楽天DI  2020年9月「どうなる?菅内閣」

トウシル / 2020年10月9日 14時15分

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楽天DI  2020年9月「どうなる?菅内閣」

はじめに

 今回のアンケート調査は2020年9月28日(月)~9月30日(水)の期間で行われました。

 9月末の日経平均終値は2万3,185円でした。前月の8月末終値(2万3,139円)からは46円高と小幅な上げにとどまりましたが、一応、月足ベースでは2カ月連続の上昇です。

 あらためて9月の国内株市場を振り返ると、日経平均はおおむね2万3,000円~2万3,500円の500円の値幅内での推移が続きました。値動きについても、「一気に上昇しては失速」というパターンが繰り返され、買い上がるにも、売り下がるにも力強さに欠ける展開でした。

 とはいえ、日経平均のこうした方向感のなさは、9月の米国株市場が急落する場面を見せるなど、かなり軟調だったことを踏まえると、相場が崩れずに堅調さを保ったことで前向きに捉えることができるほか、さらに、東証マザーズ指数が年初来高値を更新するといった具合に、日米株価の「デカップリング」を印象付ける面もあります。

 このような中で行われた今回のアンケートは、5,200名を超える個人投資家からの回答を頂きました。日経平均・米ドルそれぞれの見通しDIは、「株高・円高」という結果となりました。過去の経験則では、市場のムードが良好な時は、「株高・円安」となることが多いのですが、今回はやや異なる結果だったと言えます。海外の外部環境はイマイチな一方、国内は新政権誕生による期待感が評価されたことが反映されたのかもしれません。

 次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。

日経平均の見通し 

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

「DIの改善傾向が続く」

 今回調査における日経平均の見通しDIは、1カ月がプラス6.11、3カ月先はプラス5.54となりました。前回調査の結果がプラス0.74、マイナス1.64でしたので、1カ月先は2カ月連続のプラス、3カ月先も久々にプラスに転じています。ちなみに両者がともにプラスとなるのは5月以来です。

 回答の内訳グラフで具体的な状況を見てみると、1カ月・3カ月ともに中立派が多くを占めており、相場の先行きに対して目立った方向性は出ていませんが、直近3回の調査を振り返ると、強気派が徐々に盛り返す傾向が続き、個人投資家のマインドが改善しつつあることが感じられます。実際に3カ月前(6月調査分)の1カ月先のグラフでは弱気派が46%を超えていました。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 株式市場は10月相場入りとなりましたが、国内では初日となる1日の取引が東証のシステムトラブルで終日停止となり、翌2日には、新型コロナウイルスの陽性反応が出たというトランプ米大統領の1本のツイッターが市場をざわつかせるなど、かなり慌ただしいスタートでした。「オクトーバー・サプライズ」というキーワードがニュースでも聞かれるようになっています。

 とはいえ、数日経過した日米の株式市場は、米国の追加経済政策の成立期待などで今のところ落ち着きを見せています。

 とりわけ、日本株においては、新政権への期待による「デジタル庁」関連銘柄をはじめ、日本銀行のETF(上場投資信託)買い、バリュー株への見直し、IPO(新規公開株)の人気化などが継続していることで日米株価のデカップリングとなっています。ただし、6月以降の日経平均は、株価が「急騰してはジリジリと失速」という値動きが繰り返されており、結果的に株価水準が切り上がっても、上昇基調の継続感に欠けるため、うまく相場に乗ることは難しく、個別銘柄を選別しながら物色する動きが中心となりそうです。

 日本株のさらなる上値追いについては、「デカップリング」が指摘されているとはいえ、今後の米国株に左右されます。NYダウ・S&P500、NASDAQの主要3指数が75日移動平均線水準の攻防から反発し、25日移動平均水準まで戻しており、米株の調整がひとまず「過熱感の修正」にとどまりそうになっていますが、米国の政治動向の不透明さが増していることや、北半球ではウイルス性の病気が流行しやすい季節へと向かっていきます。

 仮に米国株が再び75日移動平均線を下抜けてしまった場合には、「中期シナリオの修正」が意識され、下げが加速してしまう懸念がくすぶっています。

 そのため、10月相場は株式市場の「調整の意味(過熱の修正か、シナリオの修正か)」を見極める展開になりそうです。

今月の質問「どうなる?菅内閣」

楽天証券経済研究所 根岸 美知代

【今月の質問1】 菅内閣は、国民の信を問うために、衆議院の解散総選挙をやると思いますか?   

