なぜ通貨市場は動きが止まっているのか?ドルの安定性は驚くべき事態!?
トウシル / 2020年11月13日 7時13分
なぜ通貨市場は動きが止まっているのか?ドルの安定性は驚くべき事態!?
なぜ通貨市場は動きが止まっているのか?
ゴールドやビットコインは、FRB(米連邦準備制度理事会)のQEインフィニティ(無限大介入)やパンデミック下の負債急増(経済破綻の救済のための巨額の赤字支出)にそれなりに反応している。しかし、通貨の市場だけは不気味な沈黙を続けている。
ゴールド先物(日足)
ドル/円に関していえば、固定相場のようになってしまっている。目先の相場は米金利の上昇を受けてドルが買われているが、年間を通してみると、異常なほどボラティリティは低い。為替レートのボラティリティは通常、米国の景気後退時に大幅に上昇することを考えると、現在の安定性は驚くべき事態と言えよう。
ドル/円(日足)
米10年国債金利の大統領選挙後の動き
なぜ、このような事態が起こっているのか? FRBの社会主義政策、ドルスワップラインの寛大な提供、世界中の大規模な政府財政対応などが原因とされているが、本当の原因は金融システムが崩壊し、金融政策が国家管理になっているからだ。
焦ることはない。大きな世界的なマクロ経済の不確実性の環境では、為替レートは大きく変動するはずである。中央銀行は神様ではない。人間がやっているので、相場操縦には必ず限界が来る。どのような操縦であれ、これまで市場メカニズムによって完全に打ち砕かれてきたからである。
世界中の金融政策が同じで、債券市場が国家管理となっているので、通貨はもう動かないという声もある。
それに対して、マーク・ファーバーは次のように述べた。
「FRBが債券市場で大部分を爆買いした場合、理論的には資産価格は月に打ち上げられ、そこから最終的には地面すれすれで落ち着くだろう。債券市場が行き詰まると、価格調整で残る手段は唯一、米ドルの価値となる」(マーク・ファーバー)
大統領選通過後の相場はどうなる?
11月相場は、S&P500は月初は強くスタートして、12日ごろにいったん下げは収まる。そして、残存取引4日ごろから反発に向かう。一方、日経平均は10月末から11月いっぱいは堅調に推移する。それが11月相場のアノマリーで、過去11年のデータでは6割から7割の確率で月間の騰落率はプラスになる月だ。
NYダウ(日足)
日経平均(日足)
大統領選挙日後の株式市場はどうなるのであろうか? 下の米著名投資家ラリー・ウィリアムズが過去の大統領選挙当日を挟んだ株式市場の動きを平均化したグラフを確認してみよう。赤い線が大統領選挙日である。
これを見ると、大統領選挙後の相場は買い展開になっていることがわかる。しかしながら、大統領が民主党候補か共和党候補かによって、選挙後の相場の軌道は大きく異なっている。今回の大統領選挙はバイデン(民主党候補)勝利だが、民主党勝利の場合は株はさほど上がっていない。
バイデン(民主党候補)が当選した場合
トランプ(共和党候補)が当選した場合
大統領選挙はトランプが訴訟で選挙を無効化するという可能性はわずかながら残されているものの、例年のパターン通り、バイデン勝利に敬意を表したバイデンラリーが展開されている。誰がなっても、米大統領選挙の後は、通常、株が上がる。今年もこのパターンとなっているが、バイデンラリーの賞味期限はせいぜい半年程度であろう。
米大統領選挙年のNYダウのシーズナリーサイクル
何しろ、現在の相場は、米民主党が米国を「社会主義政策」で運営しようと思っていることを全く織り込んでいないからである。バイデンの健康状態にもよるが、ここから4年以下に社会主義政策を前面に押し出すカマラ・ハリスが大統領に昇格する可能性がとても高くなっている。そうなれば、米国経済はよくて「日本化」、最悪は「資本主義の巻き戻し的なクラッシュ」が想定される。
米国大統領・議会選挙の結果とマクロシナリオ
米民主党政権の社会主義政策の毒が相場にまわってくるのは、批判や民主党の分裂が始まる大統領就任半年以降だろう。それまでが株高の賞味期限だ。ただし、米国株式のバリュエーションは過去のバブル期と比較しても相当高い水準にある。この相場はバブルと割り切って参入しなければならない。
バフェット指標
GDP(国内総生産)に対する金融資産
株価連動のオセアニア通貨に注目!?
とりあえず、賞味期限半年程度のバイデンラリー(株高)に期待するのなら、通貨で狙うのは株式市場との連動性が高いオセアニア通貨であろう。上げても、下げても、この通貨ペアは、NYダウとほぼ同じ動きをする。
豪ドル/円とNYダウの推移
豪ドル/円(日足)
NZドル/円(日足)
11月11日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
11月11日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「米大統領選挙通過後の相場見通し」・「相場のスピード」・「ラリー・ウィリアムズの日経平均予測」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
11月11日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
【いいとこどり相場の賞味期限は?】
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。
11月11日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)
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