家計簿で人生はよみがえる・挫折しないシンプルなルール
トウシル / 2020年10月30日 17時35分
家計簿で人生はよみがえる・挫折しないシンプルなルール
カネの切れ目は縁の切れ目。愛情が豊かな家庭でも、うまくいかない家計には不幸が忍び寄るものです。このシリーズでは、本当にあった家計の事件を取り上げ、やってはいけなかった行動と、解決の手段を紹介します。
お悩み
理想の人生を生きるために始めるべきは家計簿
斎藤卓さん(仮名)・会社員・36歳(既婚)
斎藤さんは現在、妻と6歳の長男と2歳の長女の4人暮らし。これから何かとお金がかかることが分かっていたこと、そして、自分が理想とする人生プランをかなえるため、今のうちに蓄えを増やせないかと考えていました。
そこで、友人に勧められた投資を始めてみたものの、なかなか思うような成果は出ていません。しかも、子どもの入学準備や妻の入院などで思わぬ出費が続き、投資を継続することさえ、難しくなってしまいました。
日々悩んでいた斎藤さんですが、テレビや雑誌などで家計の見直しの話に触れるうちに、投資以前に、まず家計の収支を把握することが必要だと気づき、家計簿をつけることにしました。
ところが、2カ月もしないうちに家計簿のつけ方に悩み始めた斎藤さん。実は以前、何度か家計簿をつけたことはあったのですが、支出の見直しにつながらず、結局断念していたのです。
将来に備える投資をするため、家計を見直し、理想の人生に近づくには、どうしたらいいのでしょうか。
なぜ投資初心者ほど家計簿をつけるべきなのか?
家計簿をつける一番の目的は家計管理です。家計の支出を把握することで、収入に見合った生活水準なのか、支出にムダはないかを確認し、できるだけ多くの貯蓄ができる家計へ改善していくことができるからです。
いくら投資をしようとしても、日々の生活に困らない余裕資金がなければ話になりません。
また、投資初心者ほど少ない傾向にある投資額で数%増やすよりも、節約する方が資産を増やす効果は高くなります。
では具体的に、家計簿のメリット3つを紹介します。
なぜ家計簿をつけるべきなのか1:収支の把握で、余裕資金(適切な投資額)が浮かび上がる
将来のための投資、つまり長期にわたる資産づくりでは、継続して投資をすることが前提です。投資資金を支出に回すことになっては本末転倒。
そこで自分の家計にとっての「適切な投資額」で投資をすることが重要です。多過ぎれば家計への負担が大きく、少なければ余裕資金を置いてあるだけになってしまうからです。
家計簿をつけることで、家計に適した投資金額を知ることができるでしょう。
なぜ家計簿をつけるべきなのか2:支出全体像の把握で、ムダな支出を見つけ出す
家計簿の第一の目的は家計の支出を把握すること。その上でムダな支出を見つけ、過度な支出を減らしたり、家計の見直しをする必要があります。
ただし、何がムダな支出かは人それぞれ。趣味や娯楽にお金を使うことがあってもいいでしょう。
投資で年10%増やすことはかなりの好成績ですが、それよりも、投資額が少ないうちは、毎月の支出を1万円減らした方が資産を増やせる場合もあります。まずは余分な支出を把握することが資産づくりの絶対条件です。
なぜ家計簿をつけるべきなのか3:ムダが減り、さらに多くの余裕資金を貯蓄に回せる
家計簿をつけることで、支出の全体像をわかりやすくまとめ、時系列で把握することができます。
すると、いくら入って、いくら使ったという毎月の収支だけでなく、時期や季節の違いでどのような支出があるのか、計画と実際の生活ではどのような違いが生まれるのかを知ることができます。そこからさらにムダを減らして、余裕資金ができる家計を作り、資産づくりが進められるはずです。
家計簿でよくある失敗は?
