世界景気の最悪期で、7-9月から回復に向かう見込み。
【2】世界中で財政・金融政策の大判ぶるまい
米国を中心に世界中の政府・中央銀行が、巨額の財政・金融政策の大判ぶるまい。日本銀行は、当面年間12兆円のペースで日本株ETF(上場投資信託)を買い付ける方針を維持。
【3】ワクチン開発
米国・英国・中国で予防ワクチンの開発が、想定よりも早いピッチで進展。日本は、塩野義製薬・アンジェスなどが開発を進めているものの、ワクチン開発では大幅に出遅れている。ただし、米英から供給を受けることで基本合意。米ファイザーから来年6月までに1億2,000万回分(6,000万人分:1人2回の接種が必要となる見込み)、英アストラゼネカからも来年1億2,000万回分(1人1回か2回か未定)、2回ならば6,000万人分)の供給を受けることで基本合意。
弱材料
【1】感染再拡大
経済再開を進める米国・欧州・日本で感染が再び拡大。感染爆発を避けるために、経済活動が一部制約され、結果として経済回復が遅れるリスクも出ている。インド・ブラジル・トルコなどの新興国で、感染が急拡大。
【2】米中対立激化
中国は、海洋進出強化、インドとの国境問題でも積極策。周辺国と摩擦が強まっている。さら に、香港の締め付け強化。
これに対し、米トランプ大統領は対中国強硬姿勢を一段と強めている。8月6日には、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する企業(バイトダンスとテンセント)との取引を45日後から禁止する大統領令に署名。米アップルや米グーグルが両社と取引できなくなれば、事実上、米国から両社のアプリが締め出されることになる。これまでトランプ大統領は、中国通信大手ファーウェイなど通信機器メーカーを米市場から排除してきたが、さらに、通信アプリまで排除を広げる構え。こうして米中による世界経済分断が強まると、コロナが収束しても、世界経済の分断が続く懸念が強まる。
【3】債務問題
世界中で過去に例のない大規模金融緩和をやっている副作用として、債務残高が急拡大している。財務悪化した企業の延命が続き、潜在的なクレジットリスクが高まっている。
米雇用、回復続くも、回復力弱い
8月7日に発表された7月の雇用統計では、非農業者部門の雇用者が6月比、176万3,000人増加しました。失業率は、前月比1.1ポイント低下して10.2%となりました。経済再開にともなって、回復が続いているものの、回復ピッチは鈍くなっています。
米雇用統計・非農業部門雇用者数(前月比):2019年1月~2020年7月
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米完全失業率:2014年1月~2020年7月
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/c/-/img_cce60ec274ef78384812248652db132742163.jpg)
非農業部門の雇用者数は、4月に前月比で過去最大の2,078.7万人減少しました。5-7月は増加に転じていますが、3か月合計の増加数は927.9万人で、まだ失った雇用の半分も取り戻していません。しかも回復ピッチは鈍っています。6月の増加479.1万人に対して、7月の増加は176.3万人でした。
3月に発動したコロナ対策の雇用維持策が期限切れとなり、今後、失業がまた増加に転じないか、警戒が高まっています。7月末には、失業給付を週600ドル加算してきた特例措置が失効しました。延長法案を米議会で審議してきましたが、与野党で合意が得られず、7月末までに成立させることができませんでした。トランプ大統領はこれに対し8月8日、失業給付を週400ドル加算する内容などを含む財政出動を大統領令で発動しました。ただし、この大統領令が、議会の予算編成権に対して越権との見方もあり、すんなり給付が進むか予断を許しません。
日本株の投資判断
結論は毎回述べていることと、変わりません。日本株は割安で、長期的に買い場との判断を維持します。ただ、短期的には急落急騰を繰り返すと思います。時間分散しながら、割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。
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