相場は「不安の崖をよじ登る」ことができるか?
トウシル / 2017年10月10日 17時0分
![相場は「不安の崖をよじ登る」ことができるか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_2916_0-small.jpg)
相場は「不安の崖をよじ登る」ことができるか?
10月最初の週末となった10月6日(金)の日経平均終値は2万690円でした。前週末(9月29日の2万356円)からは334円ほど上昇し、週間ベースでも4週連続の上昇となっています。直近の安値である9月8日の1万9,239円を起点にすると、週ごとの上昇幅の推移は、635円、387円、60円、334円となるのですが、この期間の上昇率は7%を超え、過熱感がないわけではありませんが、10月相場は幸先の良いスタートだったと言えます。
■図1 日経平均(日足)の動き:2017年10月6日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/1/c/-/img_1c0567a082305a58d6b7b85bc5b443a399952.png)
まずはいつもの通り、足元の日経平均の動きを上の図1で確認します。
ローソク足は週を通じて5日移動平均線よりも上の位置を保っており、上方向への意識が感じられる値動きです。意外かもしれませんが、先週は今年になって初めての5日続伸でした。とりわけ、直近高値(9月21日の2万481円)と節目の2万500円の両方を超え、年初来高値を更新した10月3日の陽線の出現がムードを強気に傾けているような格好です。さらに、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」も達成しています。
前回は、相場が意外と強くなる可能性を指摘し、その注目点として、ボリンジャーバンドがトレンドの継続を示すことが多い「バンドウォーク」を形成できるかを採り上げました。バンドウォークとは、上昇トレンドの場合、ボリンジャーバンドの5本の線が揃って右肩上がりとなり、株価が+1σ(シグマ)と+2σの範囲内で推移していく状態を指すのですが、これまでのところ順調にこのバンドウォークの形になっていることがわかります(下の図2)。
■図2 日経平均(日足)のボリンジャーバンド:2017年10月6日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/0/-/img_903c7146e31382130d062d7d6a0422fd107866.png)
確かに、足元のムードを一変させかねない北朝鮮の情勢や、衆議院選挙に向けた国内の政治情勢、過熱感の調整など、不安材料がくすぶっているものの、チャートの形からは「相場は不安の崖をよじ登る」という相場格言通り、上方向を試しやすい状況にあると考えられます。
もっとも、日柄調整(現在離れている株価と25日移動平均線との距離を修正して行く動き)は近いうちに訪れると思われます。足元の勢いのまま、アベノミクス相場の高値(終値ベースで2万868円、取引時間ベースで2万952円)をトライしてからの調整入りと言いたいところですが、今週は連休明けで4営業日しかないため、あまり欲張らずに「5日移動平均線を維持できれば」というのがメインシナリオになりそうです。
ちなみに、株価と25日移動平均かい離の距離という点では、10月6日時点でのかい離率は3.15%です。ここ数年の経験則では3%ほどかい離した辺りが上値の目安となることが多いのですが、今年の4月半ばからの前回の急上昇の局面では5.5%までかい離する場面もありました。10月6日時点の25日移動平均線は2万57円でしたので、単純に5.5%のかい離を計算すると2万1,160円となります。
とはいえ、気になる点もあります。日経平均が2万円を超えたのは9月19日ですが、そこからのローソク足を見ると、陰線が多いことに気が付きます(下の図3)。
■図3 日経平均(日足)の動き その2:2017年9月29日取引終了時点
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/d/-/img_edf724bd238a37006a52cbdd68e467fc43669.png)
9月19日から10月6日まで14営業日あるのですが、14本のローソク足のうち、陽線は5本しかなく、日本の取引時間に上値を伸ばす場面が意外と少ないのです。これは、「結果的に株価は上昇しているが、売買のタイミングが捉えにくい」ことと、「相場のムードを左右しているのは海外、特に米国市場の動向が中心になっている」ことを意味しています。
その米株市場では、NYダウなどの株価指数が連日で史上最高値を更新するなど順調そのものです。経済指標や企業業績、税制改革などへの期待感が買いの材料になっていますが、日本株市場と同じように高値警戒感も指摘する声も聞かれています。先週、米国市場で「恐怖指数」とも呼ばれる「VIX指数」が10月5日の取引で9.19となり、23年10カ月ぶりに過去最低の値を更新したことが話題になりました。
VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所で取引されるS&P500のオプション価格から算出されます。VIX指数は先行きに対する不安が強まったり、相場が荒れる場面で上昇しやすく、値が上昇するほど投資家の不安心理が高まったことを示します。反対に、値の低下は安心感が広がっていることになりますが、あまりにも低下すると、「楽観視し過ぎているのは?」と捉えることもできます。誰もが「株価が上がる」と思っているときが相場の天井になることが多いため、そろそろ注意が必要なタイミングなのかもしれません。
■図4 VIX指数の推移:2016年1月~
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/b/2/-/img_b2ca864262001753068e67317e1a2a3121948.png)
(土信田 雅之)
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