#7:好調な米経済指標材料に「金」は下落。原油は減産延長か?急反発
トウシル / 2017年10月6日 14時0分
#7:好調な米経済指標材料に「金」は下落。原油は減産延長か?急反発
好調な米経済指標材料に、金は下落
金相場は下落。堅調な米国経済指標がドル買いにつながり、これが上値を押さえた。
最新週の新規失業保険申請件数は前週比1万2,000件減の26万件と、市場予想の26万5,000件を下回る良好な内容。また、8月の製造業受注も前月比1.2%増と、市場予想の1.0%増を上回った。さらに米下院が2018年度(2017年10月~2018年9月)予算の大枠となる予算決議案を可決し、税制改革案の実現に向けて一歩前進したこともドル買いにつながったと言える。
一方で主要株価指数が過去最高値を更新しており、安全資産である米国債に売りが出て利回りが上昇したことも、ドル買いにつながった可能性がある。
8月の米貿易統計ではモノとサービスの輸出が約2年半ぶりの高水準となり、貿易赤字が前月から減少。これらの材料でドル高が誘発されており、ドル指数は2カ月半ぶり高値に上昇。これらが金相場にはネガティブに作用している。
また、米フィラデルフィア連邦準備銀行のハーカー総裁が利上げについて、「依然として年内あと1回と来年3回を想定している」と発言したことも、金融引き締め観測を支えている。
6日発表の9月米雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が9月の大型ハリケーン襲来の影響で伸びが鈍ると予想されている一方で、市場の関心は平均時給に向かっている。これが伸びるとインフレ高進への期待が上昇し、利上げ観測が高まることになるだろう。平均時給にはこれまで以上に要注目だ。
一方、UBS社は2017年の金相場予想を1,300ドルから1,270ドルに引き下げている。12月利上げが金相場を圧迫する可能性を考慮したもよう。目先は1,270ドル前後で下げ止まるかがポイントになる。これを割り込むと1,255ドルまでの下げと、かなり弱い相場になるだろう。
また、ドイツの9月新車登録台数は前年同月比3.3%減の28万8,035台だった。うちディーゼル・エンジン車の登録台数は同21.3%減で、落ち込みがさらに加速。新車全体に占める比率は36.3%に低迷した。これに対してガソリン・エンジン車の登録台数は8.7%増で、新車全体に占める比率は59.7%となった。HV(ハイブリッド車)は76.4%増、EV(電気自動車)は36.9%増だった。
これらの内容は、プラチナにネガティブ、パラジウムにポジティブに作用する。実際に最近の価格動向のそれを表している。
非鉄はおおむね堅調
非鉄相場はおおむね堅調。LME(ロンドン金属取引所)在庫はすべての銘柄で減少した。
中国市場は今日まで大型連休で休場。それでも堅調さが目立ち始めている。アルミは推移を切り上げており、高値更新を目指す展開にある。銅は急伸。6,550ドルを明確に超え、上抜けた感がある。ニッケルは続落だが、辛うじて1万550ドルで下げ渋っている。亜鉛はさらに高値を更新。鉛も反発し、再び高値を狙う展開にある。
非鉄相場の堅調さが再び顕著になりつつある。下げても下げ過ぎないところに、非鉄相場の強さを感じる。
原油は減産延長か?急反発
原油は急反発。特にブレント原油の上昇が大きい。
サウジアラビアとロシアが来年末までの減産延長を検討しているとの報道で買いが入り、WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は50ドル台を回復した。米国からの原油輸出が増加し、リビア最大のシャララ油田も生産を再開したが、材料視されなかった。
ロシアのプーチン大統領は、OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどのOPEC非加盟国が取り組んでいる協調減産の期限が現行の2018年3月末から同年末に延長される可能性があると発言。さらに同国のノバク・エネルギー相が減産合意への新規参加国を支持する姿勢を示したことが材料視された。
サウジのサルマン国王はロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会談。そこで「世界の原油市場の安定に向けて、ロシアと協力を継続する」と表明した。両国は世界有数の産油国で、今年1月から協調して原油の減産を行っているが、これ自体が画期的な政策である。また、サウジ国王のロシア公式訪問は初めてだが、ここで減産延長の可能性が高まっているところに、今回の協調減産がいかに重要な政策であるかが確認できる。
(江守 哲)
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