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 令和2年9月14日に発足した菅内閣が、年内または来年、解散総選挙を「行う」と思う方が約65%と、「行わない」と思う(約23%)方を大幅に上回りました。解散総選挙の時期については、年内よりも来年と考える方が多くなっています。菅内閣の任期は来年の9月までなので、来年に解散総選挙をやるならば、来年の早い時期と考えられます。

【今月の質問2】 菅内閣の任期は来年9月までです。来年9月で終わる短命内閣になると思いますか? あるいは、来年9月以降も続くと思いますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 来年9月で終わる短命政権と予想している方は、約22%だけでした。半数以上の方が、来年9月以降も続くと考えています。自民党内で派閥を持たなくても、強いリーダーシップを発揮し、長期政権への道を開くと期待している方が多いということでしょうか。

【今月の質問3】 菅首相に期待していることはなんですか?(3つまで回答可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 一番多かったのは「コロナ禍の経済政策」でした。「その他」には、「期待していない」という厳しいご意見も多数ありましたが、以下の通り、さまざまな期待をお寄せいただきました。

「消費税等の減税」「国防、軍備増強」「森、加計、桜問題の追及」「女性の地位向上」「格差是正」「NHKの改革、受信料引き下げ」「嘘のない政治」「首都機能の分散」「国会議員数の削減」「拉致問題の解決」「情報公開」、などでした。

「コロナ禍の経済政策」として、既にいくつかのGo Toキャンペーンも始まっております。感染拡大抑制と経済が両立できるよう、感染防止対策を行い「ウィズコロナ時代」を生き抜いていきたいと思います。

 今回もたくさんのご意見をいただきまして、ありがとうございます。

為替DI:「円高」予想の個人投資家、なぜ今増えているのか?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

「10月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 9月末に楽天証券が実施した相場アンケート結果によると、回答を頂いた個人投資家5,289人のうち、約44%(2,311人)が、10月のドル/円は「ドル安/円高に動く」と予想しています。

一方で「円安に動く」は最も少ない約21%(1,129人)。「動かない(分からない)」は約35%(1,849人)でした。

 米国では大統領選挙の熱戦が繰り広げられるなかで、トランプ大統領がコロナウイルスに感染、一時入院するという波乱が起きました。大統領レースがいっそう混迷するのか、それとも逆に結果がはっきり決まってしまったのか。個人投資家の方々がこの騒ぎをどう受けて止めているのか興味があるところですが、今回のアンケートには残念ながら「トランプ氏入院」は含まれていません。

「われわれは重要な(金融政策の)変更を行った。」パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)会合後に、このように宣言しました。FRBはインフレ率が2%に上昇し、さらにしばらくの間2%を緩やかに超える軌道に乗るまで「ゼロ金利」を維持することを決定、「平均物価目標」という政策概念を導入することで、インフレを「抑える」から「育てる」へ方針転換したのです。FOMCメンバーによる金利見通しは、少なくとも2024年前半まで金融政策の変更(利上げ)はないことを示しています。

 物価が(一時的に)2%を超えても黙認することは、分かりました。でもFRBが物価2%と失業率4.1%を同時に達成できたのは、過去60年間でたった2回の実績しかありません(現在失業率は7.9%)。

 もし反対に物価がさらに下落する場合はどうなるのか? ゼロ金利の次は「マイナス金利」がやってくるのか? しかし、FRBは否定的な見解を示しています。

 マイナス金利を実施している日本と欧州の銀行のデータを分析した結果、マイナス金利が長く続くほど、銀行の収益性と貸出活動の両方が「低下する」ことが判明しています。

 マイナス金利で銀行の貸出が増えると言われます。しかし、マイナス金利下では最初の1年間のみ増加するが、その後2年間は貸出が減少し、当初の増加分を取り返す以上に減少するという結果が出ています。

