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ビットコイン先物の取組高急増。“無国籍資産”需要増大?

トウシル / 2020年9月1日 7時0分

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ビットコイン先物の取組高急増。“無国籍資産”需要増大?

騰落率:景気連動型の銘柄の上昇が目立つ。暗号資産、金などの“無国籍資産”は軟調。

 8月3日(月)から25日(火)までの騰落率を確認します。このおよそ3週間、最も上昇率が高かったのは、マザーズ指数でした。

図:ビットコインとイーサリアム、各種銘柄の騰落率
2020年8月3日(月)と25日(火)の終値で計算

出所:楽天ウォレット、マーケットスピードⅡなどのデータをもとに筆者作成

 2位は銀、3位はパラジウムでした。また、日経225や原油、天然ゴムも上昇しました。株価指数、エネルギー、そして産業用の用途の割合が高い貴金属、つまり、景気動向に連動する傾向がある銘柄が上昇しました。

 一方、金とイーサリアムは下落、ビットコインはほぼ横ばいでした。国の信用の裏付けを必要としない“無国籍通貨”が横ばい、あるいは下落したわけです。全体的には、この3週間、景気連動型の銘柄が上昇し、“無国籍資産”が軟調だったと言えます。

 8月に入り、新型コロナのワクチンや治療法の開発に進展がみられる期待が高まったことなど、これまで存在した複数の悲観論が一時的に後退したことが今後の世界景気の回復期待を高め、景気連想型の銘柄が上昇、それに伴い、“無国籍通貨”を保有する妙味が一時的に低下したと考えられます。

相関係数:暗号資産はどの銘柄とも、強い相関は認められなかった

 相関係数は、2つの対象物の関係性を数値化したもので、+1と-1の間で決まります。+1に近ければ、2つの対象物の関係は正(連動するように動いていること。相関)、-1に近ければ、関係は負(正反対に動いていること。逆相関)、0に近ければ2つの対象物は、関りがないこと(無相関)を意味します。

▼相関係数の見方
0~+0.3(-0.3):ほぼ無相関
+0.3~+0.5(-0.3~-0.5):弱い相関(逆相関)
+0.5~+0.7(-0.5~-0.7):相関あり(逆相関あり)
+0.7~+0.9(-0.7~-0.9):強い相関(強い逆相関)
+0.9以上(-0.9以下):非常に強い相関(非常に強い逆相関)

 2020年8月3日から25日の、ビットコイン、イーサリアムと、他の銘柄の相関係数は以下のとおりです。

図:ビットコインとイーサリアム、各種銘柄の相関係数(2020年8月3日から25日)

出所:楽天ウォレット、マーケットスピードⅡなどのデータをもとに筆者作成

 この期間、2つの暗号資産と、主要株価指数、通貨、コモディティそれぞれの相関係数は、いずれも+0.6(-0.6)を超えませんでした。つまり、この期間のビットコインとイーサリアムは、他の主要銘柄と高い連動性は見られませんでした。

 2月下旬から3月中旬にかけて発生した新型コロナ・ショック以降、金とビットコインは高い連動性が見られましたが、8月の3週間だけで見た場合、ほとんど相関関係はありませんでした。“無国籍通貨”に関心が集まり、ともに上昇してきた金相場が、8月1週目に反落したことが要因とみられます。

価格推移:8月に入り、新型コロナ・ショックから続いた価格上昇は一服

 以下のとおり、新型コロナ・ショック後に起きた価格上昇は、8月に入り、ビットコイン、イーサリアム、ともに一服したように見えます。

図:ビットコインとイーサリアムの価格推移 単位:万円

出所:楽天ウォレットおよび、マーケットスピードⅡのデータをもとに筆者作成

 先述のとおり、ビットコインと高い連動性をともなって上昇してきた金相場が8月1週目に反落したため、市場では“無国籍通貨”への投資意欲が減退し、それが暗号資産にも波及したと考えられます。

 騰落率についての上記記述で述べたとおり、ここ3週間、主要株価指数などの景気連動型の銘柄の上昇が目立ちました。このため、金や暗号資産といった“無国籍通貨”への関心が薄らいだ可能性があります。

トピック:ビットコイン先物の取組高急増は、無国籍資産選好と、ビットコインのさらなる一般化を示唆

 8月は上昇一服となったビットコインでしたが、今後の動向を考える上で注目すべき変化が生じていました。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で売買されているビットコイン先物の取組高が、8月もさらに増加したのです。

図:CMEビットコイン先物の取組高 単位:枚

出所:CFTC(米商品先物取引委員会)のデータをもとに筆者作成

 新型コロナ・ショック後、CMEのビットコイン先物市場では、取組高が増加していました。取組高とは、未決済の建玉(たてぎょく)の数量のことで、その時の市場規模の大きさを示すバロメーターとも言えます。

 CMEという世界最大級の、公設のデリバティブ(金融派生商品)取引所で、取組高が増加しはじめたことは、いわゆる“交換業者”と呼ばれる業者での取引にはない、一定のルールで管理されたビットコインの取引を求める動きが強まっていることを示唆していると考えられます。この変化は、ビットコインが、徐々に、着実に、世界の金融市場で、1つのれっきとした金融商品として、本格的に、認知され始めたことを示唆しているのではないかと、筆者は考えています。

 なぜ世界は、ビットコインを本格的に認め始めたのでしょうか。それは、世界が新型コロナ・ショックを機に、本格的に、誰にもどこにも依存しない“無国籍資産”を求め始めたためだと筆者は考えます。

 新型コロナ・ショック後、世界でたくさんの不安が発生・拡大する中、どこかの国や企業に依存することが、かえってリスクを拡大させる、という考え方が広がった可能性があります。

 ここ数カ月間、ESG(財務状況に加えて、環境・社会問題や企業統治に対する取り組みを考慮して行われる投資)やSDGs(2015年9月の国連サミットにて、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」のこと)などの、人類共通の課題を解決させようとする考え方がスピード感を持って浸透しはじめたことは、ある意味、“無国籍資産”を求める考え方に近いと言えます。

 コロナ禍が続けば“無国籍資産”を物色する動きはますます強まるとみられます。このような動きは、ビットコインや金相場を一定程度、下支えをする要因として作用すると、筆者は考えています。

 CMEのビットコイン先物の取組高の増加が続いているうちは、“無国籍資産”を物色する動きは継続し、ビットコイン価格は支えられやすく、同時に、1つの金融商品としての認知が拡大していくと考えられます。

※本コンテンツで参照している銘柄はすべて円建てです。

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(吉田 哲)

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