米国株式の注目はバリュー株。大統領選、上院の勝敗はいかに!?
トウシル / 2020年11月24日 5時10分
米国株式の注目はバリュー株。大統領選、上院の勝敗はいかに!?
米国株式市場、次のポイントは上院の勝敗
米大統領選では、民主党のジョー・バイデン氏が当選を確実にしました。米議会では、民主党が過半数を維持する見通しで、残る上院でどちらが優勢になるかが焦点となります。株式市場では、共和党が上院の過半数を維持し、民主党が目指す法人増税等の施策の実現が困難になるとの期待が広がっています。
ただし、1月5日に予定されている南部ジョージア州の決選投票で、民主党が残る2議席を獲得すれば、獲得議席を50対50まで伸ばせる可能性があります。上院議長を兼ねる副大統領に民主党のカマラ・ハリス氏が就任すれば、同氏の一票で最終決定するケースも想定され、実質的に民主党が過半数を取ることになります。
ジョージア州では共和党の候補が有利と言われていますが、バイデン氏が民主党の候補者として28年ぶりに勝利したこと、その背景に、地元の有権者登録運動の成果があったと指摘されていることを考慮すると、決選投票で民主党が2議席を確保するストーリーも想定しておきたいところです。
上院、下院共に民主党が優勢となり、民主党の大統領が就任した場合、懸念されるのは法人税の増税や大型テック企業への規制強化ですが、2021年にそれらを実施するかは不明で、直ちに悪材料につながるものではないとみられます。
それよりも、大規模な経済支援策や、バイデン氏が考える経済政策がスムーズに通る可能性が高まり、新型コロナウイルスワクチン開発の良好な試験結果と相まって、今後の経済回復に対する期待はより一層高まると考えられます。新政権が、中国との対抗について、「懲罰的な貿易手段を採用しない」と述べていることも、経済の安定化につながるでしょう。
広がるセクターローテーションの動き、注目はバリュー株
このような中、株式市場ではセクターローテーションの動きが広がっています。これまで相場をけん引してきた大型テックのパフォーマンスが落ち、新型コロナウイルス感染が終息した場合に恩恵を受ける銘柄や、景気敏感株、一部のバリュー株などが買い進まれています。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)やフェイスブック(FB)などの大型テックに関しては、仮にワクチンが最終的に失敗した場合でも利益を維持できる貴重な企業群であり、経済回復時にも恩恵を受け、かつ、長期的な成長ストーリーは健在であるため、引き続き保有しておきたい銘柄です。
特にこの2社は、アマゾンでは、オンライン薬局の新サービス「アマゾン薬局」を米国で始め、フェイスブックではオンラインショッピングやデーティングサービスを強化するなど、さらなる拡大に向け積極的に施策を展開しています。ただ、短期的には年末を控えた利益確定売りや金利先高観を嫌気した売りが発生するとみています。
また、最近のトレンドで最も注目しているのは、バリュー株のトレンドです。経済回復期に入る可能性が高く、金利の将来的な上昇が意識されるため、引き続き見直される機会が増えると考えられます。銀行株のJPモルガン・チェース(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)は、このストーリーに乗り、かつ一定の配当利回りが見込める代表的な銘柄でしょう。医薬品のアッヴィ(ABBV)のPER(株価収益率)水準と配当利回りにも注目です。
(松村 梨加)
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