家計簿のつけ方は決まっていないので、自分に合ったやり方で構いません。でもそれだけに、挫折して家計簿難民になってしまう人も多くいます。
ここでは、家計簿をつけようとして失敗した、よくある例をお伝えしたいと思います。
なぜ家計簿で失敗するのか1:項目や明細を細かくつけすぎる
家計簿をつけ始めると、項目を増やしてできるだけ詳細な内容を書こうとしてしまったり、レシートの明細をそのまま一つずつ書いたりしてしまう人もいますが、それほど細かくつける必要はありません。家計簿をスタートする目的は、まず「自分が何にお金を使っている傾向にあるか」をざっくり知ることです。最初はあえて大雑把なぐらいで構いません。ご自身が気になる項目があれば、細分化していきましょう。
なぜ家計簿で失敗するのか2:家計簿をつけることで満足してしまう
家計簿はつけているけれど、つけているだけで満足、結局何も変わっていないという人もいます。家計簿をつけた先にある目的を見失っているようです。「なぜ投資初心者ほど家計簿をつけるべきなのか」でお伝えしたように、家計簿をつけるだけでは何も変わりません。「つけただけ」で終わっているのだとしたら、もったいないことです。家計簿をつけずに別のことに労力を割いた方が有意義です。
なぜ家計簿で失敗するのか3:固定費の見直しをしていない
家計簿をつけて支出の見直しをするとき、食費や交際費、趣味・娯楽の支出を減らそうとしてしまいがちです。しかし、普段の生活スタイルを変えるには時間がかかりますし、無理に変えようとすることでストレスになります。
そこで、最初に行うべきは、固定費の見直しです。代表的なものは、住居関連費・車関連費・通信費・生損保険料など。その見直し効果は大きく、年間にするとかなり大きな節約となるでしょう。
家計簿で結果を出すためには?
家計簿は家計を見直し、資産づくりを効果的に、そして効率的に行うための有効なツールです。でも、あくまで家計簿はツールなので、つけっぱなしではいけません。家計簿をもとに家計を見直し、資産づくりに役立てるための実践的な使い方についてお伝えします。
結果を出す家計簿のコツ1:項目分けはできるだけシンプルに
家計簿では明細を知ることよりも、自分なりに分かりやすく、できるだけシンプルな項目で継続しやすいものにすることが重要です。
おすすめは、「基本生活費(食費や日用雑貨、通信費、水道光熱費)、住居関連費、車関連費、通信費、交際費、生損保険料、教育費、その他支出」ぐらいの項目数で分類すること。項目を増やすと支出の把握が難しくなっていきます。自分の生活に合った分け方を考えて、できるだけ少ない項目に分類しましょう。
結果を出す家計簿のコツ2:ムダを見える化する
項目分けをして、支出の内訳が分かった後はムダ探しです。まずは生活をする上で「必ずいるもの」と「余計なもの」に分けましょう。最低限必要な支出を把握することで、最大限できる毎年の余裕資金を知ることができます。その上で、余計なものとして分類したものでも、余裕資金の範囲内なら支出として認めても構いません。できるだけ多く貯蓄した方がいいのですが、長期戦になる資産づくりでは、無理に節約し過ぎて継続できなければ意味がなくなってしまいます。見直しのコツは、できるだけ固定費を抑えること。逆に固定費が高いままの家計は赤信号です。
結果を出す家計簿のコツ3:家計簿に手間をかけない
家計簿の見た目にこだわる必要はありません。パソコンの表計算ソフトでまとめても、手書きでノートにまとめても、スマホの家計簿アプリを使ってもいいのです。自分にとって継続しやすいツールを探しましょう。ここから慣れてきたら、次のステップ・将来のライフプランを検討してシミュレーションを作成してみることもお勧めです。
家計の救済策
いくら収入が多くても家計の管理ができていなければ、高所得者貧乏になりかねません。「身の丈にあった生活」という言葉は、資産づくりの上でも金言です。逆に収入が少なくても支出を管理して貯蓄ができる家計なら資産づくりに成功できるでしょう。
これまで資産づくりに成功した人の共通点は、収入に見合った支出管理ができていることです。この「支出が収入より少ない」という、当たり前のことを続けられるかどうかに資産づくりの成否がかっています。
【要チェック】
リーファス社の公式YouTubeチャンネル『ニーサ教授のお金と投資の実践講座』では、同コラムの他にも動画でお金と投資の知識を学ぶことができます。
(西崎努)
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