賢い投資家はやっている!年内の節税策・課税先延ばしの裏ワザとは?
トウシル / 2020年11月19日 16時1分
賢い投資家はやっている!年内の節税策・課税先延ばしの裏ワザとは?
悲喜こもごも……2020年の株式投資の成果はいかがですか?
残すところ2020年もあと1カ月あまり。今年のマーケットは新型コロナウイルスに良くも悪くも翻弄(ほんろう)させられた1年でした。
筆者が感じた大きな特徴は、銘柄によって大きく上昇したものもあれば、下落したものもあり、銘柄間の二極化が鮮明になったという点です。
ですから、同じ2020年という1年間で見たとき、大きな利益を獲得できた方もいる半面、逆に大きな損失を被ったという方もいるでしょう。
2020年分の株式投資の損益についての確定申告自体は2021年3月15日までに行えばよいのですが、税金対策のためには年内にやり終えておかなければならない点もいくつかあります。
そこで今回は、これから年末にかけて行うことができる、株式投資の税金対策のテクニックについてお話ししていきたいと思います。
株式投資の税金の鉄則「売却しなければ課税はされない」
株式投資で利益といえば、「実現益」と「含み益」の二つがあります。また、損失も同様に「実現損」と「含み損」の二つがあります。
実現益も含み益も、現時点では同じ利益に思えますが、税金の取り扱い上は大きく異なります。
税金を計算する際は、あくまでも「実現した」利益や損失しか対象となりません。保有している株にどれだけ多額の含み益があっても、売らなければ税金はかかりませんし、逆にどれだけ多額の含み損があっても、売って実現させなければ利益と相殺することはできないのです。
含み損益を有している保有株を「売る」か「売らないか」を年内に選択する
税金計算上、保有株は売らない限り利益も損失も発生しません。ですから、年内に利益を作りたいのであれば、含み益のある保有株を売却すればよいですし、逆に損失を作りたいのであれば、含み損のある保有株を売却すればよいのです。
年内に利益を作れば節税できるケース
年内に利益を作りたいケースとしては、例えば2017年に株式投資で損失を出し、その繰越損失がまだ残っている場合です。
2017年に生じた損失を繰り越せるのは2020年までです。つまり、今年2020年中にその損失を利益と相殺しなければ、損失は切り捨てとなってしまいます。
したがって、含み益のある保有株があるのであれば、売却して利益を生じさせた上で、2017年からの繰り越し損失と相殺することが節税につながります。
もし、売却した株を今後も投資したいのであれば、再度買い直せばよいのです。
年内に損失を作れば節税できるケース
一方、年内に損失を作りたいケースとしては、例えば2020年に利益がたくさん出ている場合です。
このまま2020年が終わってしまうと、相当な額の税金が取られてしまいます。でも、もし保有株に含み損を抱えた塩漬け株があるならば、それを売却して損失を実現させれば、今年のこれまでに発生した利益と相殺し、税金を少なくすることができます。
年内に売りたい!でも税金は先延ばししたい!という場合の裏ワザとは?
最後に筆者がいつも使っているテクニックをお伝えします。これを使えば、今年に払わなければならないはずの税金を、翌年に先延ばしすることができるのです。
それは信用取引を活用する方法です。
例えば1,000円で1,000株保有している株が3,300円まで上昇した後、下降トレンドに転じ、現在3,000円の株価になっているとしましょう。
筆者であれば、下降トレンドに転じたら保有株はすぐ売るというルールを設けていますので、この場合もすぐ売らなければなりません。
しかし、この状況で売ると、売却益に対して(3,000円-1,000円)×1,000株×20.315%=40万6,300円の税金がかかります(手数料、諸費用は無視しています)。
でもこの時、保有株を売却するのではなく、同じ株を同じ株数空売りするのです。買いと売りが同株数となりますから、どれだけ株価が今後変動しても事実上新たな損益は生じません。
つまり、保有株を売らずに保有したまま空売りすることで、売却したのと同じ効果が得られるのです。これを「ツナギ売り」と言ったりします。
ツナギ売りをすれば利益の実現を先送りできる
そしてこの、ツナギ売りこそが、税金を先送りする手法となっているのです。
冒頭で、株式投資の税金は売却して実現しないと発生しないと書きました。先のケースでは、空売り(ツナギ売り)をしただけで、保有株は保有したまま売却していません。
そのため、売却したら生じたはずの約40万円の税金を先送りすることができるのです。
株式投資では利益に課税されますが、損失は3年間しか繰り越すことができません。そして、株式投資でどれだけの成果を出せるかは、マーケット環境次第という面もあります。
それならば、今後発生するかもしれない損失に備えて、利益はできる限り先送りした方が税金面でも、資金繰りの面でも有利です。
ただし、ツナギ売りは信用口座を持っていないと実行することはできませんし、空売りができる銘柄でないと実行できません。また、空売りをすることにより多少の追加コストは生じます。
それでも筆者は、空売りできる銘柄についてはこのツナギ売りを活用し、利益をできるだけ先延ばしするようにしています。
(足立 武志)
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