好配当利回りの参考銘柄 日本たばこ産業など
トウシル / 2015年2月26日 0時0分
好配当利回りの参考銘柄 日本たばこ産業など
今日は、好配当利回りの投資参考銘柄について書きます。
(1)配当落ち直前の投資は必ずしもいいタイミングとはいえない
好配当利回りで有名な銘柄は、配当金を受け取る権利がなくなる日(権利落ち日)が近づくにつれて「配当取り」の買いで株価が上昇する傾向があります。そういう銘柄は、配当落ち日に株価が大きく下がることがありますので、要注意です。受け取る配当金よりも株価の下げの方が大きくなる場合が多く、そうなると、配当落ち直前での買いは失敗だったことになります。
昨日(25日)は、2月決算のローソン(2651)の権利落ち日でした。その前後の値動きを見てみましょう。
ローソン(2651)日足:2015年1月5日~2月25日
(楽天証券経済研究所が作成)
24日(火)終値8,090円でローソン(2651)株を買った人は2月末の配当金(会社予定で1株当たり120円)を受け取る権利を得ました。ところが、翌日、権利落ちの25日(水)に、ローソン株は、前日比190円安の7,900円となりました。120円の配当金を受け取る権利を獲得したものの、株価が190円下がったので、マイナスの方が大きく、買いタイミングは良くなかったことになります。
一方、26日終値7,900円でローソン株を買った人は、配当金120円は得られませんが、25日終値で買って配当金を得た人よりも、安く買えたことになります。
ローソン(2651)は、配当利回り3.03%の好配当利回り株です。2月末が近づくにつれて配当取り狙いと考えられる買いが増えて株価は上昇していました。反動で、2月後半および、権利落ち日に株価は下落しました。
後から振り返ると、2月の配当を取ろうとして、2月12日以降にローソン株を買った人は、配当落ち日の下げでマイナスリターンとなりました。配当の権利を得て、配当落ち後の2月25日にもプラスのリターンになるためには、2月10日以前に買わなければならなかったことになります。
ローソンのケースは、1つの例にしか過ぎませんが、1つ覚えていてほしいのは以下です。
好配当利回りで有名な株を、配当落ち直前で買うのは、得策ではない。
配当落ちの1~2ヶ月前が投資タイミングとして良い場合が多い。
(2)好配当利回りの参考銘柄
昨日のレポートで掲げた「好配当利回りの参考銘柄」を再度掲載します。
コード | 銘柄名 | 決算期 | 株価:円 | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
2914 | 日本たばこ産業 | 12月 | 3,724.0 | 2.9% |
4568 | 第一三共 | 3月 | 1,870.5 | 3.2% |
7203 | トヨタ自動車 | 3月 | 8,127.0 | 2.5% |
7262 | ダイハツ工業 | 3月 | 1,734.0 | 3.2% |
8316 | 三井住友FG | 3月 | 4,615.5 | 2.8% |
8411 | みずほFG | 3月 | 218.9 | 3.2% |
(注:株価・配当利回りは2月25日時点、楽天証券経済研究所が作成)
「好配当利回り株」は、言い方を変えると「人気があまり高くない株」です。なぜでしょう?人気株は、どんどん買われて株価が上昇するので、配当利回りは低くなります。一方、株価があまり大きく上がらない株は、配当利回りが高いままとなります。
人気がない理由をきちんと理解した上で、投資することが必要です。三井住友銀行(8316)やみずほFD(8411)などの大手銀行株の投資魅力については、2月24日の「3分でわかる!今日の投資戦略:大手銀行株に引き続き強気」に書きましたので、参照してください。今日は、日本たばこ産業(2914)(JT)について説明します。
(3)日本たばこ産業(2914)(JT)は好配当利回り株として魅力的と考えます。
JTは、2月25日時点で、配当利回り2.9%です。12月決算に変えたばかりです。3月末に配当は出ませんが、6月末(中間配当)と12月末(期末配当)に、配当を受け取る権利が確定します。好配当利回り株として魅力的と考える理由は、以下の3点です。
- 株主への利益配分に積極的な会社として有名です。
配当金を着実に増やしてきたことに加え、自社株買いにも積極的です。今期は、上限1,000億円の自社株枠を設定しています。 - 海外M&Aで成長してきました。
海外でタバコ事業の大型M&Aを実施して、利益を成長させてきました。財務内容良好の、高収益企業です。 - 事業の構造改革にも手を緩めない
JTは、今期、飲料事業からの撤退を発表しました。JT飲料事業は「桃の天然水」「ルーツ」などのヒット商品を出し、長年にわたって利益を稼いできましたが、直近2期は赤字でした。国内の飲料市場に成長が見込めない中、今後さらなる競争激化が見込まれるため、撤退を決断しました。医薬事業も赤字ですが、こちらは早ければ2016年度に黒字が見込めるところまで来ており、事業を継続します。
日本たばこ産業の部門別利益
(出所:JT2014年12月期決算短信)
(注:JTは3月決算から12月決算に移行したため、実際の決算期は2013年3月期(12ヶ月)、2014年3月期(12ヶ月)、2014年12月期(9ヶ月)である。
上表は、同社が2013年・2014年の12ヶ月の業績として計算し直したものである。調整後営業利益は、為替変動の影響を除いた営業利益のことで、同社が分析のために独自の方法で計算したものである。△は赤字を示す。)
JTは2月5日、国内たばこ事業の競争力強化施策に伴う希望退職を実施し、1,754名が応募したと発表しました。海外たばこ事業で高収益をあげていますが、常に低採算事業の構造改革にも手をゆるめないところは、投資家から見て安心感があります。
(窪田 真之)
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