 とはいえ、米国のインフレが底辺に張り付いたまま改善しなければ、いずれかの時点でマイナス金利は議題に上ってくるでしょう。日銀にはこれ以上金利を下げる余裕はないと見られています。日米金利差からドル/円は円高に向かうという考えが増えているのです。

 もっとも、インフレ見通しも一様ではありません。コロナの影響によって食料品価格が上昇してインフレが急騰するという意見もあります。

 しょせん、経済に今何が起きているのか分からないのに、将来を正確に予想できるわけがないのです。全ての経済予想が間違っていたのだから、新しい経済予想も間違っているだろうと考えるべきです。確実なことがあるとすれば、将来に対する不透明感が広がっているということでしょうか。不透明感は「安全資産」としての円の価値を高め、円高につながります。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 9月のユーロ/円の終値は123.59円。8月終値に比べて約2.80円のユーロ安/円高でした。

 楽天証券が実施した相場アンケート調査の結果によると、個人投資家5,289人のうち約37%(1,962人)が、10月のユーロ/円は「ユーロ安/円高に動く」と予想しています。

 一方で「ユーロ高/円安に動く」は、最も少ない約16%(854人)。「動かない(分からない)」は、約47%(2,473人)でした。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

  9月の豪ドル/円の終値は78.13円。8月の終値に比べて約2.30円の豪ドル安/円高でした。楽天証券が実施した相場アンケート調査の結果によると、個人投資家5,289人のうち約31%(1,612人)が、10月の豪ドル/円は「豪ドル安/円高に動く」と予想しています。

「豪ドル高/円安に動く」は約16%(854人)で最も少なく、「動かない(分からない)」は約53%(2,823人)で半数を超えています。

今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」と「外国株式」を選択したお客様の割合に注目します。

 当該質問は複数回答可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT(リート:不動産投資信託)、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になし、の13個です。

図:質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」と「外国株式」を選択したお客様の割合の推移

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2020年9月の調査で「国内株式」を選択した人の割合は58.65%、「外国株式」を選択した人の割合は45.59%でした。「国内株式」は7月の調査の“50%割れ”から回復基調を強め、「外国株式」は2016年半ばから続く上値基調を維持しました。「国内株式」が回復基調を強めた一因に、“スガノミクス”への期待が挙げられると、筆者は考えています。

 菅氏が、与党自民党の両院議員総会で第26代総裁に選出されたのが9月14日、衆参両議院の本会議での指名選挙で第99代内閣総理大臣に指名され、皇居での認証式を経て、第99代内閣総理大臣に任命されたのが16日でした。

 菅氏が安倍氏の路線を踏襲する方針を示したことで、特に16日以降、“アベノミクス”ならぬ“スガノミクス”が話題となり、コロナ禍での経済回復に期待が寄せられるようになりました。このようなムードの中、9月28日から30日にかけて、楽天DIの2020年9月の調査が行われたわけです。

“スガノミクス”への期待は、「国内株式」の、今後投資してみたい金融商品としての魅力を強める一因になり、“50%割れ”からの脱却をより確かなものにした、と言えると思います。

 一方、先述のとおり「外国株式」を今後投資してみたい金融商品とした人の割合は、引き続き、長期的な上昇傾向にあります。仮に、“スガノミクス”起因の期待増幅がなかった場合、“国内・外国の逆転”が起きていた可能性はゼロではなかったと、筆者はみています。ある意味、“スガノミクス”への期待は、“国内・外国の逆転”を阻止したと言えます。

 米国の主要な株価指数は、短期的な不安定さはあるものの、コロナ禍で巨大IT企業たちがより目立っていること、さらに、米大統領選挙の選挙戦においてトランプ氏対抗馬であるバイデン氏が掲げるクリーンエネルギー策に関連する企業の株価が、好調であることなどを背景に、長期的な視点で見て、高値水準を維持しています。

 10月下旬に実施予定の次回の調査で、統計開始来初めての“国内・外国の逆転”は起きるのでしょうか、米大統領選挙前という要素も加わることもあり、要注目です。

表:今後、投資してみたい金融商品 2020年9月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2020年9月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

(楽天証券経済研究所)

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