【初心者向けコラム】「かい離率」を活用しよう~(その1)かい離率の役割と使い道とは
トウシル / 2015年11月26日 0時0分
【初心者向けコラム】「かい離率」を活用しよう~(その1)かい離率の役割と使い道とは
- 「かい離率」を活用しよう~(その2)筆者の具体的な活用法を紹介はこちら
皆さんは、「かい離率」という言葉をご存知でしょうか。そして、この「かい離率」を意識して日々株式投資をされているでしょうか。今回は、「高値掴み」や「安値売り」を避けるために大いに役立つ「かい離率」について、まずは基本的な知識を身に付けていただこうと思います。
はじめに「かい離率」の基本的な知識をチェック
「かい離率」について、普段あまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、初めに基本的な知識について簡単に触れておきます。
通常、「かい離率」といえば、それは「株価が移動平均線からどれだけ離れているか」という意味で用いられます。「乖離率」と表現することもあります。
「かい離率」は、株価が移動平均線より上にあるか下にあるかで表現が異なります。移動平均線より株価が上の場合は「プラスかい離」、株価が下の場合は「マイナスかい離」と表現します。
また、一般に、かい離率を計算する際の株価は「終値」を使います。そして、株価と比較する移動平均線は、株価チャートでローソク足1本が表す期間(日足・週足・月足)により異なります。
日足チャートであれば比較する移動平均線は5日、25日、75日など、週足チャートであれば13週、26週、52週など、月足チャートであれば12カ月、24カ月などです。
「かい離率」の具体的な計算方法は?
これらの知識を踏まえて、1つ例を挙げてみましょう。本日時点での株価が1,100円、25日移動平均線が1,000円だとすると、この場合のかい離率はプラス10%となります。これを「25日移動平均線に対して10%のプラスかい離」と表現します。
かい離率を求める計算式は、「(株価-移動平均線)÷移動平均線」です。上の例では、「(1,100円-1,000円)÷1,000円=10%」となります。
もし、株価が1,100円ではなく900円だったとすると、「(900円-1,000円)÷1,000円=マイナス10%」となります。
このように、移動平均線の位置と株価が分かれば、かい離率を計算することができます。証券会社の会員向け画面では、各個別銘柄や、日経平均株価・TOPIXといった株価指数につき主要な移動平均線からのかい離率が表記されていることが多いので、その数値自体を使えば計算は不要です。
「かい離率」の一般的な使い道とは?
「かい離率」の最も一般的な使い道は、株価指数や個別銘柄について「買われすぎ」「売られすぎ」の判断基準とすることです。
株価と移動平均線の一般的な関係から言えば、移動平均線は株価に対して遅行性があります。つまり、移動平均線は株価より遅れて動くのです。株価が1日で20%上昇しても、25日移動平均線は過去25日の株価の平均値ですから、せいぜい数%しか動きません。
そのため、株価が移動平均線から大きくかい離するということは、株価が短期間に大きく変動していることを示しています。これをもって、株価が「買われすぎ」もしくは「売られすぎ」の状態にあるかどうかを判断するのです。
例えば、日経平均株価であれば、25日移動平均線とのプラスかい離が5%を超えてきたらやや注意、8%を超えてくると要警戒、10%を超えた場合は近々反落する可能性が非常に高くなります。マイナスかい離の場合はこの逆で、マイナスかい離5%で安値圏、8%超で底打ち間近、10%超は売られすぎで間もなく反発の可能性が非常に高い、ということになります。
ですから、日経平均株価がプラスかい離10%に達しているにもかかわらず、そこから新規買いをどんどん実行することは、その後の株価反落により高値掴みになってしまう可能性が高いため非常にリスクの高い投資行動となるのです。
個別銘柄は、日経平均株価などの株価指数より値動きが大きくなります。東証1部上場の中・大型株であれば上記の日経平均株価の3~5倍を目途に考えておけばよいと思います。つまり、上記の日経平均株価のケースでの「5%、8%、10%」を「15%、24%、30%」(3倍の場合)や「25%、40%、50%」(5倍の場合)と置き換えて考えるのです。
値動きの激しい新興市場株や小型株の中には日経平均株価の10倍~20倍でかい離率をとらえるべき銘柄もありますが、これらは各個別銘柄の過去の値動きを見ながら個々に判断するしかありません。
筆者が用いる「かい離率」のもう1つの使い道
筆者ももちろん「かい離率」を株価の「買われすぎ」「売られすぎ」のサインとして活用していますが、実はそれ以外に、もっと重要な使い道があるのです。それが「売買のタイミングを見計らう」ということです。
筆者が日々実践している「株価トレンド分析」では、株価が上昇トレンドにある場合は新規買い可、となります。でも、上昇トレンドと一口に言っても状況は様々です。25日移動平均線を少し超えただけ、という状態もありますし、25日移動平均線を超えてから株価が大きく上昇してかい離率が大きくなっている、という状態もあります。
そこで筆者は、株価が上昇トレンドにあるものの全てを新規買いの対象とするのではなく、上昇トレンドにある株価が移動平均線とどれくらいかい離しているかによって、新規買いをするかどうかを判断しています。
そしてそこには筆者が株式投資で成功するために最も重要な要素の1つと考える「損切り」が適切に実行できるかどうか、という観点も大きく関わってきています。
次回は「売買のタイミング」という観点から、筆者が実際にどのように「かい離率」を活用しているか、具体例を織り交ぜながらご説明していきたいと思います。
(足立 武志)
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