トヨタ・ホンダの底力を評価:自動車株への投資を再開して良いと判断。最悪期は過ぎたか

トウシル / 2020年8月12日 7時56分

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トヨタ・ホンダの底力を評価:自動車株への投資を再開して良いと判断。最悪期は過ぎたか

自動車9社、2020年4-6月期の決算出そろう

 11日の東京市場で、トヨタ自動車が4.0%高の7,150円、本田技研が6.4%高の2,710.5円となるなど、自動車株が軒並み大きく上昇しました。

 世界中の自動車メーカーが軒並み大きな赤字を計上した2020年4-6月決算が出そろったところですが、「最悪期を過ぎた」との見方から、自動車株を買い戻す動きが出ました。

 4-6月はコロナショックで、世界の自動車販売が前年比3割以上落ち込んだ、自動車産業にとって「魔の3カ月」でした。世界中の自動車メーカーが巨額の赤字を計上。「赤字で当たり前」という4-6月で、黒字を計上したトヨタの底力が光ります。

 以下、日本の自動車9社の第1四半期(4-6月期)純利益と、通期(2021年3月期)純利益予想をご覧ください。

自動車9社の連結純利益:2020年4-6月期実績と、2021年3月期会社予想

【金額単位:億円】

コード 銘柄名 4-6月
純利益
2021年3月期
純利益
※会社予想
7203 トヨタ自動車 1,588 7,300
7267 本田技研工業 ▲ 808 1,650
7201 日産自動車 ▲ 2,855 ▲6,700
7269 スズキ 17 非開示
7261 マツダ ▲ 666 ▲900
7270 SUBARU ▲ 77 600
7211 三菱自動車工業 ▲ 1,761 ▲3,600
7202 いすゞ自動車 ▲ 97 120
7205 日野自動車 ▲ 80 営業利益※会社予想
20
出所:各社決算短信。日野自動車は、通期の純利益予想非開示。営業利益予想のみ開示

トヨタは4-6月で黒字を維持、ホンダも通期黒字へ

【1】トヨタ(7203)の底力を高く評価
 4-6月の実績で特筆に値するのは、連結販売台数が5割も落ち込む中で、トヨタ自動車が1,588億円の黒字を計上したことです。前年同期比▲74%減益ですが、それでも黒字を確保した底力は高く評価できます。

 世界中の自動車メーカーが巨額の赤字を計上し、赤字で当たり前の環境で黒字を計上できた要因は、主に2つあります。原価改善・コストカットで850億円(営業利益ベース)、中国事業で同297億円の損益改善があったことなどが貢献しました。早くに販売が回復した中国でシェアを伸ばした効果が出ました。

 自動車セクターのコア銘柄として、投資価値は高いと判断しています。4-6月期が底で、7月以降、業績が回復していくと考えられることから、今、積極的に投資していくべきタイミングと判断しています。

【2】本田技研(7267)も、高く評価
 本田技研(以下、ホンダと表記)は、2020年4-6月の最終損益は、▲808億円の赤字でした。二輪(オートバイ)は販売台数が前年同期比で62%落ち込みましたが、それでも112億円の営業黒字を確保しました。

 ところが、販売台数が▲40%落ち込んだ四輪で▲1,958億円の営業赤字を計上したことが響きました。金融サービス事業では715億円の営業利益を稼いきましたが、カバーできませんでした。

 ホンダは、二輪(オートバイ)で高い収益力を持ちます。二輪は、アジアで業務用にあらゆる分野で使われますが、ホンダの二輪は、アジアで圧倒的な競争力を持ちます。近年は、四輪よりも二輪の方が稼ぐ利益が大きくなっていました。

 ホンダは、トヨタとともに、通期(2021年3月期)で、最終黒字の予想を出しています。年後半に、販売がゆるやかに回復していく前提としていますが、ホンダの通期で1,650億円の黒字見通しを出せる収益力は、高く評価できます。トヨタとともに、自動車株のコアとして投資していきたい銘柄です。

【3】スズキ(7269)は4-6月黒字も、通期に不安
 スズキも、17億円の最終黒字を計上しました。スズキは、自動車販売の成長率が高いインドでシェア5割強のトップシェアを長年にわたり維持してきた強みがあります。

 4-6月は、その強みを生かして、なんとか黒字を保ちました。ところが、足元、インドで新型コロナの感染が急拡大しているため、通期の販売には不安があり、それを理由に、通期の業績予想を非開示としました。インドの販売に不透明感があるので、投資は時期尚早と考えています。

【4】トラック2社、いすゞ自動車(7202)と日野自動車(7205)も投資して良いと判断
 トラック2社、いすゞと日野は、4-6月は赤字でしたが、通期で黒字を予想しています。日本のトラックは、二輪と同様、アジアで業務用に幅広く使われます。日本のトラックはアジアで高い競争力を有しており、コロナが収束すれば、安定的に成長が期待できます。したがって、2社とも投資していって良いと判断しています。

●自動車産業は循環的な成長産業?

 自動車産業は、世界全体で見ると、これまでは循環的な成長産業でした。世界の自動車販売台数は、不況期にマイナスになることがありますが、好況期に戻ると、過去最高を更新してきました。

世界の自動車販売台数

出所:国際自動車工業連合会(OICA)より楽天証券作成。2020年は楽天証券予想

 世界の自動車販売は、2008-09年にリーマン・ショックでマイナスとなった後、2010~17年は安定成長が続きました。ところが、2018年は伸び悩み、2019年から減少に転じていました。2020年はコロナショックで、販売が一気に▲17%まで落ち込むと予想しています。

 ただし、自動車販売は循環します。コロナ・ショックで今、買い替え需要が抑えられているため、潜在的な買い替え需要が積み上がってきている可能性もあります。その場合、2021年の世界自動車販売は、前年比で20%以上の増加になることもあり得ます。

 世界販売がいつ回復に向かうか、予測するのは困難です。ただし、一つだけ言えることは、世界販売は、循環するということです。今4-6月期が最悪期で、以後ゆるやかに回復していくと考えると、自動車株への投資をそろそろ考えた方が良いと考えます。

 最初は、トヨタ・ホンダなど、競争力・収益力の高い銘柄から、投資を始めたら良いと考えています。

 日本は、自動車王国です。自動車産業で、ドイツと並び、圧倒的な強さを誇ります。自動車だけが強いわけではありません。自動車製造用ロボット・自動車部品・素材などの関連産業でも、日本は世界をリードしています。

 もし、自動車産業が最悪期を脱し、自動車株が買えるようになるならば、日本株全体への外国人投資家の投資姿勢も、ポジティブに変化する可能性があります。そうなると、日経平均の上値余地も広がると判断しています。

中国政府がハイブリッド車をエコカーとして優遇する方針を固める、トヨタに追い風

 中国の自動車行政を担当する工業情報化部は、「環境車規制」で、ハイブリッド車を「低燃費車」として優遇する方針を固めました。

 これまで中国は、EV(電気自動車)・燃料電池車を低燃費車として優遇してきましたが、ハイブリッド車には優遇がありませんでした。ハイブリッド車を飛ばして、EV中心の車社会を作っていく意思を示していました。

 ところが、現実には、EV普及にはかなりの年月を要すること、深刻な大気汚染に即効性のある対策が必要なことから、改めてハイブリッド車も優遇する方針です

 ハイブリッド車技術ではトヨタの独壇場です。巨大な中国市場で、ハイブリッド車普及が加速すれば、トヨタの受けるメリットはきわめて大きくなります。

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(窪田 真之)

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