日経平均3万円への道筋見えた?令和の日本株がさらに飛躍と予想する理由
トウシル / 2020年11月30日 7時27分
日経平均3万円への道筋見えた?令和の日本株がさらに飛躍と予想する理由
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「[動画で解説]日経平均3万円への道筋見えた?令和の日本株がさらに飛躍と予想する理由」
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令和2年(2020年)も、はや11月の最終日となりました。日経平均は、連日で29年ぶりの高値を更新しつつあります。今日は、目先の相場の流れではなく、平成から令和に続く、日本株の大きな流れを見ながら、私が2021年にも日経平均が3万円をつける可能性があると考える理由を解説します。
バブル崩壊から始まった「平成」
平成元年(1989年)は、日経平均が史上最高値(3万8,915円)をつけた年です。まさに、「バブル崩壊」「失われた10年」といわれる1990年代がスタートしたところでした。
平成の日経平均推移:1988年12月末~2020年11月27日
1990年代は、日本の金融機関が不良債権を抱えて苦しんだ時期です。1997年、東京三菱銀行は不良債権のバルクセールを始めました。それが、日本の金融危機の序章でした。不良債権処理に踏み切る体力が残っていた銀行は生き残ります。ところが「いつか不動産や株はまた元に戻る」と期待して処理を先送りしていた金融機関が、この後、ばたばた破綻することになります。
「社員は悪くありません」と、涙ながらに山一證券社長が破綻を報告するのは、その翌年です。含み損を抱えた株式を隠していたのが表面化したことが、破綻の原因です。いつか株価が戻ることを期待して、経営者が損失計上を先送りしているうちに、どんどん損失が拡大しました。
続いて、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行など大手金融機関が破綻します。不動産融資にのめりこんだまま、経営陣が問題処理を先送りしてきたツケが出ました。その後、不動産・建設・金融などで上場企業の破綻が続きました。
日本の金融機関が不良債権の処理を終え、金融危機を脱するのは、2003年です。りそな銀行に公的資金が入ったところで、金融システム不安は解消しました。
1998年から2005年まで、日本企業は生き残りを賭けた「合併・リストラ」「構造改革」を実施しました。その成果で、2003年から07年まで日本企業の復活が続きました。「ようやく失われた10年を脱した」と言われました。
ところが、それは、甘い期待でした。2006年から、「構造改革疲れ」という言葉がブームになり、合併破談・買収防衛策の導入が相次ぎました。その頃から、少子高齢化が一段と進み内需企業が疲弊してきました。さらに、力をつけたアジア企業(韓国・台湾・中国)がエレクトロニクス産業で、日本企業を追い詰めるようになりました。2008年にリーマンショックが起こると、日経平均は再び、大きく下がり、バブル崩壊後の安値を更新しました。平成が始まってから、リーマンショックに苦しむ平成20年まで、日本は「失われた20年」を経験したと言われました。
構造改革の成果が結実し、復活が始まる
リーマンショックを経て、復活の10年が始まりました。今、日経平均が29年ぶりの高値まで戻ったのは、失われた20年で行った構造改革の成果と考えています。その内容は、以下の通りです。
<1998~2005年の構造改革>
- 金融危機を克服:不良債権処理を完了。
- 業界再編:金融・化学・鉄鋼・石油精製・セメント・紙パルプ・医薬品・小売り業などで、生き残りを賭けた合併・リストラが進む。
- 財務体質を改善:日本中の企業が借金返済にまい進。借金過多のバブル時より財務が大幅改善。
- 省エネ・環境技術をさらに進化:日本は1970年代以降、省エネ・環境技術で世界をリードしてきたが、2000年代の資源バブルでさらに技術優位を広げた。
<2006~2013年の構造改革>
- 内需産業が海外で成長:内需産業(小売り・食品・サービス・化粧品・金融・陸運など)が海外(主にアジア)進出。
- サービス化・IT化:ITを駆使した成長企業が増える。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)の普及始まる。製造業でも、サービス化・IT化に対応した「脱製造業」のビジネスモデルが広がる。
- 海外M&A(合併・買収):日本企業が大型M&Aを次々と実施し、海外企業を買収。海外進出を加速。
- 働き方改革・ガバナンス改革:まだ道半ばだが、労働生産性を高める働き方改革、ガバナンス改革が、進んでいる。コロナ禍で、リモートワーク・リモート会議が広がっていることも働き方改革の進展に貢献。
令和でコロナ・ショックに見舞われたが、コロナ収束すれば「飛躍の10年」に
令和に入り、世界はコロナ・ショックに見舞われました。今年(令和2年)4~6月の世界景気は「戦後最悪の落ち込み」となりました。7月から経済再開により世界景気は回復に向かっていますが、同時に経済再開にともなう感染の再拡大が深刻で、再びロックダウン(都市封鎖)が行われることはないか、不安が広がっているところです。
ワクチン開発が想定以上に早く進んでいることに期待が高まっていますが、ワクチンの大量供給が実現することによって世界経済が正常化するのが先か、ワクチンが間に合う前に感染の再爆発が起こってしまうのか、正念場です。
ただ、20~30年の長いタームで見ると、コロナ・ショックですら後から振り返って「一時的なショックだった」とレビューされることになると考えています。その「一時的」が1年なのか2年なのか、現時点では明確にわかりません。ただ、いずれ人類はコロナを克服し、世界経済を正常化に向かわせることになると思います。
景気は循環します。景気が悪い時は、いつまでも悪いと考える人が増えますが、いつか必ず回復局面が訪れます。私は、回復は今年の7月からすでに始まっていて、2021年に加速すると予想しています。仮に2021年、もう一度世界景気が落ち込む局面があるとしても、2022年には力強く回復すると考えます。
私は、令和に入って最初の10年、平成の構造改革の結実によって、日本株が飛躍する時期になると予想しています。2021年、世界経済がワクチンによって正常化するならば、日経平均が3万円まで上昇する可能性もあると考えています。
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(窪田 真之)
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