日経平均どうなる?外国人投資家の買いは続く?
トウシル / 2020年12月7日 7時11分
日経平均どうなる?外国人投資家の買いは続く?
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「[動画で解説]日経平均どうなる?外国人投資家の買いは続く?」
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外国人投資家の買いで急騰した日経平均
先週の日経平均株価は、1週間(11月30日~12月4日)で106円上昇し、2万6,751円となりました。上昇の勢いはやや落ちましたが、それでも29年ぶりの高値更新が続いています。
11月には、外国人投資家が2兆3,802億円も日本株を買い越し(株式現物・日経平均先物の買越額合計)、日経平均を15%も急騰させました。12月に入ってからもまだ外国人の買いは続いているようです。
以下、2020年の日経平均の動きと、外国人の売買動向(株式現物・日経平均先物の合計)をご覧ください。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~12月6日(外国人売買は11月27日まで)
日本株の最大の買い手は日本銀行ですが、それでも、日経平均の値動きを決めているのは、日本銀行ではありません。外国人投資家です。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
日経平均が急騰する時や新高値を更新する時の買い主体は、いつも外国人です(まれに例外あり)。 反対に、日経平均が急落する時や新安値を更新する時の売り主体も、いつも外国人です(まれに例外あり)。外国人が売れば下がり、買えば上がる傾向が、過去30年【注】続いています。
【注】1989年までは日本株の動きを決めていたのは国内投資家(日本人)でした。1990年代以降、約30年、外国人の売買で日本株の動きが決まるようになっています。
上のチャートを見ればわかる通り、2020年も日経平均の急騰あるいは急落は外国人が引き起こしています。ただし、1か所だけ例外があります。3月後半~4月にかけての日経平均急反発局面です。外国人の売りが続いている中で、日経平均が急反発しています。ここで日本株を買ったのは、日本銀行などの国内投資家でした。
2020年3月後半~4月のように、外国人の売買と反対方向へ日経平均が大きく動くのは、過去30年で見ても、きわめて珍しいことです。過去30年で、外国人売買と逆方向に大きく日経平均が動いたのは、2020年3月後半~4月のほかでは、1回しかありません。2011年3月です。2011年3月11日に東日本大震災が起こった直後、日経平均は16%も急落しましたが、それは国内投資家の売りによるものでした。その急落局面で外国人投資家は日本株を買い越していました。
外国人から見ると、日本株は、世界景気敏感株
外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。世界景気に不安が出ると、外国人は日経平均先物を即座に売ってきます。2020年はコロナ・ショックで外国人は日本株を大量に売りました。
ところが、不安が低下して投資家がリスクを取り始めるとき、外国人は日経平均先物に買いを入れます。11月に入って外国人が一転して日本株を大幅に買い越したのは、ワクチン開発の進展によって世界経済が正常化に向かう期待が出たことに反応したものです。
外国人投資家の日本株式現物および日経平均先物の売買動向と、日経平均騰落率:2020年1月~11月
世界景気の回復が続くならば、外国人の買いはさらに増加すると予想
外国人投資家は、10~11月に日本株を2兆5,075億円買い越した(株式現物と日経平均先物の合計)とは言え、今年の1月からの累計では、まだ4兆1,888億円も日本株を売り越しています。
10~11月は、海外ヘッジファンドなどの投機筋が少しだけ日本株を買い戻したに過ぎません。まだ、欧米年金基金やソブリン・ウェルス・ファンド(中東やアジアの国家資金ファンド)など海外の主要機関投資家の日本株保有は、大幅にアンダーウエイト(通常の組入比率を下回る組入比率とすること)と推定されます。したがって、もし来年にかけて世界景気の回復が続くならば、外国人の買いはさらに増えていくと予想されます。
私は、メインシナリオとして、来年、ワクチンの供給によって世界経済が正常化に向かい、世界景気の回復が続くことを想定しています。その場合、外国人の買いが続き、来年には一時日経平均が3万円をつけると考えています。
リスクシナリオとして、ワクチン供給の遅れ・米中対立の激化によって、来年も世界景気の低迷が続く可能性もあります。その場合、日経平均が上昇する時期は先送りとなります。
いずれにしろ、日本株は割安で、長期的に買い場との見方は継続します。時間分散しつつ、配当利回り4%超えている、割安な大型高配当利回り株に投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると思います。
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