配当利回り3.5~5.4%!高配当の化学・石油株に今、投資すべきと考える理由
トウシル / 2020年9月3日 7時27分
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配当利回り3.5~5.4%!高配当の化学・石油株に今、投資すべきと考える理由
景気敏感株は、景気が悪い時に買う
配当利回りの高い化学・石油株に投資すべきタイミングが来たと考えています。化学・石油株は、いわゆる「景気敏感株」です。コロナ・ショックで世界景気が戦後最悪の落ち込みとなっている今、なぜ化学・石油株に投資すべきなのか、疑問に思うかたもいると思います。
景気が悪くて、株価が安くなったからこそ、今投資すべきだと考えます。私は過去25年、日本株のファンドマネージャーをやってきた経験から、「景気敏感株は不況の時にこそ買うべき」と考えています。景気が良くなった時には売るべきです。特に、化学・石油など世界景気や市況変動の影響を大きく受ける銘柄はそうです。
世界景気が4~6月を底に、7~9月以降、緩やかに回復に向かう期待から、日経平均はもうかなり上昇してしまいました。ただし、化学・石油株は戻りが鈍く、株価低迷が続いています。株価が安いうちに、買っておくべきと考えます。
化学・石油株は、原油市況が底打ちして緩やかに上昇する局面で利益が回復
化学・石油株の業績は、原油が急落した直後に大きく悪化し、原油が底打ちする局面で急回復【注】します。
【注】原油価格変動と、化学・石油株の業績の関係
原油が急落すると、化学産業の原料ナフサや石油化学製品の市況も同時に下落します。ところが、化学会社は、いつでも一定の原料在庫を抱えています。高値の原料を抱えたまま、製品価格が下がってしまうので、在庫評価損が発生し、業績は悪化します。ただし、原油が急落してしばらく経過し、原油が底打ちする局面で、利益が回復します。高値の原料在庫が無くなり、安値の原料を使うことができるようになったところで、化学市況が上昇するので、そのメリットをフルに取れるようになります。石油精製も、同様の理由により、原油が緩やかに反発する局面で、業績が急回復します。
コロナ・ショックで急落した原油先物価格は、今緩やかに上昇しつつあります。したがって、足元、業績が急激に悪化した化学・石油株は、これから緩やかに業績回復に向かうと考えられます。
WTI原油先物(期近)推移:2000年1月~2020年9月
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/0/-/img_400c4c736d72887990ad92dbdf8bce7561929.jpg)
簡単に、2000年以降の原油市況の変動を振り返ります。2000~2007年まで、ブリックス(中国・インド・ブラジル・ロシア)など新興国の成長にともなう需要増で、原油を始めとした天然資源価格は、のきなみ急騰しました。ところが、2008年にリーマンショックが起こると、急落しました。
その後、世界景気回復で急反発したものの、2015年末にかけて米国シェールオイル増産による供給増と中国景気の悪化(チャイナショック)によって、再び急落しました。
2016年以降は、緩やかに回復しつつありましたが、2020年に再び、コロナ・ショックで急落しました。今まだ、世界景気の低迷は続いていますが、原油価格は底打ちしつつあります。今後、中国に続いて、米国の景気が持ち直す期待を織り込みつつあります。
化学・石油株は、原油市況が底打ちして、緩やかに上昇していく局面で、利益が回復するので、これから利益・株価も回復していくと考えられます。株価が急落した後、あまり戻っていないので、今が投資機会として良いと判断します。
世界景気がもう少し明るくなってから投資しないと不安と考える方もいますが、世界景気が明るくなった時には株価は上昇した後となる可能性が高いと思います。世界景気が暗いうち、株価が割安と判断できる間が、投資の好機と考えます。
投資の参考銘柄
日本の化学大手は、日本国内で見ると大企業かもしれませんが、国際比較するとどれも規模が小さい小粒の化学株となります。規模のメリットで欧米の化学大手にかなわないし、コスト競争力ではアジアの化学大手にかないません。
したがって、汎用化学品では、競争力がありません。例外は、塩ビで世界トップ、高い競争力を有する信越化学(4063)くらいと思います。信越化学は、半導体シリコウエハでも世界トップで、今買っていきたい化学株の1つです。ただし、配当利回りが1.75%と低いので、今日のレポートのテーマである「高配当利回りの景気敏感株」には入れていません。
日本の化学株は、株価バリュエーションで割安なら何でも買い、というわけにはいきません。今述べた通り、日本の化学株は大手でも国際比較で小規模なので、汎用品ではまったく競争力がありません。小粒でもピリリと光るもの、つまり、電子材料・医薬品・農薬・その他スペシャリテイケミカルといった、高付加価値品で高い競争力を有する化学株にしぼって投資すべきと考えています。
具体的には、クラレ(3405)、住友化学(4005)、三菱ケミカルHD(4188)は、高配当利回りの化学株として買っていって良いと考えています。また、川上~川下まで一貫生産能力を有する石油精製トップのENEOS HD(5020)も、高配当利回り株として、投資する価値があると考えています。
配当利回りの高い化学・石油株:投資の参考銘柄
コード | 銘柄名 | 株価:円 | 配当利回り | PER:倍 | PBR:倍 |
---|---|---|---|---|---|
3405 | クラレ | 1,084.0 | 3.7% | 28.6 | 0.72 |
4005 | 住友化学 | 347.0 | 3.5% | 28.3 | 0.62 |
4188 | 三菱ケミカルHD | 616.6 | 3.9% | 17.8 | 0.75 |
5020 | ENEOS HD | 411.0 | 5.4% | 33.1 | 0.59 |
出所:配当利回りは、今期1株当たり利益(会社予想)を9月2日株価で割って算出。PERは、9月2日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期とは、2021年3月期のこと。各社決算短信より、楽天証券経済研究所が作成 |
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(窪田 真之)
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