なぜ少しの利益で売ってしまうのか?株投資で成功する忍耐・ダメな忍耐
トウシル / 2020年12月3日 7時0分
![なぜ少しの利益で売ってしまうのか?株投資で成功する忍耐・ダメな忍耐](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_29856_0-small.jpg)
なぜ少しの利益で売ってしまうのか?株投資で成功する忍耐・ダメな忍耐
個人投資家は株価上昇の波にうまく乗れていない!
日経平均株価が29年ぶりに2万6,000円台に達し、個別銘柄の中にも上場来高値を更新するものが目立つなど、日本株は強い動きとなっています。
筆者は個人投資家の方と話をする機会が多々ありますので、ここ最近の状況を聞いてみました。すると、かなり多くの方が、今回の日本株の上昇にうまく対応できていないことが分かりました。
その中でも多かったのが以下のようなものです。
〇こんなに上昇するとは思わなかったので、株をあまり買えていない
〇自分の持っている株は日経平均株価のように上昇していないので利益が増えない
〇いいタイミングで株を買うことができたが、すでに売ってしまった
これら全てについて解決すべきなのですが、今回のコラムでは、最後の「いいタイミングで株を買うことができたが、すでに売ってしまった」という点にフォーカスをしていきます。
なぜ少しの利益で売ってしまうのか?
「いいタイミングで株を買うことができたが、すでに売ってしまった」という方に、なぜ売ってしまったのかを聞いてみました。
すると、「買った株価から10%上昇すると、ここで売らないと利益が上げられないと思い、ソワソワして売ってしまう」という回答が多かったのです。
確かに、せっかく含み益が10%のってきたのに、保有を続けることにより株価が反落して利益がなくなってしまったら、悲しいことです。
でも、この行動を繰り返していると、せっかくの上昇相場で大きな利益が得られる可能性があるにもかかわらず、自らの行動によりその芽を早期に摘んでしまうことになります。
ここで必要なのが「少しの含み益が出ても売らない」という忍耐力なのです。
忍耐力をキープして利益を伸ばすための「ルール」
少しの利益で売ってしまう方は、「ここで売らなければ利益がなくなってしまうかも」という恐怖感にとらわれ、我慢ができずに売ってしまっています。この習慣を解消しなければ、いつまでも株式投資で大きな利益を得ることができず、成功につながりません。
客観的なルールを設けてこれに従う
では筆者はどのようにしてこの恐怖感をコントロールしているかというと、「客観的なルールを設け、これに従う」ようにしています。
筆者のルールとは、買った株が25日移動平均線を超えている間は売らずに保有を続けるというものです。
株価が上昇を続けている間は、25日移動平均線を下回らずに推移します。そこで、25日移動平均線を株価が超えている間は、売らずに保有を続けることにより、利益を伸ばすことができます。
特にスケールの大きい上昇相場では、株価の上昇が何カ月も続きますから、買値から2倍、3倍、時にはそれ以上の株価になるまで保有を続けることができるのです。
小さな利益は「捨てる」
そしてもう一つ、10%程度の含み益は、端(はな)からないものとして捉えるようにしています。
10%の含み益が生じた後に株価が下落に転じれば、利益はなくなってしまいます。でも、そこで売ってしまっては、株価が2倍、3倍、5倍にまで上昇する間、その株を持ち続けて大きな利益を得ることは絶対にかないません。
ですから筆者は、2倍、3倍、5倍の利益を得るためには10%程度の利益は無視しているのです。その結果、確かに利益を取り逃すこともありますが、それは仕方ないと割り切っています。
以前、私の行ったセミナーで、「買った株を2倍以上にして売ったことがある方はいますか?」と聞いたところ、1割くらいの方しか手が挙がりませんでした。株価が上昇する限り保有を続け、大きな利益を得るための忍耐力は、株式投資で成功するために何としても必要なものです。保有株売却のルールを設定してそれを守るなどして、ぜひとも身に付けてください。
こんな忍耐は、投資の失敗につながる!
これとは逆に、失敗につながってしまう不必要な忍耐力というものがあります。それは株価が値下がりする中、我慢して保有を続け、株価の上昇を待つというものです。
買った株の株価が下がるというのは、いわば「見込み違い」だったわけです。であるならば、適切な時期に損切りをするなどして、損失が小さいうちに撤退し、回収した資金を他の有望な銘柄に回すべきです。
でも、それをせずに、値下がりする株を我慢して保有した結果待っているのが、個人投資家がおかしてしまう最大の失敗である「塩漬け株の発生」です。
実はこれも、しっかりと売買のルールを決めることで十分に対応が可能です。株価が下がってしまった株をなぜ売れないかといえば、「持ち続けていればそのうち株価は戻る」という、淡い期待からです。
でも一方で、株価のさらなる下落により、多額の含み損を抱えてしまうおそれもあるわけですから、これを何としても避けなければいけません。
そこで、買った株が25日移動平均線を下回るなどして下降トレンドになったらひとまず売却します。これで損失の拡大は回避できます。
その後、もしその株が反発して25日移動平均線を超えるなどしたならば、株を買い直せばよいのです。
こうすれば、塩漬け株の発生も回避できますし、株価の上昇にも乗ることができます。
株式投資で成功するために必要な忍耐力と、逆に失敗につながってしまう忍耐力を理解するとともに、忍耐力をコントロールするためのルール設定とその順守をぜひ心掛けてくださいね。
(足立 武志)
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