株価の底値、天井狙いは失敗の元。過去の呪縛から決別しよう
トウシル / 2020年9月10日 5時10分
株価の底値、天井狙いは失敗の元。過去の呪縛から決別しよう
株式投資で多くの個人投資家が思うこと、それは「できるだけ高く売る」「できるだけ安く買う」。でもそれにこだわり過ぎると、大きな痛手を被るかもしれません。
株価の「最大瞬間風速」とは?
株価チャートを眺めていると、株価がある時点で底値をつけたり、天井をつけたりしていることが分かります。これを見て、「ああ、あの底値で買えていたらなぁ」とか「あそこの最高値で売れていたら、よかったのになぁ」と思う方も多いのではないでしょうか。底値や天井はそれぞれ、まさに株価の「最大瞬間風速」といってもよいでしょう。
でも、底値で買いたい、天井で売りたいという気持ちを強く持ちすぎると、逆に大きなミスにつながりかねない点は十分注意しなければなりません。
最安値や最高値を意識し過ぎることの弊害(その1)
最安値や最高値を意識し過ぎると、いくつかの弊害が生じます。その一つが、株価が値下がりしている途中に逆張りで買い向かったり、株価が値上がりしている途中で売ってしまったりすることです。
2~3月のコロナ・ショックとその後の反発の際は、まさにこの弊害が生じやすい環境でした。
日経平均株価が2万4,000円から、1万6,500円まで大きく値下がりする間、多くの個人投資家は「そろそろ底打ちするはず」と予想して、日経平均株価が2万円を大きく超えているときから逆張りで買い向かいました。
ところが、そこでは全く下げ止まらず、さらなる急落となりました。その結果、パニックになり安値で売ってしまって大きな損失を被ったり、多額の含み損を抱えた塩漬け株を作ってしまったりする個人投資家が続出したのです。
逆に、4月以降の株価急反発時も、「そろそろ株価は天井をつけるだろう」と予想して株価上昇途中に売却した個人投資家が大部分でした。しかし、株価は天井をつけるどころかそこから2倍、3倍と上昇を続ける銘柄が続出しました。結局、天井ははるか上の水準となり、大きな利益を得る機会を逸してしまったのです。
最安値や最高値を意識し過ぎることの弊害(その2)
最安値や最高値を意識し過ぎることにより生じるもう一つの弊害が、「安値覚え」や「高値覚え」です。
安値覚えとは?
安値覚えとは、株価が大きく上昇する以前につけていた安い株価を意識し過ぎて、その水準にまで株価が値下がりしなければ買うことを躊躇(ちゅうちょ)してしまうことを指します。
例えば、もともと500円だった株の株価が大きく上昇して2,000円になったとします。でも、もともとの500円という株価を「安値覚え」しているため、2,000円でこの株を買うことができないのです。
でも、業績が伸びている成長株であれば500円の株価が2,000円になった後、再度500円近辺に戻ることはほぼないのです。逆に5,000円、1万円とどんどん上昇していくことも少なくありません。
本来であれば2,000円で買うことができたはずなのに、500円という過去の株価にとらわれるあまり、買うことができず大きな利益を得られないのです。
高値覚えとは?
逆に、5,000円まで株価が上昇した株が、その後4,000円に値下がりしたとしましょう。このとき、多くの個人投資家が「5,000円で売っておけば良かった」と考えます。そして、「今度5,000円になったら売ろう」という判断をするのです。これを「高値覚え」といいます。
でも実際は、5,000円には戻らず3,000円、2,000円……と、どんどん株価が下がっていって、大きな損失を被ってしまうのです。
あくまでも「底打ち」してから買い、「天井確認」してから売ることが重要
では、上記のような失敗を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。それは、「底打ち」や「天井」をピンポイントで狙うのではなく、底打ちが確認できてから買い、天井が確認できてから売ればよいのです。
そして、以前つけた株価は過去のものと割り切り、現在の株価が買うべきタイミングであれば、底値からかなり上昇した株価でも買えばよいし、売るべきタイミングであれば天井からかなり下落した株価でも売ればよいのです。
では筆者の場合はどうするか。下落を続けていた株価が底打ちして25日移動平均線を超えたら買うようにします。また、25日移動平均線を超えているならば、底値から10倍以上に株価が上昇している銘柄であっても躊躇なく買います。そして売るときも、上昇を続けていた株価が天井をつけて25日移動平均線を割り込んだら売るようにしています。
いつ株価が底打ちするか、あるいは天井をつけるかは誰にも分かりません。であるならば、底打ちの瞬間や、天井をつける瞬間を予想すること自体が無意味です。
「底打ちが確認できた段階で買い、天井が確認できた段階で売る」。こうすれば、もちろんピンポイントの安値や高値では売買できませんが、「安値圏」で買い、「高値圏」で売ることは十分可能です。ぜひ覚えておいてください。
(足立 武志)
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