株式投資で1億円たまったらどうする?「億り人」の投資手法
トウシル / 2020年8月27日 5時0分
株式投資で1億円たまったらどうする?「億り人」の投資手法
前回、「株式投資で1億円!「億り人」になれる人・なれない人」では、億り人を目指す方法を紹介しました。
今回は、億り人になったあとに、どうすればいいか。筆者の独断と偏見も交えてお伝えします。
今回はあくまでも筆者や筆者の周りの個人投資家仲間の例である、という前提で、億り人になるまでと、億り人になった後の投資手法や考え方の違いについて述べていこうと思います。
億り人の中にはこれとは異なる考え方、手法を取られている方も多い点は、あらかじめご了承ください。
億り人になった後は無理をしない
株式投資で一財産作った個人投資家に話を聞くと、大部分の方が一度は勝負をかけてある程度まとまった財産を短期間で形成しています。筆者もここぞというときは、投資可能資金の大部分を株式への投資に回したり、時には信用取引を用いてレバレッジをかけたこともあります。
しかしそれは、株式投資でひと財産築くためにリスクを取って行っていることであり、当然失敗すれば、大きな痛手を被ることになります。
したがって、リスクを取って財産を築いたあとは、それまでのような無理をした勝負をかけることは避けるようになります。
筆者の場合、最大でも投資可能資金の80%までの投資にとどめるとか、レバレッジをかけて投資可能資金を超えた投資はしない、ということを心掛けています。
せっかく大きな財産を築いたなら、その後さらに勝負に出て失敗して財産をみすみす減らすことはしたくありません。もちろん投資なので常にリスクはあるわけですが、必要以上にリスクを取ることはしません。
まずは失敗しても大きな損失を被らないようにする、その上でそこそこのリターンを目指していく、というような保守的な運用になっていきます。
キャピタルゲインからインカムゲインへのシフト
先日のコラムでは、億り人を目指すためにはインカムゲインではなくキャピタルゲインを重視すべきであると書きました。
でも、億り人になり、財産が大きくなってくると、徐々にインカムゲインへシフトすることになります。
インカムゲインを求め、株式投資から徐々に不動産投資へ移行する方も少なくありません。
キャピタルゲインとインカムゲインを比較すると、キャピタルゲインを狙った方が、成功した場合、非常に大きな利益を得られる一方、失敗したときの損失も大きくなります。
インカムゲインであれば、そこまで極端なブレはなくなり、安定的な収入を得ることができます。
数%のインカムゲインでは、資産を大きくするためには不足しますが、すでに大きくなった資産を運用するのであれば、それで十分だったりします。
例えば3億円の資金があり、これを配当利回り3%で回せば、税金を差し引いた手取りがおよそ717万円です。配当金で毎年これだけもらえれば十分、というのであれば、無理にキャピタルゲイン狙いでリスクを取りに行く必要もなくなるのです。
中小型株から大型株へのシフト
個人投資家が限られた資金を使い、できるだけ短い期間でできるだけ資産を大きく増やそうとするときは、大型株ではなく中小型株のほうが向いています。同じ期間を取った場合、中小型株の上昇率は大型株の上昇率をはるかに上回ることが多いからです。
それは、逆に考えれば、株価が値下がりするときの下落率も、中小型株の方が大型株より大きくなることも表しています。
つまり、中小型株への投資の方が大型株よりもハイリスク・ハイリターンになるということです。
もしすでに大きな資金があるならば、中小型株へ投資して大きな失敗を冒すリスクをわざわざとらなくても、値動きがゆるやかな大型株への投資で十分、という考え方になってきます。
中小型株への投資は年率15%のリターンが狙えるが大きな損失を被るリスクも高い、大型株への投資であれば年率5%程度のリターンしか狙えないが大きな損失も被りにくい・・・それならば、5%程度のリターンでも十分、とするのが資産を多く保有している投資家の考えです。
ファンダメンタルズ重視になる
資金が大きくなってくると、株式投資での1銘柄あたりの投資金額も大きくなり、自分自身の売買が株価に影響を与えるケースもあります。流動性があまり高くない銘柄であれば、自分が保有している銘柄を一度に売却しようとすると、大きく値が崩れてしまう可能性も生じます。
投資資金が少ない時のように、自分の持ち株を一度に売ることや、逆に欲しい数量をまとめて一度に買うことができなくなってくるのです。
そこで、ファンダメンタルズ分析を重視し、かつ長期投資を志向するようになります。大量の資金を扱うため、一度に買えず、一度に売れない投資信託のファンドマネージャーをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
彼らは、投資する銘柄を決めたら何日もかけて買いますし、売るときも一時ではなく少しずつ何日もかけて売っていきます。一度に売買しようとしてもストップ高やストップ安になったりして、事実上できないからです。
投資資金がそれほど多くない個人投資家であれば、とりあえず買ってみてダメならすぐ売ればいいや、という対応ができますが、それができなくなってくるのです。
そのため、今までより慎重に銘柄分析をして、上昇の可能性がより高く、下落の可能性がより低い銘柄を吟味して投資する必要性が高まってくるのです。
投資資金が大きくなると、プロと同じようなファンダメンタルズ重視の投資手法になっていく人が多いのも1つの特徴です。
冒頭でも申し上げましたが、上記は筆者としての考え方であって、億り人になった後も積極果敢に投資に取り組み、10億円、100億円を目指すような方もたくさんいます。投資手法をいつまでも変えずに攻め続けるような方もいます。
1億円を1つのゴールにするのか、さらに上を目指すのかによっても異なってきますが、自分自身の株式投資での目標金額を達成したならば、その後は無理をした勝負を避け、保守的な運用に徐々にシフトしていく方が多いのではないかと感じます。
(足立 武志)
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