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はじめての相続:相続人以外の孫は土地をもらえるか?

トウシル / 2020年9月18日 5時10分

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はじめての相続:相続人以外の孫は土地をもらえるか?

祖母が持っている土地は相続によって孫がもらえるの?

 先日、こんな相談がありました。「祖母に相続が発生した。祖母が持っていた土地があり、これを孫である私(相談者)にあげたいと祖母は以前、言っていた。叔母(祖母の相続人)も問題なく、孫の私がもらえると言っているが本当だろうか?」という内容です。

 相談者は祖母の孫であり、祖母の相続人は相談者の母と叔母の2人です。相談者は祖母の相続人ではありません。

 少し分かりにくいと思いますので、相談者である孫から見て、それぞれの関係を以下に整理しておきます。

・祖母:被相続人
・母および叔母:相続人
・孫(相談者):相続人ではない

 民法の相続に関する知識がある方ならお分かりになると思いますが、このケースでは孫は祖母の土地を相続により受け取ることはできません。

相続が発生したら相続財産を受け取れるのは誰?

 まず、相続に関する民法の規定をおさらいしておきます。原則として、被相続人(亡くなった方)の相続財産は、相続人が受け取ることになります。

 もし相続人以外の人が相続財産を受け取るためには、あらかじめ被相続人の生前に、遺言書により相続人以外の人に遺贈するという旨を明らかにしておく必要があるのです。

 今回のご相談のケースでは、相談者である孫が何度も祖母に対して遺言書の作成を求めたのですが、結局作成されないまま相続が発生してしまった、というのが実情のようです。

 となると、遺言書が存在しないので、遺産分割協議により相続人間の話し合いでどの相続人がどの遺産を相続するかを決めることになります。

 しかも、この遺産分割協議、相続人でないと参加できません。したがって、孫は協議に参加できず、祖母の遺産を受け取ることもできないのです。

養子縁組という手もあったが…

 もし、祖母と孫が養子縁組していれば、孫は祖母の相続人になります。そのため、祖母の遺言書がなくとも、遺産分割協議に参加でき、祖母の遺産である土地を相続することができた可能性があります。

 しかし、養子縁組は祖母の生前に、祖母と孫の同意のもとで行う必要がありました。祖母の相続が生じた後では、どうすることもできないのが現実です。

税金のことを知らずに手続きを進めてしまうと…

 一つ注意していただきたいのが、相続人以外の人に遺産を渡すこと自体は、手続きさえ踏んでいればできてしまうということです。

 今回のケースであれば、相談者が多額の資金を用意して譲渡してもらう(売ってもらう)か、いったん相続登記を行って、母もしくは叔母の名義にした後、相談者に贈与する登記を行えば、土地は孫のものになります。

 しかし、それにより、母もしくは叔母から、相談者へ土地の贈与が行われたという事実が発生します。すると、当然ながら孫に贈与税の申告および納付義務が生じます。 

 もし、相続人以外の人にも被相続人の遺産を税金なしで渡すことができると勘違いしていると、後々多額の贈与税が発生し、大変なことになってしまいます。

 仮にその土地の評価額が5,000万円だとした場合、いったん叔母が相続し、叔母から贈与を受けた形であれば孫は2,289万5,000円もの贈与税を払わなければならないのです。

 または譲渡してもらう(売ってもらう)場合であっても、買うための多額の資金が必要になります。

 土地の価格が高い都心部では、実質的に孫がこの土地を手に入れるのは、かなりハードルが高いといえるでしょう。

 税金は「知らなかった」では済まされません。土地の名義を移すなど、「これって税金はどうなるのかなあ?」と疑問に思う場合は、実行する前に必ず税理士や税務署などに相談するようにしてください。

(足立 武志)

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